第13回
「マレーシアの電脳的おみやげ」
鈴村 瞬
 一時帰国の際、日本の知り合いに何を買っていくか、あれこれ考えた。ピューター、ドライフルーツ、酒、タバコ、いずれにせよ無難な線で行くことしたのだが、とくにお世話になっているうるさがたに、何をおみやげにするか、最後の最後まで迷った。しかも、忙しくて、街中に出かける時間もとれない。それでも、フライトの前日になって、ようやくワンウタマに出かけることができた。

 ワンウタマができたとき、おおよそ十年くらい前だと思うが、その大きさは衝撃的だった。オープン当時、大きすぎて、テナントが全部埋まっていないのにも驚いた。当時はヤオハンがつぶれたばかり、そして、タマンセプテの近くで大規模な工事が始まったばかりのころである。いつも何の工事をしているのだろうと思っていたが、それがミッドバレーになるとは想像できなかった。

 ワンウタマは、それからさらに増築を重ね、ますます巨大になっている。おみやげを探して、あちこち歩き回ると、ヘトヘトになった。スタバでひとやすみしようかと、てくてく新館を歩いていると、最上階に新たな映画館ができたことを発見した。ワンウタマでは旧館にも一つあるので、これで二つ目だ。そういえば、ワンウタマができた当時、映画をよく見た。KL最初のシネコンだったはずだ。どでかいスクリーンに、臨場感たっぷりの音響施設、つまらない映画もありがたく見ることができた。あのとき見たタイタニックは今でも覚えている。夜11時を過ぎての上映だったが、当時話題の映画だったので、びっしり満員。かろうじて最前列に席をとり、終止、見上げる姿勢で映画を見た。ご存じのように、マレーシアの映画館はエアコンがきつい。とくに、タイタニックのときは、寒かった。臨場感を増すために場内の気温を思いっきり下げたに違いない。生れも育ちも雪国で寒さにはめっぽう強い小生でさえ、これは寒すぎると思った。しかも、タイタニックが氷山にぶつかるあたりからトイレに行きたくてしようがない。しかし、映画はクライマックスに突入、ものすごいシーンが次から次とあらわれる。タイタニックの乗客同様、自分も必死に耐えしのいだのだが、最後にディカプリオが海に沈んでしまうときは、ディカプリオと一緒に死んでしまいそうだった。

 結局、迷っていたおみやげは、256MBのSDカードにした。SDカードは、日本では今やコンビニでも売られているのだが、今回購入したのはUSB端子を本体内部に内蔵したもの。そのためSDカードでありながら、極小のUSB接続フラッシュメモリドライヴでもある。日本でも発売されているが、それほど流通はしていない。マレーシアでお目にかかるのはまだまだ先と思っていたが、たまたま入ったワンウタマの地下のコンピューターショップで発見。旬かなと思い、これにした。一枚RM160であった。
 実は自分用にも一枚購入した。それにしても軽い。1.6グラムなので、ここまでくると重さを感じない。それでいてフロッピーディスク約180枚分の容量である。難点は、超小型、超軽量のため、すぐに無くしてしまいそうなこと。そして、華奢なので取扱いに気をつかうこと。EuROという謎のメーカーの製品だが、見た目からして、アイエヌエックスジャパン(http://www.inx-jp.co.jp/)からでている「YouSDカード」と同じものと思われる。ちなみに店員はこのSDカードのことをコンボカードとよんでいた。SDカードとUSBメモリがコンボになっているということなのだろう。このところの円安を考えると、買うに易しい、そして、貰って嬉しい、おみやげであったと思うのだが……。
■用語解説
※SDカード(Secure Digital memory card)
 SanDisk社、松下電器産業、東芝の三社が共同開発したメモリカードの規格。SanDisk社のメモリカードMMC(マルチメディアカード)をもとに開発された。SDカードはMMCより若干厚く、MMCにはない著作権保護機能をそなえる。ちなみにマレーシアでSDカードを買う場合、マルチメディアカードと言ったほうが通じる。サイズは切手ぐらいの大きさ。SDカードに互換性をもたせ、携帯電話用にさらに小さくしたminiSDカードもある。日本では1GBのSDカードがメーカー品でなければ1万円を切るほど安くなってきている。
     
 
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