ルールとマナーを守るのがスポーツ
 スポーツにはルールがあり、それ以前にスポーツマンとしてのマナー、礼儀が必要となる。柔道や相撲、剣道といった格闘技でもルールとマナーを守ることなしには協議は成立しない。

『K‐1』

 プロの格闘技の専門家たちが戦う『K‐1』を格闘技、あるいはスポーツと呼ぶかについては異論があるが、ショー的要素が強いとはいえ、一応はルールはあるようだ。昨年の大晦日に行われた「K‐1」の試合で秋山成勲と桜庭和志が対戦し、秋山選手がTKOで勝利をつかんだ。その後、秋山選手が保湿クリームを全身に大量に塗りツルツルに滑りやすい状態で試合に臨んだことがわかり、試合は無効になり、秋山選手は失格、ファイトマネーは没収、無期限の出場停止となった。レフリーが桜庭の抗議を受け付けず、秋山よりのジャッジをしたのは、梅木レフリーが買収されたのではないか。放映したTBSが秋山べったりのアナウンスや解説をしていた。
 秋山選手はわたしが専門の柔道出身で元在日韓国人、柔道の韓国代表になった。その後、日本に帰化し、日本人として世界選手権の日本代表にも選ばれている。大阪での世界選手権で三人の対戦相手から、「秋山選手の柔道着がツルツルすべりやすい」という抗議があった。「柔道着を洗濯する際に洗剤を大量につけ、すすぎ洗いをしないまま乾かすと、試合中に汗をかき、柔道着がツルツルになるということをやった」と柔道関係者は話していた。そして、この日本代表は銀髪で試合に臨んだ。同じ日本人柔道家として恥ずかしいことだったと思う。
 だから、元々、ルールもマナーも関係ない選手と見られていた。プロレス向きと言えばプロレス向きだった。でも、プロレスだってルールはある。肉体が資本の選手たちは互いに、相手の肉体を回復不能な状態には追いこまない。また、仲間はずれにされるようなダーティーな反則はしない。もともと、秋山選手には柔道時代からダーティーなイメージがあった。
 秋山選手は10月28日に行われる「Hero’s 韓国大会」から復帰する。韓国のファンが後押ししたのだろうが、秋山選手が奇怪な行動をするたびに、「やっぱり、在日のやり方は汚い」という、韓国人や朝鮮人への誹謗中傷があちこちで聞こえてくる。残念なことだが、在日韓国人、朝鮮人の皆さんが懸命に培ってきた日本の社会との良好な関係を壊しているに等しい。

『ゴルフ』
 
 7月29日の参議院選挙で女子プロゴルファー横峯さくらさんの父親良郎氏が民主党から立候補し、比例区で当選した。選挙中、「教育を変えなきゃいかん」と独自の教育論をぶったが、当選したとたん、週刊新潮に過去に高額の賭けゴルフをしていたと暴露された。
 そもそもゴルフのハンディキャップというのは、日本人の間ではゴルフの賭け事としてのおもしろさを増すために使われている。実力の低いものほどハンディキャップが大きく、有利になる。イギリスの発するスポーツは賭け事の対象になることが多い。競馬のハンディキャップも同じことだし、サッカーなどにも使われている。日本人のゴルフ愛好家で賭けゴルフをしない人はごく少数だろう。ゴルフでスコアに金を賭けるのは常識であって、ゴルフ業界の人間だった横峯議員が賭けゴルフをしなかったわけがないのだ。それをわざわざ記事にする週刊新潮も大人気ない。記事を書いた記者だってかけゴルフを咲いたことがある可能性が高い。ゴルフとはそんなものなのだ。そんな中で「出る杭は打たれた」というところだろう。
 ゴルフはスポーツだという前に、健康にいい遊びだと思えばいい。健康的なギャンブルでもある。まあ、ゴルフでもルールもマナーもクソくらえの人がいるそうだから、紳士のスポーツと自画自賛するのは止めるほうがいいだろう。横峯議員だって紳士には見えないもの。

『大相撲』

 今年6月、時津風部屋に所属する序の口力士の時太山(斉藤俊=たかし 17歳)が親方や兄弟子たちに暴行を加えられて死亡した。愛知県警は当初は虚血性心疾患として、病死扱いだった。その後、両親によって新潟大学医学部で行政解剖され、多発性外傷によるショック死の可能性がある」とされ、警察はやっと重い腰を上げた。日本相撲協会(北の湖理事長)の腰はもっと重く、管轄する文部科学省の渡海大臣、松浪副大臣に呼び出されてはじめて実態の把握に乗り出した。
 相撲の稽古は激しくつらい。つらい稽古を乗り越えていかなければ、十両にもなれないし、幕内など夢のまた夢だ。気合を入れられ、竹刀で叩かれる。稽古場の空気がピリッとしまり、全神経を集中して稽古に汗を流す。それが常識の世界だ。だからと言って、態度が気に食わないという理由で、いじめや暴行を加えるのは論外だ。ルールとかマナー以前の人間としてのモラルの問題だ。暴行を加えた結果、死に至らしめた。刑法上は傷害致死になるのだろう。しかし、喧嘩で相手が死んでも、集団暴行で死んでも、素人目には「人殺し」だ。親方にも兄弟子たちにも、人を殺したという官職が残っているはずだ。人間として肥えてはならない一線を越えてしまった罪悪感は彼らの心に一生消えない傷となって残るか、あるいは、獣のように他人を傷つけ、死に至らしめることに快感を覚えるかのどちらかだろう。
 時津風部屋では前親方が率先して斉藤さんに暴行を加え、兄弟子たちに暴行を促したらしい。犯行が表ざたになった後、前時津風親方は弟子たちに口裏合わせをしたり、口止めをしたりして、事実を隠そうとした。前親方の保身会見を独占取材したのは、捏造番組を作り、子会社や孫受け会社に責任を押し付けるのが得意なフジテレビだ。ごまかしと責任逃れという共通の価値観ゆえのかばい合いかもしれない。
 この事件で、大相撲は衰退していくことは避けられないだろう。それでなくとも減少傾向にあった新弟子は、壊滅的に減るだろう。モンゴル人力士は嫌いなんて言ってられない危機だ。個人的には相撲はもっともおもしろい格闘技だと思うが、頭をぶつけすぎて、世間の常識を失った北の湖理事長以下の理事たちが運営していては光明はない。もちろん、横綱審議委員会のメンバーはもっと下劣だ。
 どっちにせよ、救いがあるとすれば力士たちの頑張りだろう。加害者となった兄弟子たちには、斉藤さんの冥福を祈りつづけ、仏の心をもってあとの人生を送ってほしい。

『ボクシング』
 
 10月12日に行われたWBC世界フライ級タイトルマッチ、内藤大助対亀田大毅の試合は、スポーツではなかった。ルールもマナーもクソくらえの亀田親子(挑戦者大毅、父史郎トレーナー、兄興毅)によって、ボクシングはスポーツの名に値しないものになった。亀田親子を持ち上げていたのが、秋山選手を持ち上げ、かばいつづけたTBSだ。対戦前から大毅選手は15歳も年長で世界チャンピオンである内藤選手を嘲り挑発しつづけた。父の史郎トレーナーもチャンピオンを「ゴキブリ」と罵った。TBSの番組制作にはこういう亀田父子のようなキャラクターが望ましいのだろう。
 グラブを相手の目に入れるサミング、相手の太腿を叩く、もろ手刈り、すくい投げ、ボディースラムというふうに反則技技のオンパレードだった。敗色濃厚となった10ラウンド終了後のインターバルにセコンド役の兄の興毅と史郎トレーナーが、大毅選手に「肘でもいいから目入れろ」、「玉(急所)打ってしまえ」と反則を指示した。この声が、亀田父子の戦いをバックアップしていたTBSの集音マイクに拾われてしまい、TBSの思惑とは裏腹に全国に流れてしまった。
 大毅選手は「負けた腹を切る」と言っていた。もちろん、亀田父子には、腹を切る勇気などない。できもしないことを公言した、そして、結果的に自殺を美化した。判断力が未発達な子どもたちが見ていると言うのにだ。武士道精神が小指の先ほどでもあれば、あんなに見っともないプロレスまがいの反則に頼ることはしなかったはずだ。
 史郎トレーナーは「反則は若さゆえの未熟な行為。ありあまる闘志の現れだと思ってほしい」という。ボクシングにしろ、相撲にしろ、柔道にしろ、格闘技の選手は一様に旺盛な闘志の持ち主だ。わたしも高校時代には試合前には「勝ちたい」という気持ちがつよかった。だからと言って、反則はしなかった。はずみで手や指が相手の顔にぶつかることはあっても、選手同士がお互いに謝罪していた。選手時代に闘志のあまりの反則と言うのは見たことがなかった。マレーシアで試合態度のひじょうに悪い選手が反則負けになったことがある。コーチである両親が猛烈に抗議して、青年スポーツ省に抗議文を送ったことがある。この親子もマナーの悪さ、ルール破りの常習犯だった。
 亀田父子も同じだ。所詮は、ヤクザの精神もった父子だった。ヤクザのほうが「違うよ」と嫌がるかもしれない。秋山成勲とともに、TBS向きの素材だ。記者会見で「負けたら、腹を切る」と言った大毅選手に、敗戦後、観客から「切腹」コールが沸いた。試合前までは命をかけて闘う覚悟だったのだろう。でも、それは死を意識したものではない、死に物狂いで全身全霊をかけて闘うという意気込みだったはずだ。うなだれて引き上げていく亀田ファミリーに「切腹はどこで?」と聞いた記者がいた。お笑いコンビ「キングコング」の西野亮廣さんが、「切腹コールした観客や質問をした記者は、亀田大毅と同じレベル」と批判している。いい意見だと思う。普通の良識ある人なら、自殺を進めたりはしない。こういう記者こそ、スポーツ界から永久に除名すべきなのだ。
 これまで亀田ファミリーの言動を見て見ぬふりしてきた日本ボクシング協会(JBC)は15日に緊急倫理委員会を開き、亀田大毅選手の世界タイトル戦でのプロレスまがいの反則行為に対する処分を発表した。亀田大毅選手は一年間の出場停止処分、父史郎トレーナーには無期限のセコンド資格停止、大毅選手に反則を指示したとされる兄興毅選手は厳重戒告処分とされた。亀田兄弟が所属する協栄ジムの金平桂一郎会長にも、オーナーライセンスの3ヶ月停止処分が下された。
 伸び盛りの18才の大毅選手の1年間出場停止は、練習はできても試合ができないという、事実上の強制引退同然の処分だ。史郎トレーナーはボクシングの指導も禁止された。父親の史郎トレーナーの暴走と、亀田ファミリーの破天荒な言動を盛り上げ、視聴率に結び付けてきたTBSによって、亀田大毅という才能あるボクシング選手が消えていく。
 兄の興毅選手にとっても大きなダメージとなるだろう。来年デビューする予定の三男和毅選手にとっても、四面楚歌となった状況は精神的につらい。愚かな父であるにしろ、テレビ局がバックにつけばたいがいの人は舞い上がる。舞い上がらせておいて、人気が落ちれば当然のように廃棄処分するのが民放テレビ局だ。ボクシングを愛する、そして才能あふれる亀田一家の夢と希望を奪ったTBSの罪は重い。
 17日、亀田史郎トレーナーがJBCに出向いて謝罪した。18日朝、大毅選手が宮田ジムに行って、チャンピオンの内藤大助選手に無礼な言動と反則行為を素直に詫びた。内藤選手は若者を許した。よかったなと思う。マイナスが大きかった分だけ二人の絆は深く、太くなる。それがチャンピオンであるし、未来のある若者のボクサーへの夢をつないでやることが先輩の務めでもある。だから、できることなら、内藤選手はJBCに処分を軽くするように願い出てほしい。JBCは大毅選手の処分を罪一等減じてやったらどうだろう。今度こそ、亀田大毅選手は大きく羽ばたくだろう。
 単にマナーを尊ぶだけでなく、寛容の心をもつのが真のスポーツではないだろうか?

 大相撲とボクシング、大騒ぎになった二つのスポーツ団体の処理は、明らかに異なった。低迷するボクシング人気をこれ以上悪くしないために、日本ボクシング協会は迅速に、そして厳しく関係者を処分した。一方の日本相撲協会の動きは遅く、世論に叩かれ監督官著運のトップである文部科学省の大臣、副大臣に叱られて、やっと動き出した。非難は北の湖理事長に集中しているが、相撲界全体が「日本の国技」、「日本の伝統文化」という思い込みにひたりきって、「何とかなる」と高をくくっているように見える。もっと遅いのが愛知県警だ。「日本相撲協会と県警はグルだ。一緒になって事件をうやむやにしようとしている」、「県警と相撲協会は癒着している。何か裏があるのでは?」という声が飛び交っている。「捜査で手加減してくれ」という趣旨で賄賂の授受があった。そうとしか思えないほど、のろまだ。稽古場でこんなにノロノロしていたら、親方や兄弟子に死ぬかと思うほどのしごきにあう。

 
     
 
 
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