「中東からの観光客に対する地元の声」
■「アラビアン・シーズン」
 中東からの観光客が大挙して押し寄せる季節がやってきた。5月から9月、特に6月中旬から8月下旬にかけて、避暑休暇の中東から多くの人々がイスラム教国マレーシアにやってくる。
 ドバイからクアラルンプール(KL)へのマレーシア航空(MAS)直行便は、5月中旬の時点で満席となり、MASではすぐに増便予定を発表したほど。クウェートからも臨時に直行便を開設する予定で、他の湾岸諸国からも共同運行便を用意するという。
 既に本紙ウェブサイトでもお伝えしたように、政府は観光省を先頭に、歓迎の準備万端といったところだ。(本稿末尾参照)。 
 またKL市当局では、ブキッ・ビンタンのバルミ通りとブランガン通りの合流点に「アラブ・スクエア」を開設する計画を推し進めている。展望台、売店、ベンチなどを設置し、中東からの観光客に少しでも「我が国にいるような」感じを味わってもらうのが狙い。周辺住民からは「ビジネスチャンス」というコメントも聴かれるものの、「狭い道に車が溢れる。駐車場のスペースなんかない」「観光で来ているのに、誰がわざわざアラブの雰囲気を味わいたいのか」などと反対意見があがっている。これに対し市当局では、予定通り8月までに工事を完成させることを明らかにしている。
 観光省によると、既にいくつかの市内のホテルで、午後6時から午後9時までプールを女性だけに解放するという「特別配慮」を開始したという。同省で目標としている中東の観光客数は、昨年比60%増の20万人。それだけに「VIP待遇」といっても過言ではないほどの歓待ぶりだ。
 これに対し、地元メディアには好意的な論調が多いようだ。購買力のある中東からの観光客は、経済に良い影響を与えているという評価だ。
 となると、気になるのは実際に彼らに接する人たちの声。彼らがどう受け止めているのか、街の声を拾ってみた。
 
■庶民の本音は...
 「実際困るんだよネ。凄いんだよ、値切り方がさあ。メーター倒さないでね、いくらいくらって交渉して、値段がまとまってから乗せてるのにさ、実際払う時になると何だかんだ言ってほとんどの奴が値切るんだ。本当にしぶといよ。なかなか折れないしね。まあこっちも商売だから乗せてるけどね」と語るのはタクシー運転手。興味深いのは夫婦で利用する場合で、夫が必ず先に乗り、下りるときは妻が必ず先なのだという。ある日運転手が理由をきいたところ「奥さん乗せて、そのまま連れ去られたら困るから皆そうするんだ」と言われたという。運転手は「俺は人さらいじゃねえや」と憮然とした様子だった。
 ローカルの某広告代理店のスタッフは「高級ブランドを扱う服飾関係だと、やっぱり評判はいいわよね。お金持ってるだけに、買い方も半端じゃないわよ」と語る一方、「でも、それはあくまで実際に儲かる経営者の意見よね。ショップのスタッフは嫌がってるわ」と声を潜める。嫌われている原因としては、やはり値切り交渉の凄さ。さらに「態度が尊大だ」という現場の声も多いという。
 一方、5スターホテルのユニセックス・ヘアーサロンで働く男性美容師は、「給料ガタ落ちになるから困るんだ」とこぼす。中東からの女性がサロンを訪れた場合は、男性スタッフは全員外に出されてしまうのだという。髪を切るのだから当然チャドルは脱がなければならず、そこに男性がいては不都合だという訳だ。歩合給で働く彼にとって、店の外に出される時間は無駄な時間になってしまう。
 また、マッサージを行う店の場合は、既に仕切られていることが多いためにそれほど影響はないようだが、フット・マッサージ店ではパーティションを新設せざるを得なかったところもあるという。
 また、あるホテル関係者は、「皆が皆って訳じゃないけど、中東の人は部屋をきれいに使ってくれないよね。彼らがチェックアウトした後は大変だよ。ゴミが部屋中に散らかってるんだ。掃除のおばさんには同情するよ。その分給料が上がる訳じゃないしね」と語る。
 加えて、彼が実際目にした光景を紹介しよう。ある中東からの観光客が、ロビーにてビデオ撮影を行っていた。そこにたまたま別の観光客が通りがかった。カメラを横切ったのは中東の女性だったのだが、これを見ていたその夫が「人の女房を撮影するとは何事だ!」と、大変な剣幕で怒りだした。一方撮影していた男性は「そんなに撮られるのが嫌なんだったら、奥さんを部屋に閉じこめておけばいいだろっ!」と反撃、すさまじい口論となり、ホテルのスタッフは仲裁に苦労したという。目撃談の後、この関係者は「こんなに嫉妬深いくせに、奥さんがいなくなると、すぐに『いい女いないか』と声をかけてくる男が多い。本当に参るよ」と漏らしていた。
 
■同じイスラムでも
 筆者が話を聴いた限りでは、どうやらあまり評判がよろしくないようだ。イスラムの国ということで、観光地としてのマレーシアの人気は、中東では非常に高い。しかしながら、同じ宗教をバックグラウンドとしていても、異なる文化が出会うときの摩擦は、やはり避けようがないようだ。
 
<参考:日馬プレスウェブサイト 5/27のニュース
 
     
 
 
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