イランに渡航中の23歳の男子大学生が、10月8日、武装グループに拘束されていることを在イラン日本大使館が確認した。
男子学生は周辺諸国を回って、イラン南東部のパキスタンとこ国境近くから入境しイランに入った。この地域は最近とくに治安が悪化しているとされていた。外務省の海外安全情報によれば、シスターン・バルチスタン州とケルマン州には「渡航の是非を検討してください」を発出している。昨年12月には自動車にしかけられた爆弾が同時に二ヵ所で爆発する事件があり、今年8月12日にはこの地域を旅行中のベルギー人夫妻が誘拐され、また、ドイツ人2人、アイルランド人1人が誘拐されている。アフガニスタン国境付近やパキスタンとの国境付近では武装集団による現地人の大量殺戮がくり返されている。麻薬密売組織が政府による麻薬掃討作戦に対抗して、反撃していると見られている。
外務省はイラン政府と連絡を取りながら情報収集と対応に努めている。高村正彦外相は「拘束された本人から二度、大使館に電話があった」として10日夜までは無事であることを確認しているという。また、イラン当局は犯行グループの特定や拘束場所もほぼつかんでいる模様。イラン政府は日本側の早期救出要請に応えて、治安部隊を動員して捜索活動をしているという。
政府は誘拐された大学生は大阪府出身の横浜国大4年の中村聡志さんの可能性があると発表した。イランの警察当局は、世界遺産のケルマン州の城塞遺跡「アルゲ・バム城塞」を訪れるためにホテルを出たあと、行方が分らなくなったと発表した。中村さんは大学を5月に休学して海外旅行をしていたという。
「アルゲ・バム城塞」
広さ20haに及ぶ、世界最大の日干しレンガによる城塞都市。この城塞ができたのは、紀元前550年から期限224年の間にいくつかの説がある。2003年12月26日、バムでマグニチュード6.3の直下型地震が発生し、遺跡は壊滅的被害を受けた。
城塞には、モスク、市場、宗教的な広場であるテッキイエ、ラクダに乗った隊商の宿であるキャラバンサライ、学校、浴場、競技場などがあった。統治者の居住地域には家や馬小屋、兵舎などもあった。多くの建築物はティムール朝からガージャール麻にかけて、1381年から1921年に建てられた。
地震によって崩壊したものの、地震のあとから古い地層のレンガ構築物が発見された。ユネスコは2004年に「バムとその文化的景観」を世界遺産とした。
これこそ自己責任
困窮している人たちを救うためのボランティアというのでもなく、反政府デモの取材に行くのでもなく、ただの旅行者として治安が極端に悪いとされているパキスタン南部やアフガニスタン国境付近を単独で旅行するということは狂気の沙汰としか言いようがない。インドからパキスタンにかけて放浪している日本人バックパッカーの話はよく耳にする。欧米人と異なり、現地人と遜色ない薄汚い格好をしているので「自分は安全」と信じている若者がいる。彼らは高い確率で現地の人々に混じってマリファナやアヘン、ヘロインを吸引している。そうすることによって、彼らと友達になれる、仲間になれると信じているのだろう。中村さんが麻薬の常習者であるかは知らないが、一度や二度は興味本位で経験すると考えるのが常識だ。
世界遺産を見て歩きたいという気持ちはわかる。それでも、生命の危険を承知で見に行くほどのことだろうか。万一にせよ殺されたり、今回のように誘拐されたりすれば多くの人々に迷惑がかかる。現実に日本の外務省、両親などの親族、大学の関係者が右往左往している。そして、イラン政府、警察、治安部隊が救出に動いている。国際的に迷惑をかけ、そして莫大な金額がかかることも、横浜国大の学生なら理解していたはずだ。
それでも、見に行きたいのであるなら、大使館に電話などして、暗に救援を求めたりしないで、黙って誘拐した武装集団に殺されてしまえばいい。それくらいの覚悟をしていくべきだ。
わたしは中村さんの行為は自殺行為だと思う。残酷なようだが、自ら死地に赴いたのだから、自分の責任で事態を引き起こしたのだから、自分で道を開けばいいと思う。 |