| ■週刊ポストと読売ウイークリーが批判
終戦後のベビーブームに生まれた団塊の世代の第一陣がいっせいに定年を迎える2007年を前に、定年後の第二の人生をいかに有意義にたのしく人間らしく生きるか。そのひとつの手段として「海外でのロングスティ」が脚光を浴びている。
オーストラリア、カナダ、スペインなどのヨーロッパ系諸国だけでなく、アジアではマレーシア、タイ、フィリピンあたりが人気の的になっている。英語が得意ではなく、アジアの一員であり、黄色人種である日本人にとっては温暖な東南アジアの途上国で手ごろな生活費でゆったりのんびりすごすのも悪くはないと考えている人も多い。
団塊の世代の先陣を担って、すでに多くのリタイア組がマレーシアのペナン、クアラルンプールや、タイのチェンマイ、フィリピンのセブ島で生活をしている。端緒についたばかりの第二の人生としての海外生活となる「ロングスティ」。これをめぐって、9月には『週刊ポスト』が3回連続で「夢の海外移住・話が違う」と題した記事が連載され、生活
習慣や社会システムの違いに悩むロングステイヤーや、無防備な日本人の中高齢者を待ち受けて日地儲けをたくらんで いる人々の話が載っている。
■「“これじゃヤクザ!?「ロングステイ財団」が 集める“みかじめ料”」
ロングステイの本人たちと受け入れ先の団体への糾弾についで、ロングステイを推進する経済産業省(旧通産省)の認可を受けた公益法人がリタイアメント・ビジネス・ジャーナル編集長尾崎浩一氏に批判を浴びている。
『読売ウイークリー』11月19日号には「“これじゃヤクザ!?「ロングステイ財団」が 集める“みかじめ料”」という記事が掲載された。ロングステイ財団はサントリーの名誉会長の鳥井道夫氏が会長、理事長は元特許庁総務部長の竹内征司氏というように経済産業省官僚の天下り先であり、ロングステイで儲けようという旅行業などがメンバーになっている。
問題になったのは日本語の「長期滞在」を単純に「ロングスティ」と訳しただけの単語を財団法人「余暇開発センター」が1989年9月に商標登録を申請したことに発する。
つまり、旅行業者も出版社も『ロングステイ』と言う単語を用いるならば、ロングステイ財団の登録商標なのでロングステイ財団の許可が必要だ。財団では登録商標の使用は法人賛助会員への入会が前提となる。法人賛助会員の入会金は10万円、年会費は24万円。旅行会社がパンフレットに「ロングステイ」と表記したければ入会金と会費を払え。出版社がロングステイを促す本を出版しようとするなら、入会金と会費を払えというのだ。
単純に「長期滞在」を直訳しただけの「ロングスティ」を登録商標にしてしまい、使いたければ金を払えというのが表題の「“これじゃヤクザ!?「ロングステイ財団」が 集める“みかじめ料”」ということになる。
ロングスティ財団側の主張は1、2007年の団塊世代の大量退職を控え、マスコミで「ロングスティ」が取り上げられる機会が増えているが、その一方でトラブルも発生している。2、ロングステイが新たなマーケットとして認知されつつある現在、消費者保護と旅行業界の健全な発展のためにも登録商標認識の周知徹底を望む。というものだ。さすが、官僚的な発想、ヤクザの屁理屈、言いがかりといい勝負だ。
ロングステイ関連の旅行には中小旅行業者も参入しつつある。新しいビジネスにはリスクがつきものでロングステイも「儲かるか儲からないか、数年やってみなければわからないビジネス」だ。大手なら高の知れた金額でも、中小には負担になる金額だ。「月額でたった2万円じゃないか」というのはヤクザの発想で、競争が激しく、利幅の少ない旅行業者にとっては少なくない金額だ。
出版社やマスコミに冠して言えば、大手出版社の刊行物や大手マスコミ、テレビ局の番組ほど、いいことだけしか言わないし、海外で起こりうる不測の事態や心構えを正確に伝えていない。「マレーシアの物価は日本の三分の一から四分の一、6万円以上で生活出来ます」とか「10万円で夫婦二人が生活できる」、「英語が話せなくても、仲間がボランティアで助けてくれるのでまったく問題ない」、「現地の人は明るくて気さくないい人ばかり」と言った具合だ。
マレーシアで生活している人ならば、学生や20代の若者なら知らず、6万円=2000リンギで60代の日本人が安全で健康的なふつうの生活ができるはずがないことは常識だ。夫婦で10万円=3300リンギだって厳しい。住宅費で最低でも1000リンギ、セキュリティーを考えたら1500リンギ以上かかる。食費に1000リンギ、交通費、通信費でギリギリだ。安全で健康的なふつうの生活にはほど遠い。病気や事件事故に遭ったらパンクする。必要最小限の英語も話せない人が外国でどうやって暮らすのだろう。日本人だけと付き合っていくしかないなら、なぜマレーシアに来たのだろう。大体ボランティアというのは都合が悪かったり気分が乗らなければ助けてはくれないし、責任をもって何かをやってくれることもない。金銭が絡まなければみんないい人というのはマレーシアだけでなく日本も一緒です。日本だって振り込め詐欺のように手を買え品を変え、いい人のふりをして他人の金を巻き上げようとする輩が増えているのです。マレーシアだって同じです。
■安全で健康的な普通の生活をするために
マレーシアは治安がいい。犯罪はあるけれど、凶悪犯罪は少ない。医療機関は充実しているし、医療レベルもいい。物価が安いし、なによりも食事がおいしい。第二の生活をするには最高の国だと思います。それでも、外国で暮らすには、その国で安全で健康的な生活をするために必要最小限の情報や知識がなければ生活できません。
せめて、日本で社会人として荒波を乗り越えていたころの気構えや常識、プライドを持って着てほしいと思います。中高齢にさしかかったロングステイヤーは病気、事件事故に遭遇しやすい。そういう事態に遭わないようにするにはどうしたらいいか。遭ってしまったらどうするのか、そういうことを指導するのが、ロングステイ財団や関連業界の仕事です。片言の日本語を話す人、いいことばかり言ってくる日本人、彼らも問題ですが、無防備に彼らを100%信じてしまうロングステイヤーにも問題があります。
日本全国どこに行っても、世界中どこに行っても、夢のような理想の生活ができる場所はありません。半世紀前、朝鮮総連や日本社会党の、最高の指導者に恵まれた「地上の楽園」というキャッチフレズーを信じて北朝鮮に渡った人たちがいました。政府や旧JICАにだまされて中南米にわたった人たちもいます。北朝鮮も中南米の移植地も生き地獄でした。政府や政治家のいうことだって信用できないのです。いいことばかりを信じていけば、話が違うのは当たり前です。そんなことは中学生にだってわかる理屈です。いい年をした中高齢者が「着てみたら、話が違う」、「だまされた」というのは恥ずかしいことです。
マレーシアで暮らそうと思うなら、まず、マレーシアの歴史、地理、文化、社会システムを理解してくるべきです。この国で生活しようと望むなら、まず、相手を知るのがマナーです。
旅行会社や出版物、テレビ番組を見て「マレーシアは100点満点」と信じてくるのは日本人だけでしょう。それは子供のころから「人類みな平等、職業に貴賎なし。話せばわかる、人を信じよう」と教え込まれてきた日本人ならではの非常識だということが出来ます。何事にも一歩退いて、冷静に相手を観察する慎重さが必要です。50点くらいから始めるのがいいでしょう。いいことがあれば加点し、悪いことがあれば減点し、半年後、1年後に70点くらいになればいいと思います。 |