3月19日で任期切れの日本銀行総裁の人選が難航している。副総裁はすでに衆参両院で同意されていた白川方明・京大教授と、19日に同意された西村清彦・日銀政策委員会審議委員にきまった。
福井俊彦総裁の後任に政府が提示した元大蔵政務次官の田波耕治・国際協力銀行総裁は、参議院で民社党などの反対で否決された。日程的に、日銀総裁不在は不可避となり、政府は白川副総裁を総裁代行に指名して、時間稼ぎをする模様。
アメリカの低所得者向け(サブプライム)住宅ローン問題の影響で、対米ドルで円が急騰し瞬間的に95円を記録し、株式市場も暴落と混乱している金融市場の舵取りをする日本の中央銀行である日銀の総裁が決まらないということは、多数の船舶航行、停泊する東京湾が暴風雨に吹き荒れているというのに「日銀丸」では指揮官である船長がいないということになる。
参議院で与党が過半数ではないという状況下で、福田政権の思い通りの政策や人事が行えないことは分かりきっている。福田首相は武藤敏郎副総裁(19日まで)の昇格をもとめていた。福田首相は「武藤総裁案」が参議院で不同意になったあとも、「武藤総裁」にこだわりつづけた。さもなくば、福井俊彦総裁(19日まで)の留任をもとめていた。
民主党がいったん不同意した「武藤総裁案」や「福井総裁留任」を受け入れるはずはない。もちろん、グローバルな視点と人脈のある金融や経済に高い見識のある人物であることが第一条件であろうし、野党すれば、武藤氏と同じ条件の旧大蔵省や財務省の官僚経験者を忌避するのは当然だ。
自民党への当てつけのように、民主党も不同意を主張した部分もあるが、政府は不同意、総裁不在によって民主党は世論の批判をあぶるだろうという読みもあったのだろう。ところがガソリンなどの暫定税率問題で「道路特定財源」か「一般財源」かの選択で民主党は優位に立った。対する自公与党は政府案の修正に追い込まれている。「道路特定財源」問題の追い風を受けて、民主党の主張は世論の支持を得るようになっている。逆に、日程的に妥協を模索する時期に、伊吹文明自民党幹事長や町村信孝官房長官らは、民主党を揶揄したり、さまざまな手で挑発して態度を硬化させていた。大手新聞各紙も社説で、民主党の対応を批判していた。
日程は分かりきっている。日銀総裁が決まらなければどうなるかも分かりきっている。民主党が「うん」とは言わないことも分かっている。ならば、民主党の意見を聞き、調整し、与党が主張を曲げてでも妥協すべきだったはずだ。挑発し、高飛車に対応すれば、窮鼠猫を噛むではない、今の民主党は虎にもなりかねない体力がある。それでもなお、息吹幹事長や福田首相周辺では、日銀法を改正して、福井総裁の任期を延長しようという意見が出ていたという。なりふり構わずという状況は、福田政権の支持率を下げることがあっても上げるこは絶対にない。
安倍前首相がよく分からない理由で突然辞任して、転がり込んできた首相のいすだったけれど、首相の位置は福田康夫という人物には重すぎたのかもしれない。
それにしても、日銀の総裁が空席になっている状況は、日本経済にとっては最悪な状況だ。民主党も反対ばかりしていないで、指名権をもつ内閣にしかるべき人物を提案し、内閣を立てて妥協するという大人の選択が必要になる。いつまでもごねているのは日本にとってマイナスでしかない。 |