三カ国歴訪などしている時期ではないでしょう
 安倍晋三総理大臣が、インドネシア、インドに次いでマレーシアにやってきた。

 最初の訪問国インドネシアで、安倍首相はユドヨノ大統領と会談。昨年11月に合意した「戦略的パートナーシップ」に基づいて、環境やエネルギーなど幅広い分野で協力関係をより強化することで合意した。安倍首相は自らが提唱する「美しい星50」を説明し、2050年までに温室効果ガスを半減させる方針を伝え、両国で協力して取り組んでいくことを了承した。

 安倍首相はインドでは国会で「2つの海の交わり」というテーマで演説した。日本や中国の東アジアとインドの南アジアとの融合を語った。また、22日の日印首脳会談の共同声明では政治の中心の首都ニューデリーと商業の中心ムンバイとの間のインフラ整備計画の「デリー・ムンバイ産業大動脈構想」のプロジェクトの予備調査のための基金創設に日本政府が協力することが織り込まれた。インド側の試算では100億ルピーと見込まれている基金の一部を融資する。また、自らが提唱する「美しい星50」を説明したが、国会議員たちの関心は経済協力に傾きがちで、環境問題についてはあまり関心を示さなかったという。

 マレーシアへは23日に到着し、アブドゥラ・バダウィー首相との会談等をこなした。しかし、マレーシアのメディアは安倍首相の言動を冷淡に見つめている。安倍首相は従軍慰安婦に関する河野談話を批判し、従軍慰安婦について「日本軍が強制した証拠はない」と述べたことに反発する姿勢をとっている。15日付の「ニュー・ストレイツ・タイムス」は「安倍首相の発言は日本の政治指導者が過去を認めずにいる」として、日本の謝罪は「不誠実」ときめつけている。また、16日付の「星州日報」は安倍首相が終戦の日の15日に靖国神社を参拝しなかったことに触れ、「今後、安倍首相が靖国神社を参拝すれば、日本は中国や韓国との関係が行き詰まり状態になるだろう」としている。マレーシアのメディアは安倍首相は右翼と見ているようだ。

 マレーシアの多くの人が安倍首相の来訪を知らないか、知っていても関心はもたれていない。むしろ、御手洗会長をはじめとする経団連のミッションのほうに関心があつまっている。経団連の御手洗会長の国際感覚はともかくとして、発展途上国にとっては経済をいかに活性化するかが最重要課題だ。

 それにしても、なぜ、安倍首相は三カ国歴訪の旅にでたのだろう。それどころじゃあないような気がしてならない。今、一番重要なことは内閣を以下に改造して「お友達・仲よし内閣」を脱皮して「実力内閣」を作るかを考える時期だと思うが。

 数ヶ月前から予定が組まれていたアジア歴訪だが、大方の予想では、五月ごろから七月に行われる参議院議員選挙に敗れるだろうといわれていた。でも、まさか、あれほどの大敗を喫するとは、予想をはるかに超える出来事だった。年金問題は半世紀も前から問題が積み上げられた。安倍内閣の責任ではないが、対応が実にお粗末だった。社会保険庁の体たらくは常識を超えたひどいものだった。だから、後手後手になってしまった。社会保険庁を統括する厚生労働省は大臣が女性を「産む機械」と発言してしまったおかげで、答弁しても相手にされない無能者のようになってしまった。久間防衛大臣の「原爆投下容認」発言もひどかった。きわめつけは赤城農水大臣の無責任さだった。赤城前大臣の顔がテレビに一回出るたびに数十万票が消えていったように感じた。

 参議院選大敗の直接的な原因は安倍首相にはない。しかし、年金問題、閣僚の不祥事についての対応があまりに稚拙だった。国民から見放されるように、見放されるように対応していたように思えた。選挙後も、麻生外相の「アルツハイマー発言」や小池防衛相のはしゃぎすぎで内閣支持率は下降の一途をたどっている。

 「なんとかしてよ」というのが、大多数の国民の声だ。どうせ、だれが総理大臣になっても大差はないんだから、安倍さん、あなたがやりたいなら、もっときちんとやってよ」と思っている。きちんと、ふつうにやってくれれば国民は安心する。

 レイムダック(死に体)状態の首相だと思われている国々に行ってもいいことはないはずだ。やるべきことを、やってほしい。

 
     
 
 
ここに掲載の記事・写真・図表などの無断転載を禁止します。
著作権はA. P. PRESS (M) SDN. BHD.またはその情報提供者に帰属します。
POWERED by Minamikaze Digital Animation Studio Enterprise