参院選、与党に大逆風。でも現実は
 台風一過の快晴とはいかないけれど、白い雲の合間に青空が見える。先週来、九州地方が梅雨前線による豪雨に見舞われ、次いで大型で強力な台風四号が梅雨前線を刺激し、台風四号自体の猛威と併せて、記録的な豪雨を九州、四国地方にもたらした。空梅雨気味で極度の水不足が懸念されていた四国も、首都圏関東もこれで水不足は解消しそうだ。大雨と強風の被害は甚大だったけれど、いいこともあった。自然災害国日本に住む人の運不運だとあきらめるしかないでしょう。

 3、4日、テレビも新聞も豪雨の被害のニュースばかりだったお陰で、一番ご利益があったのは年金問題、生活格差問題、政治と金の問題などで逆風にさらされている政府与党の自民党と公明党だろう。なかでも事務所経費を両親が住む実家に付けまわして野党やメディアの追及を受けていた赤城徳彦農水相にとっては、文字通り恵みの雨だったはずだ。赤城大臣は追及を避けるようにジュネーブに外遊し、ひっそりと帰ってきた。安倍首相も赤城問題の追及が減ってほっとしたことだろう。

 朝日新聞が14、15日実施した世論調査では年金記録問題への怒りは88%、自分の年金への不安が解消されない人は50%、相変わらず、年金問題は与党には大逆風になっている。赤城農水相の事務諸経費問題に対処する安倍首相の態度を「適切だった」と答えた人はたった15%、71%の人が「適切ではなかった」と、答えている。赤城問題は安倍首相自身の責任でもあると考える人が大多数だろう。しかし、年金問題は30年、40年と蓄積されてきた不祥事だ。安倍首相自身の責任ではない。本来、この問題で矢面に立つのは厚生労働大臣の柳沢伯夫大臣のはずだった。ところが柳沢厚労相には1月に「女性は産む機械」と言ってしまった記憶が新しい。安倍首相からすれば、世間からは「あいつが言うことなんか」なんかと嘲られ、あの陰気くさい顔をメディアの前にさらして、「女性は機械」発言を蒸し返されてはかなわんという思いもあったのだろう、主として首相自身が矢面に立ってしまった。「あんたが悪いわけじゃないのに、そんなにむきになってどうするの」とか、「だから、あのときに辞めさせておけばよかったのに」と感じた人も多かっただろう。

 半分くらい責任がある赤城農水相の政治と金の問題にしても、すぐに辞めさせておけば、政治資金に厳しいという評価を得られただろう。それなのに、下手にかばうから、赤城大臣は田舎の実直そうな両親と一緒に嘘ばっかりついていると国民の多数が信じてしまった人たちをかばったりするから、安倍首相は「同じ穴の狢(むじな)」、「金に汚い政治家」と言う目で見られてしまっている。

 このままいけば、参議院戦の当選者数は与党が三割、野党が七割になっても不思議はない。でも、日本の国民は怒りを怒りとして適切に表現するのが苦手な民族だ。「年金問題で下手に与党を困らせるより、与党の良心を信じてやらせてみましょうと」とか、嘘つきだということが分っている赤城農水相に対しても、「なんかの手違いでしょ。ほんとうはいい人なんだから、今回は許してあげましょう」と言って、なかったことにしてしまいそうだ。

 日本人はとことん人がいい。生まれたときから性善説を叩き込まれている。「あの人に限って」とか「魔がさしたとしか思えない」という台詞の大好きな国民だ。したり顔で「今回の与党の連続失策は問題だけど、民主党や他の野党でに任せたら、もっと悪くなる」と言う人も多い。

 何度も何度も痛い目にあっているのに許してしまう、だまされてもだまされても許してしまうのが日本人だ。政治家と官僚、財界の癒着は半世紀も前から騒がれている。それで、よくなるかといえば、悪くなることはあってもよくなることはない。小泉前政権も安部政権も、御手洗経団連の言いなりで、儲けすぎの大企業には減税、サラリーマンの減税はやめて実質増税している。それでも「寄らば大樹の陰」と長いものには巻かれてしまう。

 雰囲気は与党惨敗。でも29日の投票日が終わってみれば、安倍晋三首相が高笑いをしているという、きわめて日本的な光景がテレビ画面でくり返されるような気がしてならない。

 
     
 
 
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