マスコミが作った“ハンカチ王子”と“ハニカミ王子”で
「ファン」がキャーキャー、ワーワー大騒ぎ
 史上最年少の15歳8ヶ月で男子プロゴルフツアーを制した石川遼(東京・杉並学院高校1年)をめぐって、マスコミが“ハニカミ王子”などというわけの分らない愛称をつけて、必死になって視聴率を向上させようとして、人気を煽っている。それにつられた、ゴルフという競技事態をよく知らない主婦や若い女性などが「ファン」と自称してキャーキャー、ワーワー大騒ぎしている。
 昨年夏の甲子園で決勝を延長引き分け、翌日の再試合でも嘆きって優勝旗を手にした早稲田実業の斉藤祐樹投手には“ハンカチ王子”と名付けられ、早稲田大学に入学したあとも、マスコミと野球を知らない女性ファンたちが大騒ぎしている。石川選手のフィーバーは、ここ数年宮里愛などの十代でデビューした女子プロゴルファーが次々と登場して、人気を盛り上げたのに、男子はというと低迷しつづけていた。そこに降って湧いたような新星が登場した。男子のプロゴルフ協会にとっては吉報だ。古参のプロたちが「あんな若造に負けてたまるか」と奮起すれば、男子プロゴルフ界のレベルが上がり、おもしろくなる。
 
 マナー知らずのファンが選手のプレーを妨害

 6月4日に千葉カントリークラブ梅郷コースで始まった関東アマチュア選手権大会には、出場する石川選手を見ようと1,900人のギャラリーがあつまった。年配のファンだけでなく主婦や若い女性ファン、学校をサボった女子高校生など初めてゴルフ場に足を運んだファンが多かった。ギャラリーのほとんどが石川選手についてゾロゾロ。お陰で、石川選手と一緒に回った淵溝隆一選手は「ギャラリーが多くて、地に足が着かなかった」で12オーバー。ギャラリーの多くは携帯電話のカメラをカチャッ、カチャッやっているし、フェアウェイを平気で歩いたり、ルールもマナーもない、無法状態になってしまった。
 5日の第2日には3,800人ものギャラリーが押し寄せた。この日もギャラリーのマナー知らずは変わらず、石川選手が打ち終わるとすぐに動きはじめて、これから打とうとする同組の選手の集中力をかき乱す行動に出た。さすがに石川選手は自らギャラリーに、「すみません、止まってください」と他の選手に気を使っていたが、その分スコアが乱れた。この日も携帯電話のカメラのシャッター音はひっきりなし、選手たちの苛立ちはつのった。

 なんでもありのTBS、同組の選手に小型マイクの装着を依頼 

 ギャラリーの馬鹿さ加減に輪をかけたのがTBSだった。
石川選手の声を拾おうと、石川選手と同じ組の選手に小型マイクを装着するよう依頼したという。依頼された競技者が競技役員に話して判明した。また、石川選手のゴルフバッグにマイクの装着を主催者側に依頼したが、これも断られ、さらに、選手権事務局にカートに小型マイクの装着の許可を求めたが断られたという。また、競技中に、上空からヘリコプターで取材したことも含めて、TBS広報部は「小型マイク装着を依頼すること自体が非常識で不適切な取材。はなはだ遺憾」、「ヘリコプター取材も不適切」と謝罪した。
 もし、選手が依頼を受けていたら、TBSは当然謝礼を払う。そうしたら、アマチュア規定違反になり、大会から追放されてしまう。それほど重大なことをTBSは視聴率もしさにやろうとした。そうするのが当然、TBSの常識であって、もし、それをしなければ、罵倒され、職場から放逐される可能性がある。たまたま、関東アマの放映権がTBSにあったからであって、日本テレビでもフジテレビでも同じ事をやって、ばれたら、「不適切で、遺憾」とか言って事態を収拾してしまおうとする。
 テレビ局の言う「知る権利」、「報道の自由」とは、ふつうの高校生をヒーローに待つ利上げ、あるいはアイドルに仕立てて、視聴率を稼ぐことができたら、何でもありという事なのだろう。「知る権利」とは他人の家(テレトリー)に土足で踏み込んできて、相手のプライバシーとか「知られたくない権利」、「黙秘する権利」を無視し傍若無人に取材することなのだろう。
 早稲田の斉藤投手だって、ゴルフの石川選手だって、「××王子」などと名付けられてうれしいわけがない。周囲の仲間、先輩、後輩にも余計な負担をかけ、本人は恐縮してしまう。「それを乗りこえてこそ、大選手になれる」なんて偉そうなことは言わないほうがいい。自身の努力といい指導者に巡り会うこと、それと、運がすべてだ。テレビ局に煽られた人たちのキャーキャー、ワーワーが、大選手になる道の邪魔者でしかないことを忘れてはいけない。
 TBSには楽天が買収攻勢をかけている。楽天がTBSの経営・運営に影響力をもつようになれば、楽天の本音がどこにあるとしても、とりあえずは、少しはましになるような気がする。TBSの井上弘社長は、今回の大失態を現場の責任として「ばっかじゃない」と記者会見で言ったが、現場をかばって謝罪するのが社長の役割り。こういう人が社長や役員をしている会社なら、楽天の方がはるかに上等だ。乗っ取られる方が視聴者にとってはいい結果を生むように思えてならない。

 
     
 
 
ここに掲載の記事・写真・図表などの無断転載を禁止します。
著作権はA. P. PRESS (M) SDN. BHD.またはその情報提供者に帰属します。
POWERED by Minamikaze Digital Animation Studio Enterprise