チベットで大規模デモ、死傷者も。でも福田政権は知らんふり
 3月14日、中国のチベット自治区のラサ中心部で、独立を求めるちべっち仏教の僧侶や市民による大規模デモがあり、鎮圧に向かった警官隊と衝突した。数人が死亡という情報や数十人が志望という情報が乱れ飛んでいる。在中国米大使館では「銃声が聞こえた」という情報を得ている。デモは300〜400人が参加し、車やバイク、バスに放火しているという。ラサでは10,11日にも僧侶らが抗議デモを行っている。デモは北京で行われている全国人民代表大会の日程に合わせていると見られている。
 中国国営の新華社通信は「暴徒が投石、放火、略奪を繰り返した」と述べ、多数の警官が重症を負ったとも伝えて、暴徒化したデモ隊を悪者にしている。しかし、読売新聞によると、棒移動のきっかけは、当局の警備車両(装甲車)一台が群集に中に突っ込み、人々をなぎ倒し、軍のトラックが倒れていた100人以上を収容して、どこかに搬送して行ったことが原因だと、チベット族の男性が証言しているという。
 いずれにせよ、昨年のミャンマーでの反政府デモを鎮圧する軍や武装警官の対応と同じだ。中国とミャンマー、スーダン、北朝鮮、イランはきわめて親しい友好関係にある。国民を銃で制圧するという手法も、軍や武装警官が自国民を平気で殺戮するという手法も同じだ。中国の当局者らは、チベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ14世の支持者らとの「人民戦争」を戦うと宣言している。また、司法当局と公安当局は「3月18日午前0時までに出頭した者については減刑し、その他犯罪者の検挙に功績した場合には処罰を免除する」方針。市民の密告を奨励し、期限までに自首しないものは、例によって拉致、拷問、虐殺、あるいは襲撃して銃殺という中国式人民制圧方式を実行するというのだろう。国内で表向きは自国民との戦争をはじめた中国で、平和の祭典であるオリンピックはできないという意見が欧米からも聞こえてきた。

 清によって現在の青海省にあたる部分が清に併合される以前、チベット族は現在の四川省、雲南省、甘粛省にも住んでいたので、チベットという国は現在の中国の約四分の一、日本の国土の十倍ほどの広さを有していた。1949年に中国共産党によって中華人民共和国が建国され、1950年、毛沢東が「人民解放軍はチベットを開放する」と宣して進撃を開始した。チベットは国際社会に独立国としての認定を求めたが、国際社会はこれを認めずに』チベットは新生中国の主権下にあるとしていた。国際社会は、同年にはじまった朝鮮戦争に関心を奪われていて、チベットどころではなかったという不幸なタイミングだった。
 チベットは人民解放軍の軍門にくだり、主権は中国に移行した。1951年10月の国営新華社通信は「チベット人民は抵抗主義の攻撃から介抱され、祖国である中華人民共和国に戻った」と報じた。チベット中さがしても、中国共産党の人民解放軍以外に、帝国主義勢力はどこにもいないことは世界中の誰もが知っていた。チベット族の国ではダライラマを頂点とするチベット仏教が最高指導者だった。当然、国際政治に疎く、他国に独立の認証をもとめたり、国連に加盟するといったことをしなかった。毛沢東にそこをつけこまれれた。
 今、チベットの中心都市ラサ市内は、戦場のような光景だという。死者は少なくとも30人、100人以上という情報もある。

 中国西北部の新疆ウイグル自治区でも、600万人のイスラム教徒であるウイグル人が、中国政府が強制している「ウイグル人同化政策」に反対している。7歳から14歳の子供が漢民族地域に連れて行かれて中国語で教育を受けさせられ、洗脳されているという。子供たちはウイグル語が話せなくなり、言語と文化を失うことを恐れている。また、ウイグル人の女性たちが強制的に自治区外に連れて行かれて働かされているともいう。
 中央アジアの新疆ウイグル地区はトルコ系のウイグル民族の土地だった。中央アジアのトルキスタンという地域は「トルコ人の土地」という意味だ。ウイグル族は744年にウイグル帝国を建国している。約100年で帝国は崩壊し、ウイグル族は二つの王国になる。しかし、一つの国は1026年にチンギスハーンのモンゴル帝国に滅ぼされ、もう一つは従属することになった。そして、清の乾隆帝によってウイグル族の国は消滅させられた。1912年辛亥革命で清が滅ぶと、1933年に東トルキスタン・イスラム共和国を、1944年には東トルキスタン共和国を樹立した。第二次世界大戦後中国共産党が中華人民共和国を建国すると、中華人民共和国は内蒙古、チベットともに新疆ウイグル地区も支配してしまった。
 ウイグル人にとってみれば、中央アジアのこの地域は自分たち固有の国であるという認識だ。だから、独立を叫ぶ。そうすると中国側は内乱を企てた、テロリストだという。チベットで行われていることと同じ弾圧が行われている。
 1960年ごろからは、中国共産党の大躍進政策という非常識な政策による飢饉があり、また文化大革命という毛沢東一派の狂気がこの地域にも及んで多くの人々が死に、社会は混乱した。おまけに、中国政府は原子爆弾の実験場を作り、住民たちの健康に大きな影響を与えている。

 一方、3月13日、アメリカの人権団体「ヒューマン・ライツ・ファーストは、中国が2004年から2006年の3年間に、ダルフール紛争で混乱がつづくスーダンに自動小銃など5500万ドル相当の小火器を売却し、紛争の悪化を助長しているという報告をした。スーダン政府が購入した小火器の約9割が中国からの輸入となっている。
 中国は拡大するエネルギー需要に対応するため、スーダン国内の石油産業の権益を拡大させるための他の国が応じない小火器の輸出を唯一行っている。
 アメリカを筆頭に、国際社会は中国がスーダン政府に武器などを輸出して、ダルフール地方で行われているジェノサイド(大量虐殺)を支援していると非難している。中国はスーダンで産出する石油の主要購入国であると同時に最大の武器輸出国であるといわれている。
 こうした指摘に対し、中国は「貧困と資源の不足がスーダン国内での様々な対立の原因であり、石油産業への投資は貧困の撲滅と資源不足を補っており、平和の促進に有効である」と主張している。スーダン政府は石油で得た利益で武器を購入し、ダルフール地方の少数民族を虐殺し、集団強姦を繰り返している。国連の統計では4年間に約20万人が殺害され、200万人が難民、避難民になっている。

 アメリカもイギリスもUE(ヨーロッパ連合)も中国政府のチベットや新疆ウイグル自治区、そしてスーダンで行っている、人権侵害、非人道的行為を厳しく批判し、口先だけでも経済制裁をすると叫んでいる。それに引き換え、日本政府は中国との経済関係重視が最優先で、あとは中国の言いなりになっている。農薬入りギョウザ事件も中国人一流の分かりきっているウソで誤魔化してしまおうという意図が見え見えなのに、福田康夫首相の日中友好第一の姿勢は変わらない。
 中国の糊塗された現実に、一部のオリンピック選手は不参加を表明しているし、スピルバーグ監督も協力を拒否している。チベットでデモ鎮圧に銃器が使われ、死者が出たことが確認されれば、アメリカもUEも北京オリンピックのボイコットを真剣に考えるだろう。もちろん、日本の代表選手たちは何も考えないし、政府も知らん顔をするだろう。
 18日、予想通り、高村正彦外相が記者会見で、中国のチベット自治区の騒乱事件を理由に、日本が北京オリンピックをボイコットすることは「ない」言明した。せめて、大手メディアの世論調査の結果を見てから判断すればいいのに、これではますます福田政権の支持率は下がりつづけて 来月までに30%を下回ってしまう。

 
     
 
 
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