孩子生産日記
(孩子=子供、生産=出産を意味する中国語)
第6回  
西洋医学VS東洋医学(その2)
 
 前回お話した通り、夫と義母と漢方スープの話で盛り上がり、いつもの漢方屋さんでスープを作ってもらうことになった。このスープは滋養強壮成分がたっぷり入っているだけでなく、カンポン・チキンが丸ごと一羽入っている豪華なスープなのである。私は漢方の匂いや味は好きなほうなので、出来上がったスープの香りによだれが出てきたほどであった。味もよく、夫と「おいしいねぇ。これで体が元気になるなら毎日でも食べれるねぇ」などと、楽しく語らいながらスープを食したのであった。
 翌朝、目が覚めると体がだるい。しっかり寝たのに、運動した直後のように体がだるいのである。それもそのはず、大量の汗でパジャマも髪の毛も濡れていたのだから(寝るとき、エアコンを付けていたのに・・・)。シャワーを浴びようと洗面所に入って、鏡を覗いてまたビックリ。目の下にクッキリとクマができているではないか!! 「なんや、コレ・・・」夫に聞くと、夫は「なんか目が冴えてあんまり寝れんかったわ。多分スープが効いてるねん。体が悪い成分と戦ってるんやわ」とスープの効果がすごいことに大満足。私も「ふーん、そんなもんなんや・・・」と納得。その日は一日中、鼻水が止まらないし、汗はやたらと出るし、新陳代謝が活発になったんやなと、軽く考えていた。
 ところが次の日は風邪をひいたみたいに喉が痛く、体が熱い。「えっ、コレって風邪?」と思いつつも、薬を安易に飲む事ができないので横になって我慢。晩も早めに寝ようと、早々就寝。しかし、体がだるすぎて眠れず、さらに11時頃から咳が止まらず息苦しくなってきた。「これはおかしい!」と思ったが、もう遅い。結局、朝4時まで咳は止まらない、息はできないで大騒ぎ。本当に死ぬかと思った。動くとますます苦しい、横にもなれず、ただただ、胡坐をかいて壁にもたれるしか手段はない。4時になって、少しおさまったので病院へいった。酸素マスクをつけられて、呼吸が落ち着き一件落着、にはならなかった・・・。次の日も一日中普通に呼吸ができず、夕方4時頃、また病院へ。ミニチョンの主治医P先生と呼吸器専門医師であるW先生の判断により入院が決定。漢方スープに入っていた「トン・クワイ」という、体を熱くする漢方のため、アレルギー反応を起こし、それが原因の喘息であると診断された。産褥期にもこのスープを飲まないといけないらしいけど、W先生(中国系)は、今後絶対飲ませないようにと夫に注意した。私は3泊4日、入院初体験をしたのである。
 初日はとにかく苦しいのと不安なので一晩落ち着かなかった。翌日は、咳は出るものの、前日の苦しみからは解放されているため、初めての入院生活にちょっとウキウキしてきた。私の病室は出産用病棟の個室だったから、看護婦さんも明るく優しいし、重病患者の苦しむ声や病院独特の陰気臭さを感じる事がなかったので、簡易ホテルに滞在しているような感じだった。夜中に赤ちゃんが生まれるなど、騒々しい面もあったけど・・・。朝と晩に先生が見に来てくれるほか、することがないのでテレビを見たり、本を読んだり、リモコン操作で簡単に動くベッドで遊んだりして過ごした。一日に5回くらい看護婦さんが来て、体温、血圧を測り、ミニチョンが生きているか心音を確認してくれた。ミニチョンは元気でよく動くため、毎回お腹の違う部分から心音が聞こえてきた。初めて心音を聞いた。生きているんだなぁとしみじみ感じた。
 
 入院中、一番楽しみだったのは、食事のメニューを選ぶこと。朝食、昼食、ティータイム、夕食が用意されるのだが、各食事、中華、マレー、インド、ベジタリアンと4部門から選ぶ事ができるのだ。初日は、苦しすぎて選ぶ余裕がなかったので、夫が全部中華料理を選んだ。これがマズイ!! 全部塩&黒コショウ味。病人の食べ物とは思えない塩分。しかも、野菜いため(キャベツとニンジン)、チキンスープ風(骨ばかり)、野菜スープ(塩味、具はキャベツとニンジン)、「メインディッシュは何かしら?」と真ん中にある大皿の蓋を開けてガッカリ。白ご飯がバサッっ盛られているだけ。「こんなんじゃぁ、足りひんわぁ〜〜〜」と泣く泣く5分で食事を終えたのだ。翌日からはインド料理を選ぶ事に。きっとインド人からすると「マズイ」食事なのかもしれないけど、激辛のカレーテイストは、初めて食べる味だったし、辛い物が大好きなのでなんとか口の中をごまかす事ができ、以来、インド料理が私の病院生活を支えてくれた。メニューを見ても何かわからないから、食事の時間がえらく楽しみになったのだ(喘息で入院しているのに、そんな辛いもの食べていいのか?と思ったが、先生もいいと言っていたのでいいみたいだ)。各食事、十分ではないので、夫は朝・晩と私が大好きなパンを買ってきてくれた。点滴をしているから栄養は十分とっているみたいだけど、口が寂しいのでついついお菓子やパンに手が伸びた。入院中にイッキに太ってしまった・・・。
 順調に回復し、無事に退院を迎えることができた。最後の朝食は「点心」を注文した。大きい皿の蓋をあけると、1cmに細切れにされたフィッシュボールとカマボコ、ちくわが6個くらい転がっていた。「これ点心ちゃうやん!!」と思わず一人突っ込み。
 今回の入院費用は以下の通り。
※個室代(3泊4日) RM684.00 +RM34.20 (GOV'T TAX)
※入院中治療費&その他諸々 RM1,098.10
※P先生診察代(毎日の問診 + 定期健診(超音波検診)) RM210
※W先生診察代(朝、晩の検診) RM1,085
※その他 RM20
合計 RM3,131.30也

 ここで疑問なのが、W先生の診察代。朝、晩と部屋まで来てくれたけど、ただ聴診器をあてて、3分ほど喋って帰るだけなのに、これは高すぎじゃないだろうか? 会計係の人に問い合わせてみたけれど、先生がこの金額を請求しているのでどうしようもないとのこと。明細をもらってびっくり。初診代RM245、毎朝の診察代RM300、毎晩の診察代(時間外)RM180×3=RM540。この先生はP病院専属医ではないため、午後は他の病院での診察を終えてからP病院に来ていたので高いらしい。「そんなんやったら来んなぁぁぁぁ!!」と言いたかったがすでに遅し。ミニチョンは無事だし、私も回復したのだから問題ないんだけれど、保険に入っていない私たちにとって、RM3,131.30はかなり痛い、痛すぎる!! 退院後すぐに保険に入ったのは言うまでもない・・・。
 つくづく、漢方に縁がないわたし。友達の奥さんは「トン・クワイ」で鼻血が止まらなくなったとか、また別の友人は熱で苦しんだと話していたので、「トン・クワイ」という代物は、強烈らしいことが十分にわかった。出産前の安定期にアレルギーが発覚したのも不幸中の幸い。本当に、中国4千年の歴史には脱帽!! 健康食品には要注意です。
 
     
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