東南アジア外交といえば「福田ドクトリン」と外務官僚はいうが、マレーシアを除く東南アジア諸国からはほとんど評価されていないのが、東南アジアに向けられた日本の政府開発援助(ODA)だ。
日本のODAの最大援助国だったインドネシアでも、フィリピンでも援助しっぱなしであとのフォローができずに、宝の持ち腐れとなった援助案件が幾つも指摘されている。おもしろいのは、中進国となりつつあるマレーシアやタイの経済発展を外務省は日本のODAの成果と評価しているのに対し、マレーシアのマハティール前首相は一定の評価はしたものの両国の国民感情としては「円借款は借金であって、きちんと返済してしまえば、感謝する必要はない」という見方をしている。
国際協力機構(JICA)などを通して無償援助も多くの案件でしているが、青年海外協力隊やシニアボランティア、専門家の活動など、隊員やボランティアが任期を終えて帰国すれば、一定の成果を挙げ感謝されて、さてこれからという事業もほとんどの場合、立ち消え状態になってしまう。個人的にはともかく、プログラムも感謝の気持ちも忘れ去られてしまい、ODAの無駄遣いに終わってしまうことが多い。中には個人的に何とか継続させ、発展させようとするケースもあるが、個人の力では限界がある。
一般的に東南アジアのみならず、発展途上国の行政機関にはメンテナンスの意識が乏しいので、機械は老朽化してしまい、数年後には薄汚い粗大ゴミとなってしまう。また、無償援助なれした国ほど、援助が途絶えたときにそのプログラムは消えてしまう。要するに継続性がある援助がなされて、永続的な活動に結びつかないのだ。
JICAで派遣されてくるシニア・ボランティアの中には、そのシステムを利用して資産作りに励んでいた人もいたし、熱帯生物学の研究できた専門家の中には自分の研究論文作成のためにJICAから高給をもらっている人もいた。実態にそぐわないODA案件も多い。それはJICAの職員も派遣されてくる協力隊員やシニア・ボランティアや専門家も、およそ3年ごとに入れ替わるからではないか。企業の駐在員にも言えることだが、その国の道路を覚え、部下や取引先、所轄官庁などの事情を知り、安定した生活を送れるようになるのに2年はかかる。さてこれから縦横無尽に自分の力を発揮しようと思う頃には、帰国後のことを考えなければいけなくなる。これは、大使館員も同じだ。相手国の担当者と忌憚なく話ができる頃になると帰国ということになる。これで、日本の外交が成り立っているから不思議だ。欧米諸国の大使館員は同一国に10年以上という古参・強者(つわもの)がいる。
つまり、JICAにしても、いくら申し送りや引継ぎがあるといっても、実際の活動に活かすまでには相当の日数を要するし、3年しかいなかった前任者の意見が的確だという保証はまったくない。わたしたち民間から見れば、「所詮は役人がやることだ。大過なく、言われたことを言われたとおりにやるだけだ」というレベルだ。
だから、せっかく多額の税金をつかうODAも、「援助しているよ」という姿勢が見えればいいだけの上っ面だけの援助になってしまい、どこからも感謝されないことになる。
そもそもODAは所轄する官庁である外務省、財務省、経済産業省の省益を反映している。だから、アフリカ援助につよい政治家やアフガニスタン専門の政治家を含めた利権争いの場になってしまう。主として「国際貢献」、「安全保証」、「途上国との友好」、「「国連安全保障理事会入りを果たすため」につかわれている。
東南アジアでは内戦後のカンボジア支援が積極的に行われてきたが、カンボジアの国民には日本政府の援助よりも、民間のNGO団体などの活動のほうが評価されている。カンボジア政府も、現時点ではむしろ日本の国連安保理入りに反対する中国の援助に期待している。また、北朝鮮との友好関係も進んでいる。つまり、日本の外交も多額のODAを遣っているにも関わらず、中国や北朝鮮の外交力ほどの能力もないということだ。
カンボジアもラオス、ミャンマーも今では中国べったりだ。中国の外交の手法は国際的な慣習とは異質なもので、銅像を建ててその国の権力者の自尊心をくすぐったり、権力者の私腹を肥やす利権や賄賂によっている。北朝鮮が日本や韓国からの援助物資を低開発国に輸出していることは知られているが、北朝鮮も義理の親子のように親しい中国に追随してるのだろう。日本はというと、小泉元首相時代からODAは縮小傾向にあり、しかも、現実ばなれした援助をしているから、まったく評価されていない。
ことの善悪は別として、日本の援助は援助先の国の国民に対して分りずらく、見えにくいのだ。
年末の12月16日、日本・メコン外相会議が開かれ、ヴェトナム・ラオス・カンボジア三カ国国境の貧困地帯「開発の三角地帯」に日本政府が総額2000万ドルの支援をする事が決まった。日本円にして約22億円だ。 2008年を「日本・メコン交流年」にして中国や北朝鮮とは違う日本の存在感を高めようとしている。22億円でなにをどうしようというのだろう?理解に苦しむ。どうせ、JICAあたりが窓口になって、人のいい若者と気のいいおじさんやおばさんに2、3年きざみで頼るのだろうから大きな期待はできないが、少しは関係はよくなるだろう。 |