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ASEANは結束して
中国・インドと対抗できるか? |
8月23日、クアラルンプールで開かれていた東南アジア諸国連合(ASEAN)経済閣僚会議で、マレーシアのアブドゥラ・バダウィ首相が8月22日の冒頭演説で「ASEAN経済共同体構想の実現目標を予定より早く推進する必要がある」と述べた。
ASEAN諸国というよりも一国一国が経済的に発展をつづけていくためにはASEANとして結束し、一刻も早く経済共同体としてまとまることが最善の道だということを切実に願っての演説だったということができる。
1997年のアジア通貨危機に至るまで、東南アジアは世界の製造工場といわれ順調な発展を遂げていた。通貨危機にみまわれ、東南アジアは経済危機に陥いった。国際通貨基金(IFM)の介入で危機を脱した国もあれば、マレーシアのようにIMFを拒絶して回復した国もある。しかしながら、人口2億人のインドネシアはイスラム過激派によるバリ島爆弾テロなどテロ組織の攻勢だけでなく、スマトラ沖地震・津波などの巨大自然災害によって復興が遅れている国もある。
東南アジアがもたついている間に、人口13億の中国がなりふり構わず経済発展を目指して突き進みはじめ、世界の製造工場となってしまった。次いで、人口10億人のインドがとくに情報技術分野で飛躍的な発展をしはじめた。二つの人口大国の経済発展には、地域的や職域的などで相当な経済格差があり、いわゆる中産階級以上のパーセンテージは欧米先進国よりも格段に低いものの、中国の新興中産階級は全就労人口の約12%で8000万人、インドは3億人と言われる巨大市場を抱えるようになった。
中国という製造工場から安い製品が世界中に輸出され、中国国内の消費活動も日本や欧米企業には無視できない情況にある。インドも同様だ。しかし、中国もインドも広大な国土に巨大人口を抱え、急激な工業化、経済発展に伴う様々な副作用が発生している。中国の共産党一党独裁は、資本主義という共産主義とは矛盾する思想を容認してしまった。インドはカースト制度や宗教対立という大問題を抱えている。経済が発展すればするほど国家が恐れるリスクが肥大していく。二つの国に必ず訪れるだろう荒波を無事に乗り切ることができるか、遭難してしまうか、どちらであっても不思議はない。
将来はどうなるかは分からない。しかし、現実問題として、二つの大国に挟まれた東南アジアは両国に対抗して経済発展をしていかなければならない。人口的にも一つ一つの国の力は弱い。十カ国間の格差は厳然としてある。先頭を走るシンガポールは人口400万人の島国、新興経済発展国家であるマレーシアは人口2500万人とタイは6230万人、比較的豊かなブルネイは人口約30万人にすぎない。一歩遅れているフィリピンは8150万人、インドネシアは約2億人と言われている。中国同様、共産主義国家でありながら経済を開放したベトナムは8300万人。自力で経済発展していくことができるのは以上の七カ国だけで、残るミャンマー、ラオス、カンボジアの参加国は国際社会の多大な援助なしには発展はおぼつかない。
中国やインドに較べて東南アジアが勝るのはリスクの少なさだろう。とくにシンガポール、マレーシア、タイの三カ国についてはカントリー・リスクはきわめて低い。また、ベトナム、インドネシア、フィリピンに勤勉な労働者が多い。地下資源も豊富にあり、鉄鉱石やウランなどが豊富なオーストラリアとともに安定している。穏健なイスラム国家であるマレーシアの存在も中東アラブとの良好な関係を維持するためにひじょうに大きな力となる。
単一の国家としては弱いけれど、東南アジアとしてまとまれば大きな力となる。
しかし、東南アジア十カ国は経済的なレベルの差だけではなく、民族性や宗教的制約、民主主義の発展具合も著しく異なるし、共産主義国家もあれば、軍事独裁政権もある。中国と緊密な関係の国もあれば、中国を脅威と感じている国もある。多様な国々、多様な国情の十カ国を統合するのは至難の業だ。それでもやらなければならないのが「ASEAN経済共同体」だ。小異を捨て大同につくことができるのだろうか。
まとめ役としてのマレーシアの存在は重要だ。多民族多宗教国家であり、植民地として辛酸をなめつづけてきたマレーシアの果たした経済的発展は、後発の国々にとっていろいろな意味で優れた教材となりうる。欧米諸国に対しても毅然とした態度で接しつづけてきたことも評価できる。頑張って実現してほしいと望んでいる。 |
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