『NST』が風刺漫画。
そして、大規模なリストラ
 2月24日付けの『ニュー・ストレート・タイムズ(NST)』紙に、NST紙が21日付け紙面に掲載した世相風刺漫画について国内治安省から説明をもとめられたことに関連して、一面に謝罪記事を掲載した。

 マレーシアではヨーロッパのメディアに次々と掲載され大問題となったイスラムの預言者ムハンマドの風刺漫画を転載したとして『サラワク・トリビューン』紙が発行禁止となり、『光明日報』や国営放送局であるRTMがニュースの中で画像を瞬間的に流している。

 『NST』の風刺画の内容はヨーロッパ各紙に掲載されたものとは異なり、「世界でもっとも恐怖におびえているモハンマドの風刺画の作者」がテーマ。もちろん、『NST』の風刺漫画の意図は、最初に預言者ムハマンドを風刺した漫画家が、騒ぎになったとたんに「こんな騒ぎになるとは思わなかった」と言って逃げるようにしていることへの「臆病者であり卑怯者への皮肉」だろうと思う。
だから、ムハンマドを揶揄する意図は見えないが、考えようによっては、「風刺画の作者の生命を危うくする宗教であるイスラム」という意味にとれる。これは、人の生命をたいせつにし、平和で安全な世界をもとめている99.9%以上のイスラム教徒の意思に反するものだ。わたしたちのまわりにいるイスラム教徒は危険な人たちではない。

インドでは大臣が風刺画の作者の首を打ったものに十数億円の賞金をだしたというが、こうした大臣こそがイスラム社会から糾弾されるべきだ。0.1%に満たないが、キリスト教もヒンドゥー教も、仏教も、ごく一部には過激な言動をする人たちがいる。宗教を利用して自らの名誉欲や権力、利権を手に入れたいと考える人たちもいる。風刺漫画問題がごく一部のイスラム教徒に利用されている。こういう人たちに暴力肯定の足がかりをあたえてはいけない。

幸いにも、日本のメディアはモハンマドの風刺画には触らなかった。「報道の自由」を言うなら、「報道する自由もあるし、報道しない自由もある」ということだ。日本は「表現の自由」、「報道の自由」があると信じられているが、警察や役所に敵対することを書くと、その記者は警察や役所への出入りが禁止されることがあるという。ときには「記者クラブからの除名」という、記者会からの自主的判断もあるらしい。また、広告主の意向に逆らうメディアは少ない。日本が「報道の自由度ランキング」で先進国中最下位同然の40位前後にいるのは、メディア自ら首をしめているからではないだろうか。結果としてはいいと思うが、日本のマスメディアが「報道の自由」によって判断したこととは絶対に思えない。

『NST』紙の風刺画掲載は、ひじょうにセンシティブになっている時期だけになおさら非難を浴びる結果となった。とはいえ、マレーシア有数の英字紙で与党を構成するマレー人政党の「UMNO」の影響下にある『NST』紙が、なぜこんな事をしたのか理解に苦しむ。

それが理由かどうかわからないが、2月28日、『NST』紙の約70%の社員が解雇されたという。おそらく購読者の減少、広告掲載の量の減少が原因のリストラと見られるが、タイミングが悪すぎる。外野席の人々はどうしても一緒こたに考えてしまう。
『NST』のライバルともいえる英字紙『The Star』の記者は「『NST』があるから『The Star』もある。競争しあって、よりよい紙面作りにをしてこそ、メディアのレベルが上がる。今回のリストラによる人員カットで、『NST』のレベルが落ちないように、残ったスタッフが頑張ってほしい」とエールを送っている。

『NST』はマレーシアの発展を支えてきた。英字紙『NST』を通して政府は国民に、そして、在留するわたしたち外国人に貴重な情報を提供してきた。外国企業が安心して資本を投資し、生活できる社会基盤を構築する役割を果たしてきた。『The Star』とともに、これからも、わたしたちに適確な情報を送りつづけてほしい。経営の危機を乗り越えていく姿を国民に見せるのもメディアの役割なのだろうと思う。頑張ってほしい。
 
     
 
 
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