6月4日
 6月4日、マレーシア政府はガソリン代を1リッターあたり78セント値上げして、RM2.70にすると発表した。ジーゼルはRM1.00からRM2.58になった。5日から実施された。
 政府は諸外国よりもガソリン代を低く統制してきた。そのための支出も莫大だった。日本ではガソリンや軽油に揮発油税をかけ、暫定的に税率を高くしている。マレーシアでは、安くするために政府が補助金を出していたのだ。原油価格高騰の影響で政府の支出する補助金は530億リンギになると予想されていた。日本では逆に税率を高くして、道路を造ったり、国土交通省の役人の天下り先に莫大な補助金を支出している。役人と政治家と土建屋さんのために国民が犠牲になっている。それに比べると、マレーシアは輸送コスト、流通コストを低くし、道路網を整備し、経済に活力を与えてきただけ、すばらしいことだ。
 荷物を運搬する運送会社の輸送賃も低く抑えられていた。バスもタクシーも、他の国と料金を比較すると安く設定されていた。高速道路や立体交差をふやし、海と空の港湾整備にも積極的に取り組んできた。ガソリン代が大幅に値上がりしたことで、様々な場面でコストが急上昇することになるだろう。航空運賃を見れば分かるとおり、正規の料金では飛行機を飛ばすことができない。運送業界、タクシー業界、バス業界などからも悲鳴が聞こえてくるだろう。
 しかし、冷静に考えてみれば、政府のおかげで、これまでマレーシアは恵まれすぎていたのだ。日本ではガソリン代は1リッターあたり170円を超えている。マレーシアは円に換算すると1リッター約76円で、ほぼ半額だ。経済通の人は、「今でも、マレーシアのガソリンは世界で一番安い」という。しかし、電力会社の「テナガ・ナショナル」も改定用電気料金を18%、産業用を26%引き上げることになり、消費者は大きなため息をついた。
 日本の外務省は、マレーシアのガソリンやジーゼル油の高騰に不満をもつ業界団体やグループによるデモを心配している。ただ、大多数の人にとっては、自動車は通勤や行楽、遊びに使うもので、通勤者は大量輸送機関へと移行すればいいし、行楽なども近場ですますこともできる。輸送コスト、流通コストの上昇が食品など生活必需品の大幅な値上げを促進することになると、ちょっと深刻な事態になる可能性もあるが・・・
 政府が掲げていた経済成長率の目標の5〜6%は下限の5%となる見通し。インフレ率の予測は4〜5%となると発表した。これまで政府がとってきたインフレ抑制策も、今回の値上げで見通しは暗くなった。しかし、クアラルンプール市内の大規模小売店舗は会い変わらずの人出で、財布の紐は渋くはなっているものの、しばらくはこれまでどおり、2,3ヵ月後あたりから、じわじわと不満が渦巻いてくるかもしれない。
 原油の価格が高騰しているのは、需要と供給のバランスよりも投機筋の流れが、先物市場で思惑買いとなって、相場が躍っているからだという見方が有力だ。もしそうだとすると、アブドゥラ・バダウィ首相がもとめたように、原油の先物取引を禁止するというのは妙案だと思える。
 
     
 
 
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