| ペーパー商法とは
「この会社に投資をしたら年利××%を保証するよ」と言って多くの人々から多額の現金を集めて、さいしょのうちだけ配当を払って信用させ、さらに投資額をふやさせる。気がついたらその会社は倒産、経営者たちは集めた金を持ってドロン。よくある詐欺事件、いわゆるペーパー商法です。
その代表選手が豊田商事事件です。1980年代、豊田商事は純金の商品の替わりに「純金ファミリー契約証券」を発行して年利10%で運用するといって資金を集めた。10%の金利は先払い、と入っても客からは90万円を受け取り、100万円の証券を発行するといった手法だった。
歩合給につられて躍起になったセールスマンたちが超豪華なオフィスで商談、契約を結んだ。おもしろいように庶民と言われる人たちがひっかかった。総額2000億円以上を集めた、史上最大の詐欺事件と騒がれた。マスコミやカメラマンが見守る中で永野会長が視察されたこともあって、当時は大変センセーショナルな事件だった。他にも「天下一家の会」ネズミ講事件などがある。
勝ってなんぼの『軍時国債』、『軍票』、『西郷札』も紙一枚で資金作り
これらは最初から騙してやろうという意図があるので明らかに詐欺事件ですが、国や地方自治体が債券を発行して、これがただの紙切れになったとしたら、債券を購入した人たちは何と思うだろう。日本人は我慢強い民族だから「お上のしたこと」で納得してしまった過去がある。太平洋戦争中に発行された『戦時国債』というのがある。『貯蓄債権』と『報国債権』があり、貯蓄債権は額面十五円の債権を十円で購入するという、のちに豊田商事が債券を売ったやり方の原型です。
古くは軍票というのも戦時債権の一種です。明治10年西郷隆盛は明治政府に反発して西南の役を起こしました。戦争のための武器調達、食糧調達、労務者の賃金などに薩摩の軍票、つまり世に言う『西郷札』を発行してまかないました。太平洋戦争中にここマレー半島でも山下奉文中将が司令官の陸軍第二十五軍は戦費調達の手段として『軍票』を用いました。これはマレーシア国内の歴史博物館や貨幣博物館などに展示してあります。満州国でも『国債』と『軍票』のどっちともつかないようなものがありました。戦争の軍費調達を目的とした『軍票』は戦争に勝つということが前提ですから、負けてしまえば紙切れです。『軍票』をもっていたマラヤ半島の人々に日本政府が補償したかどうかは知りませんが、『軍票』を見つめて悔し涙を流した人々が大勢いることは間違いありません。たぶん、慰安婦と呼ばれた女性たちもそうだったのでしょう。『西郷札』は130年前のものですから、一旦は紙くずになったものの、最近では骨董品としての価値で、もし同一人がもっていれば多少は儲けが出るでしょう。
太平洋戦争中に発行された『戦時国債』やその他の『債権』も「日本軍の勝利を確信して」多くの国民は購入しました。「確信していないと非国民と呼ばれて憲兵に連れて行かれて拷問を受けるから、国民全員がなけなしの金をはたかざるを得なかったのです。戦争に負けたとはいえ国家としては存続していたのですから、当然満期には返済義務があります。もちろん国庫はカラッポ、返済能力は限りなくゼロに等しい。日本という国の運の強さは、終戦直後に日本経済を襲った超インフレでした。昭和12年に100g41銭だったぜいたく品の牛肉が昭和27年には156倍の72円になり、昭和20年に1升72銭だった小豆が昭和26年には249倍の177円50銭、昭和20年には金1g4円80銭だったものが昭和28年には120倍以上の585円になってしまうという物すごいインフレでした。お陰で、債権はことごとく紙切れ同然になって箪笥の肥やしになってしまい、返済需要はほとんどありませんでした。
負けるつもりで戦争をする政府は今もところないでしょうから、戦争からみの債権は最初からだまそうという意図はなかったでしょうから、犯罪性は薄いとも思えますが、当時の内閣閣僚や軍の指導部には国家の最高指導者たるもの常に最悪の事態を想定して政策を決定する義務があるのですから、ひつような義務を怠ったという罪に相当するでしょう。
生命保険会社や損害保険会社から受け取る契約書には、細かい字で、払い込み金額に応じて、こういう場合にはいくらの補償、こういう場合にはいくらの補償と書いてあって、細かい条件が付記されていることも多く、保険会社の人から口頭で詳しく説明を聞いて何となく納得させられてしまっているのが実情です。
昨年8月あたりから損保大手の「支払い対象でありながら、支払い条件に合致しないという理由での保険金不払いが大量に発生し、社会問題となった。生保でも契約者からの請求がなかったからという理由による不払い事例が大量に発生し、損保、生保とも金融庁による「不適正な不払い」に関する調査報告が命ぜられ、行政処分も行われている。
金融庁の指摘によって報告をさせられるたびに、次から次に後から後から出てくる出てくる。「何だ。最初の頃の報告は、この程度出せば金融庁もメディアもおとなしくなるだろう」と高をくくっていたとしか思えない状況になってきた。「契約者が気がつかなければ、保険金を払わないで済ましてしまおう」という魂胆も見えてきた。保険料金を多く集金していた事例もあった。
何となく「保険屋さんは、やっぱりペーパー商法。契約書という紙切れで金を集めるだけ集めて、いざ払うときになったらなんだかんだと言って払わない。これで、倒産でもして役員や管理職たちが逃げ出したら、豊田商事事件とそっくりだ」ということになる。「契約者に分ってしまったら払おう」というのは相当悪質だ。
損保も生保も新卒大学生の人気職種だった。金融庁に叱られるたびに頭を下げている実直そうに見えるおじさんたちは、そろって一流大学を出た高給取りのエリートたちだ。経営者として、部下に対して「可能な限り支払い金額を減らせ」と命じたことはなかったか、「請求がないものまでこちらから払う必要はない」と言ったことはなかったか。あったとしたら、司法の介入が必要になるだろう。まあ、消費者側から見れば、「言わなかったはずがない」と思うのだが… |