| 7月21日の朝日新聞の夕刊の『07参院戦・今こそ問う』というコラムに、作家の室井佑月(ゆづき)さんが安倍首相の肝いりの教育再生会議について、「鼻につく勝ち組の教育論」を展開していた。教育再生会議のメンバーは元五輪選手、企業のトップ、劇作家などで占められているという。東大などの一流大学を卒業して一流企業に勤め経営のトップにまで上りつめた人。子どものことからスポーツ選手として社会の注目意を浴び、スポーツのエリートとして頂点をきわめた人、あり余る才能に恵まれた劇作家、室井さんもそうした一人かも知れない。
ただ、普通の家庭の母親として7才の子の子育てをしている彼女の視線は、ふつうの公立学校で子育てをしている母親の視線で教育再生会議を見つめている。室井さんは、「このメンバーの何人が子どもを公立学校に通わせ、公教育の現状を知っているのか」という疑問を投げかけている。
挫折を知らない社会のエリートたち「勝ち組」が「親と学校はこうあるべきだ」として、「親子の絆、父親の子育て参加、早寝早起き朝御飯」などと提言しているという。誰が聞いても正しいことを言っている。そうしたいのは山々だ。それができないうから苦労しているし、子供を産むことにも躊躇してしまうという。室井さんは「親子の絆、父親の子育て参加、早寝早起き朝御飯」ができるような社会環境をつくることが先決だという。パートの最低賃金を引き上げ、託児所や小児病院をふやしてほしい、普通のお母さんたちの切実な声を聞いてほしい。現状を理解できる人たちに考えてほしいという。それこそ、参院選で叫んでほしいことだという。
そういえば鳴り物入りで教育再生会議の中心的存在だったヤンキー先生こと元市立学校教師の義家弘介氏は自民党に引き抜かれて参議院選挙の比例区の目玉候補になってしまった。つまり、教育再生会議のメンバーは政府与党の自民党や文部科学省に群がる政治家たちの意を汲んだ人たちであることが露呈してしまった。子供のころ、非行少年でヤンキーと呼ばれた義家さんは、そんな自分を見つめなおして大学に行き、私立高校の教師となって自分の高校時代と同じような生徒と向き合った。義家さんは私立学校を退職し、教育評論家に転進した。教育再生会議にとって、いったん社会からドロップアウトした人が自力で這い上がった人物は、まさに敗者復活戦から勝ち上がった教育には理想的な人物だったはずだ。安倍内閣は自分たちが引き入れた貴重な人材を選挙の目玉に引き抜いてしまった。一度挫折した人にでも、もう一度這い上がるチャンスがある。そうした社会を構築できれば、勇気が湧いてくる人も多いだろう。学業やスポーツのエリートではない子どもたちが夢をもち、希望に向かって自分の脚で歩いていくことができる社会。例え、一度は挫折をしても、敗者復活戦がある社会こそ、教育再生よりもふつうの人々に求められる社会なのではないだろうか。自民党はそうした人材を社会のエリートに変身させてしまった。
順風万帆で生きてきたエリートと呼ばれる人たちの発言は、普通の生活をしている人たちには「上から見下ろすような物言いは鼻につく」と室井さんはいう。一流大学をでて一流企業でトップにまで上りつめるには、わたしたちの想像を超えた努力が必要なのだろう。一流のスポーツ選手も同じだ。親子で二人三脚になってスポーツエリートに育て上げられる。自分の子が試合に出るためには平気で他の子の足を引っ張る。それでもダメだと、所属するスポーツチームのスキャンダルをメディアに流す。入学金や授業料、合宿費を免除され、×○王子とか△▲姫とかおだて上げられて、親も子も舞い上がっている。そうした少年期を過ごしてきた人たちに教育を語ることができるのか、疑問に感じる。
安倍内閣は仲良し官邸団と揶揄されている。年金問題の第三者委員会、政府には諮問委員会がたくさんある。こうしたメンバーも安倍内閣やシンパの議員たち官僚たちによって選ばれた仲よし委員会なのだろう。
ふつうの人々の視線で物事を見つめられる人たちの意見を聞いてこそ、教育問題も社会格差の問題も少しはよくなるのではないだろうか。 |