アクターズ・スタジオ15周年
Faridah Merican
Interview
| 彼と彼女ががアクターズ・スタジオを始めるまで |
| アクターズ・スタジオの歩み | そして未来へ |
 
 今年の4月に15周年を迎えた「アクターズ・スタジオ」。クアラルンプールのバングサ・ショッピング・センターに「アクターズ・スタジオ・バングサ」、そしてペナンに「アクターズ・スタジオ・グリーンホール」と、演劇やコンサートに貴重な場を提供してきた。また、スリ・ハタマスのプラザ・ダマスには「アクターズ・スタジオ・アカデミー」があり、演劇などのコースを設置、教育にも力を入れている。
 その設立15周年にあたり、設立者の一人であるFaridah Mericanさんに話を聞いた。
 
■彼と彼女ががアクターズ・スタジオを始めるまで
 「私はもともと教師をしていたんです。でも演じることに興味があって、アルバイトで女優もやっていました。60年代には先生を辞めてブロードキャスターとして働き始めたましたが、ずっと女優のバイトは続けていました。69年には広告会社に就職し、そこで『彼』に出会ったんです。」

 もう一人の設立者であり、Faridahさんの夫でもあるJoe Hashamさん。オーストラリアから来た彼とマレー人の彼女がどのように出会ったのか。

 「私が広告会社でプロデューサーをしていた80年代半ば、コマーシャルフィルムの制作現場で彼と出会ったんです。オーストラリアで演劇を学んだ彼は、フィルム会社設立のためにマレーシアに来ていました。」

 このように広告の世界で出会った二人だが、86年から最初の2年間は何も特別なことはなかったという。ただ、演劇にかける情熱が二人を結びつけたのか、89年4月にシアター・カンパニーとしてアクターズ・スタジオを設立した。
 ちなみに、ふたりが結婚したのは同年12月。彼女はちょっとはにかんだような顔で多くを語らなかったが、その時の様子はとても女性らしかった。
 
■アクターズ・スタジオの歩み
 アクターズ・スタジオの初演は89年の「Norm and Ahmed」。オーストラリアでの人種問題を扱った作品だ。最初は自前のシアターがなく、いろいろな場所を借りて公演を行っていたという。

 「政府の行事で突然約束をキャンセルさせられたり、やはり辛かったですね。2〜3年の間に何とか自分たちだけの場所を持とうと頑張ったんですが、ダメでした。」

 そんな二人の夢が叶い、自分たちの劇場ができたのは95年。独立広場のすぐ近く、プラザ・プトラに153席の小さな劇場をオープンした。また、98年には後継者育成や啓蒙を目的とした「アクターズ・アカデミー」を開設、2001年にはバングサに260席の「アクターズ・スタジオ・バングサ」を、また02年にはペナンに「アクターズ・スタジオ・グリーンホール」をそれぞれオープンさせるまでになった。
 89年以来、大きなものだけでも29の公演をこなしてきた。他の「インスタント・カフェ・シアター」や「ファイブ・アーツ」といったグループとのコラボレーションも多い。また日本の「劇団影法師」や「時々自動」などといった外国のグループの公演も、国際交流基金やBritish Council、Goethe Institute等との協力で実現させてきた。
 細かな公演まで含めると04年4月までにその数は約800に上り、音楽、ダンス、コメディー、伝統劇、映画、ワークショップ、パントマイム、人形劇、朗読などなど、内容は多岐にわたっている。

 もちろん全てが順調だった訳ではない。03年6月の豪雨は、まさに二人にとって悪夢とも言えるものだった。わずか3時間の雨で、プラザ・プトラの劇場のすべてが水浸しとなってしまったのだ。「地下の独特の雰囲気のおかげで、それが好きで通ってくれる人も大勢いたんです。」と語る彼女だが、それが仇になってしまった。この劇場は駄目になってしまったが、でもこれであきらめる二人ではない。「首相夫妻の寄付をはじめ、いろいろな方の助けがあって、それで何とかここまでやって来られたんです。」
 
■そして未来へ
 現在二人は、大がかりな公演にも対応できるような、500席ほどの劇場をさがしているところだという。また、今後一層力をいれていく予定なのが教育だ。現在でも、「アクティング・フォー・ビギナーズ」「コンテンポラリー・ダンス」「脚本講座」「ガムラン」などといったコースをそろえた「アカデミー」があるが、これを「パフォーミング・アートの学校」として、さらに発展させていきたいという。

 「例えば、シンガポールでは劇団に対して政府からの援助がありますが、残念ながらマレーシアでは存在しません。昔は学校でも必修科目として芸術のコースがありましたが、現在では任意選択のコースとなってしまっています。芸術にとって、草の根レベルでの教育は大変重要です。そういった部分で、マレーシアの芸術に何とか貢献できないかと考えています。」

 マレーシアの芸術は、先進各国に比して質、量ともに充実しているとは言いがたい。しかし、未来を見据え、こうやって頑張っている人々がいる。険しい道のりかも知れないが、だからこそ暖かい声援を送っていきたい。
 
アクターズ・スタジオウェブサイト
www.theactorsstudio.com.my
アクターズ・スタジオ・バングサ
Tel: 03-2094 0400/1400
アクターズ・スタジオ・グリーンホール
Tel: 04-263 5400
アクターズ・スタジオ・アカデミー
Tel: 012-233 2170 (Ms. Nola Nantha)
 
 
 
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2005年5月6日
 
 
 
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