第15回
「ローカル・チャイニーズのPC環境 その二」 |
| 鈴村 瞬 |
マレーシアはお国柄、CDやDVDの複製ソフトが日本より豊富だと思ったりもする。しかし定番とよばれるソフトは日本とおおむね同じである。ローカル・チャイニーズの新規インストールを手伝うといってもそれほど難しいことはない。しかし、困ったことが二つあった。一つは、エディタを何にするか。そしてもう一つは中国語IMEは何にするか。中国語IMEについては、また次回ということで、今回はWindows用中国語エディタについて。
ローカルが文字を入力している場合、使っているソフトは多くの場合Wordである。というか、それしか見たことがない。たとえば、Low
Yat PlazaとかImbi Plazaなど、コンピューター・ショップが集積している場所であれば、パソコンにそれ相当の知識を持っている人がいるわけだから、エディタを使っている光景に出くわしてもいいはずである。しかしながら、ついぞお目にかかったことはない。ちょっとした文章を書くときに、Wordを使うというのは端で見ていて歯がゆい。テキストファイルを処理するのであれば、やはりエディタを使いたいところ。そして、中国語を入力するのであれば、縦書きができるエディタを推薦したくなる。ワープロやパソコンであれば、横書きで文章を書いて、縦書きでプリントアウトすることは簡単だ。けれども、横で書いて縦で印刷した文章は、なんかしっくりしないのである。もちろんこれは日本語の場合であるが、中国語も同様に違いない。縦書きで読んでもらうのであれば、縦書きで文章をつづりたいと個人的には思う。中国語を縦書きできるエディタは、ローカルのオーダーとは全くの無関係ではあったが、自分の趣味で色々と調べてしまった。
中国語を縦書きできるエディタ、たぶんそういうエディタはあるのだろう。しかし、自分は中国語ができない。探せない。そこでもっと一般的な、多言語対応で縦書きも可能な英語エディタ、それを調べてみることにした。しかし、ないのである。横文字文化圏でつくられたエディタには縦書きという発想はないに等しい。
エディタとは言えないが、多言語と縦書きに対応しているのは、結局Wordぐらいしか思いつかなかった。自分は、エディタはEmacsを使っているが、これは、縦書きできない。もしかして、何でもありのEmacsのことだから、縦書きも可能なのかもしれないが、小生残念ながら寡聞にして不明である。したがって縦書きするときはWordを使っている。自分の場合、手紙は縦書きなので、そのときはWordで書く。その昔は、WZ
Editorという縦書き可能なエディタを使っていた。しかし、どうしても不安定なので、ある日利用を断念した。WZ Editorの最新版は、他言語対応をうたっているが、不安定だったときの印象があまりに強く、どうしても二の足を踏んでしまう。ただ、次のことを思いついた。日本語エディターの中から、多言語と縦書きに対応しているものを探せばよいのではないか。もちろん英語版を出しているものに限られるが。
縦書き可能な日本語エディタなら結構知っている。双璧がQX EditorとWZ Editorだろう。最近は、そのものズバリのVertical
Editorが、結構人気だ。しかしどれも英語版はない。メニューなどが日本語なので、文字化けの可能性があるし、化けなかったとしてもメニューを見ても意味がさっぱりわからない。他言語対応であればEmEditorが定評がある。これは英語版もあるのだが、残念ながら縦書きはできない。やはり無理かと思ったとき、Vectorから「新着ソフトのお知らせ」というメールが届いた。Vectorで登録したソフトは、更新をメールで教えてくれる。今回バージョンアップされたのは、秀丸エディタであった。
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日本で一番有名なエディタは、秀丸エディタ、そう言切って差支えないだろう。「秀丸」、かなり強烈なネーミングだ。そして、インストールしてみればわかるが、アイコンもかなり強烈。なのにこれだけ人気があるのは、何よりも軽くて速くて安定しているからである。それにくわえ、インタフェースが秀逸で、マクロによる拡張性も非常に優れている。「秀丸」の名前とアイコンに抵抗を覚え、使うのをためらっていたのだが、文字を白そして背景を黒にする設定かワンタッチで出来ることに魅せられ、試してみたことがあった。使ってみると、あまりに使いやすく、すぐに登録した。とにかく速くて軽い。しかもかゆいところに手が届いていて極めて便利だ。そしてプログラムに不備が見つかった場合の作者の対応も真摯で素早く、名前とアイコンへの違和感を払拭しきれないながらも、愛用していた。しかし結局WZ
Editorにかえてしまった。理由は簡単で、縦書きが出来なかったからである。そしてその後、秀丸に再び戻らなかったのは、LinuxやMacでは使えないからでもあった。
秀丸はVector経由で登録したので、バージョンアップするごとにVectorからメールが来る。今回の更新でバージョンは5.01になった。そして、今回からはなんと縦書きに対応したのである。しかも多言語への対応も強化されている。そして名前がMaruo
Editorとこれまた強烈な英語版もある。しかしながら、まさにこれこそが今回探しているエディタである。ときに、新機能を実装しても、それがバグだらけで使い物にならなかったりもするが、さすが秀丸。インストールして中国語を入力してみたが、小生のレベルでは問題なし。しかもデスクトップアイコンの、あの何とも言えない「秀」の字は、ローカル・チャイニーズには、かえって親しみを与えるようであった。
骨を折って秀丸をインストールしたわけだが、それでは我が知人、秀丸を使っているかというと、ちっとも使ってくれない。結局はWordを使っているようだ。こっちは、文字は白、背景は黒の、DOSチックな画面設定で、中国語がトントントンと縦に入力されるのを想像し、ウットリしていたのに。愛用してくれた暁には、情理かねそなえた説明で、ちゃんと登録ユーザーになってもらおうと思っていたのに。くやしさのあまり、テキストファイルはMaruo
Editorに関連付けしておいた。 |