| あの日から六年がたつ。2001年9月11日午前8時46分にニューヨークで起きたできごとを、世界中の人々は、そして、わたしたちはテレビ画面に釘付けになって幾度も幾度も見つづけていた。テレビに映し出される出来事は、人間の常識を超えた信じられない出来事だった。
ニューヨークのランドマークでもある超高層ビルの世界貿易センターのツインタワー北棟に、ボストン発ロサンゼルス行きのアメリカン航空11便、ボーイング767−200型機(乗客81名、乗員11名)が激突し炎上した。ついで、アメリカン航空機の衝突炎上を見上げる野次馬と報道陣の目の前で、午前9時3分、今度はツインタワーの南棟にボストン・ローガン空港発ロサンゼルス行きのユナイティッド航空175便、ボーイング767−200型機(乗客56名、乗員9名)が衝突し、爆発した。
ボーイング767型機が衝突したくらいでは倒壊しないはずの世界貿易センタービルが、事件後、しばらくして崩れ落ちるように崩壊した。
一方、ワシントンDCのダレス国際空港発ロサンゼルス行きアメリカン航空77便、ボーイング757−200型機(乗客58名、乗員6名)がハイジャックされ、午前9時38分、アメリカ国防総省本庁舎(通称:ペンタゴン)に激突し、爆発炎上した。
さらに、ニューヨーク発サンフランシスコ行きユナイティッド航空93便、ボーイング767−200型機(乗客37名、乗員7名)がハイジャックされ、乗客らがコックピット内の犯人に反撃した。犯人らは午前10時3分、ペンシルバニア州で同機を墜落させたとされている。
犯人グループはイスラム過激派のオサマ・ビン・ラディンが指導する『アルカイダ』によるものとされている。
ニューヨークの世界貿易センタービルの衝突、炎上、崩壊で合計2,749人が死んだ。ペンタゴンでは計64名の乗員乗客と、189人の国防総省職員も死亡した。ユナイティッド航空93便の墜落では乗員、乗客全員が死亡した。このニュースは、世界中を震撼とさせた。イスラムとは無関係で、批判も敵対もしていない、普通の善良な市民たちを数千人も死に至らしめた常軌を越えた凶悪な犯罪のはじまりだった。
アルカイダの標的がアメリカ国民に向けられたのは、はアフガニスタンなどでイスラム原理主義グループの『タリバン』と敵対し、イランやイラクに経済制裁を加えているアメリカへの報復と見られる。アメリカのブッシュ大統領は対テロ戦争を標榜し、一般市民までも標的とする過激なテロ集団の撲滅に向かってまい進しはじめた。イギリスなど西側諸国の多くも追随した。もちろん、ブッシュ大統領の盟友であった小泉首相も追随した。
わたしたちが理解できないのは、イラクやアフガニスタンなどで、スンニ派とシーア派の違いはあっても同じイスラム教徒同士が、無差別に罪のない人たち、女性や子供たちまで巻き添えにして自爆テロを行いつづけていることだ。イスラムでは罪なき人々を殺戮することを禁じている。自らの生命を断つこともタブーだ。一部の宗教指導者と称する人たちが、「聖戦(ジハード)」と称し、自爆テロを敢行すれば死後、栄光に包まれるなどと言って若者たちを扇動している。大多数のイスラム教徒は穏健で、平和を望んでいるのに、穏健な平和な世界では名をなせないと思い込んだ自称宗教指導者に世界は振り回されている。
もう一つ分らないのは、貧困にあえぐ、内戦状態にある危険な自国を離れ、豊かさと平和を求めてイギリスやフランス、オーストラリア、アメリカなどへ移民したイスラム教徒たちの中に、冷遇されているとはいえ、受け入れてくれた国の中で自爆テロを企てていることだ。医者などインテリ層までもがテロリストに名を連ねている。テロが発覚すれば、数万人、数十万人の移住したイスラム教徒たちが、ますます冷遇され、社会からはじき出されてしまう。テロ行為が、欧米諸国で暮らすイスラム教徒全体を苦境に追い込んでいる。そんなことも分らぬ人たちではあるまいと思える知的水準の高い人たちが、テロに走るのは何故か?わたしには理解できない。
イスラム教徒だから阻害され、社会からスポイルされているのではない。現実に医師になったり、操縦士になったり、企業の社長になったりしている人も多い。努力して信頼を得なければ、欧米人だって社会から脱落してしまう。宗教指導者は、そういうことを啓蒙していって欲しいと思う。
東南アジアではインドネシアが過激派の拠点とされている。インドネシア政府は拠点つぶしに躍起になっているが、政府的な思惑があるのか、壊滅できないでいる。その点、マレーシアは拠点つぶしに成功している。拠点から逃れた一部の過激分子がインドネシアで活動しているくらいで、テロとは無縁なとなっている。アメリカに追随するポチと呼ばれている分だけ、日本のほうが危険かもしれない。
しかし、現実には世界中にテロの恐怖は蔓延している。成田でも関空でも、国際線にのるときのチェックは厳しい。お土産用の焼酎を没収された人もいる。イギリスでのテロ未遂事件の犯人が住んでいたオーストラリアの空港では、もっと厳しいチェックがある。ノートパソコンはバッグから出すように命じられ、チューブ入りの歯磨き粉まで没収された。2001年9月11日までには考えられない緊張感だ。
かって、国際的テログループと言えば、日本の『日本赤軍=JRA』だった。ハイジャックをし、テレアビブ空港では無差別殺人をした恐怖のテロ集団だった。かって、シンガポールとの国境のコーズウェイでのパスポートチェックは日本人だというと厳しかった。テロリストは陸路でやってくると信じられていたからだ。今、日本でJRAといっても『日本赤軍』を思い浮かべる人はいない。JRAと言えば『中央競馬会』を思う浮かべる人がほとんどだ。 |