マレーシアを代表する観光地ペナンのタクシーは今だに料金交渉制だ。州政府はメーターを使うようにタクシー運転手の組合を懸命に説得しているが、先行きの見通しは暗い。タクシー側は料金が安すぎて、ガソリン代の高騰や諸物価の値上がりに較べて低く抑えられていると主張している。州政府側は観光客誘致の目的からも見て、料金は安いに越したことはないという主張だ。双方に歩み寄る気配は見られない。
KLからペナンのバスターミナルまでバス料金は27リンギだ。ところが、バスターミナルから、ジョージタウンの街までタクシーに乗ると25リンギ。「何だこれは??」と誰しもが思う。不愉快になる。
外国人にしろマレーシア人にしろ旅行者は現金をもっているし、重たい荷物を持っている.だから、法外に高い料金を吹っかけられても「しかたがない」と妥協してしまう。それで、観光客誘致を促進したいというのだから、笑ってしまう。これはペナンだけじゃなくて、ランカウィ島のタクシーはもっと悪質だ。
だから、観光客からすれば、「マレーシアのタクシー料金は安い.少しくらい高くても、メーターで分かりやすくしてほしい」と考える。高いと言っても、1キロ走って30セントから50セントの違いだ。日本円で10円から15円程度、これで不愉快な思いをしなくてすむなら安いものだと思う。ペナンに住む、日本人のロングスティヤーのおじさんおばさんたちの中には、この50セント、1リンギの差が気に入らない人がいて運転手と喧嘩をしているそうだが、そういう人はタクシーに乗らなきゃいい。歩けばいいのだ。そして、汗びっしょりかいて、引ったくりにでも遭えば、自分の愚かさに気づくだろう。
マレーシアに数ヶ月住めば、タクシーでどれくらいの距離を行けば、いくらぐらいと言う見当はつく、クアラルンプールでもプドゥラヤ・バス・ターミナルで客待ちをしているタクシーに、「ここからペタリンジャヤのセクション14までいくらだ」と聞くと「30リンギ」という。流しのタクシーに同じことを聞いたら「メーターです」というのでこっちに乗った。目的地まで10リンギ弱、思わず「おつりはいいよ」と言ってしまった。
数年前、時の観光大臣が「マレーシアのタクシーは全部詐欺師だ」と言って、タクシー運転手たちから強烈な講義を受けたことがある。利用者側からは「同感だよね」という声が上がった。観光省も観光促進を阻害する要因と見ている証だ。それでもどうにもならないのは、タクシー行政、運輸行政側とタクシー業界との感覚の差だ。消費者側は「安いほどいい」に決まっているけれど、「本音では少しくらい高くても、料金が明確になるメーター使用の方がいいに決まっている。
ペナン州政府はロングスティの外国人誘致に躍起になっている。それなのに、バスなどの大量輸送機間の整備は遅々として進まない。悪評が絶えないタクシーの交渉制の問題もまったく進展がない。日本では、タクシー料金が値上がりすることを運輸省が認可すれば、値上げの理由をきちんと明示すれば消費者は納得してしまう。それで喧嘩になったという話は聞かない。
ペナンのタクシーは客待ちが多い。乗る人が少ないのだろう。だれもが不愉快な思いをしたくないと思っている。バスもいつ来るか分からないから、必然的に自家用車の使用が増える。小さな島を走っている車両数が増えればどうなるか、小学生でも分かる理屈だ。公共交通機関を整備することこそ、観光客誘致の基本ではないのか。 |