6月3日午後7時20分頃、東京都港区芝1丁目の23階建ての公共住宅「シティ・ハイツ竹芝」12階で、この階に住む都立高校2年市川大輔(ひろすけ)さん(16)がエスカレーターから降りようとしたときに、エレベーターが扉が開いたまま上昇し、市川さんは内部の床部分と12階の天井の間にはさまれ、約50分後に救出されたが、全身が圧迫され、頭蓋骨も骨折しておりまもなく死亡した。
このエレベーターを製造したのは「シンドラー・エレベータ」(本社:東京都江東区)で同じ製造元のエレベーターが異常な動きをするトラブルが、東京工業大学すずかけ台キャンパス(横浜市緑区)の建物内でも頻発している。また、シンドラー社製のエレベーターが昨年4月から今年2月までの間に東京都内だけで、軽微なものも含めて136件のトラブルがあった。仙台市の宮城県図書館のほか、横浜市、名古屋市、滋賀県栗東市の公営住宅、福岡市営地下鉄の駅でもトラブルがあったと報告されている。朝日新聞によれば、中国でも事故で2名が死亡しているという。
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高層ビルに住み、オフィスがあるわたしたちにも深刻な問題
マレーシアにいるほとんどの日本人は高層住宅に住んでいる。また、高層ビルにオフィスがある事業所もあれば、ビジネスの相手が高層ビルのいることも多い。もちろんホテルもそうだ。
だから、エレベーターはきわめて日常的な設備だ。毎日必ず数回は乗降に使用する。高齢者や小さな子供が利用することも多い。そして、わたしたちの多くが住むコンドミニアムの中にも「Schindler」の製造したエレベーターがあるだけに、他人事ではない。しかも、「Schindler」は「Otis」とともに歴史と伝統があり、技術力とメンテナンス・サービスを誇るグローバル企業だけに、扉が開いたまま、エレベーターが乗降したという事実をしってもにわかにはのは信じられない。警視庁の捜査結果を見守る一方で、エレベーターにはより慎重に乗り降りするように子供たちにも徹底させる方がいいだろう。
■シンドラー社の対応
シンドラー・エレベーター社は、同社のホームページで被害者の冥福を祈り、遺族には哀悼の意を表しているが、「事故が起こった経緯については現在警視庁が捜査している最中でございますので当社からのコメントは差し控えさしていただきます。」としている。7日には警視庁が同社などを業務上過失致死の疑いがあるとして家宅捜索を怠っている。
さらに7日のホームページにあるコメントには「捜査に全面的に協力する」としながら、我々の製品及び保守が高い安全基準を満たしていると自負しています」とある。世界第2位のエレベーター・メーカーであることの自信が、現実に起こった事故への対応を誤らせている。
ドアが完全に閉まらない限り、エレベーターは動かないようにすることが義務づけられている。その階にきちんと停止していなければ、ドアは開かないことになっている。エレベーターが安全な移動手段であるために、最低必要な規則だ。その信頼なしにはエレベーターは存在し得ない。
現実に、この基本の第一歩が崩れた。そして死者がでた。ところが、自社の製品は安全基準を満たしているという。ではなぜ、ドアが開いたまま上昇するという事故が起きたのだろう。悪魔の力で超常現象が起こったとか、引力が逆方法に作用したとでもいうのだろうか。わたしたち素人にはその程度の想像しかできない。
必要なことは、これまでの故障や事故のデータを分析して、可能性を探りながら、事故現場の精密な調査をすることだ。同社のエレベーターを数万、わたしたちのような海外にすむ人たちを含めれば、何十万人、何百万人もの人たちが利用しているのだから、不安に思う人たちに真摯に説明をするべきだ。世界2位の自信が「傲慢」と感じられた。
日本の「シンドラー・エレベーター社」は1935年に「東和エレベーター工業所」製造部として創業し、1954年「日本エレベーター工業」設立、1985年、「シンドラー・ホールディング」が株の30%を取得した。1991年には「シンドラー・エレベーター社」と社名変更した。95年には「シンドラー・ホールディング社」が株式の96.7%を取得した。社長はケン・スミス氏。
シンドラー・ホールディング社は創業1974年、世界47ヶ所に工場をもち、エスカレーター・動く歩道では世界1位、エレベーターでは世界2位の規模のトップメーカー。本社はスイス。スイス、オーストラリア、米国、ブラジル、中国、マレーシアに工場をもつ。 |