障害者スポーツとしての自転車競技はアテネ・パラリンピックでも競技種目だった。
日本では『日本障害者自転車協会(JCAD)』が統括している。
1990年、日本で視覚障害者による世界自転車競技選手権大会が催され、当時高校生だった稲村成浩選手と斎藤登志信選手のペアがタンデム(Tandem bicycle)スプリントに出場し、圧倒的に強いヨーロッパやオーストラリアなどの強豪の中で銀メダルを獲得し、日本国内の自転車を愛する視覚障害者たちに大きな夢を希望を与えた。
健常者が前に乗り、視覚障害者が後ろをこぐタンデムサイクリングは普及するにつれ、脳性マヒや運動機能障害をもつ人たちも参加するようになり、1993年には『日本障害者自転車競技大会』が催されるようになった。国際大会への参加や、日本国内での一般レースに健常者とともにペダルをこぐようになった。
障害者スポーツが注目されるようになった一方で、勝手に選手たちに競技用のマシンを渡したり、メカニックを送り込んだりしておきながら、競技が終了すると請求書をつきつけてくる業者もあって、選手やスタッフを苦しめることもあったという。
アテネでは、はじめて運動機能障害の種目ができて裾野が広がった。パラリンピック自転車競技に参加するヨーロッパなどの選手たちは半ばプロ化した強豪ぞろい。その中で、日本選手が銀一個、銅一個のメダルを獲得した。
男子タンデムスプリントの準決勝で日本の葭原・大木ペアがオーストラリアのモドゥラ・ショートペアと対戦、一本目はオーストラリア・ペアが逃げ切った。二本目もオーストラリア・ペアが逃げ、日本が懸命に追う展開。突然、オーストラリア・ペアの前輪が大破し、モドゥラ選手が負傷した。モドゥラ選手は負傷を推して再レースに出場し、逃げ切った。しかし、日本チームは3位決定戦でオーストラリアのビドゥル・ペアと対戦し2‐1で勝利し3位になった。そして、決勝で勝ったのはオーストラリアのモドゥラ・ショートペアだった。2位になったスロバキアのペアのパイロットがドーピング検査で陽性となり失格した。葭原ペアは銀メダルとなった。
男子視覚障害タンデム1キロタイムトライアルでは大城ペアが4位、葭原ペアが6位入賞を果たした。また、CP2/1共通個人ロードレース22キロに出場した小川睦彦選手が3位、銅メダルを取った。
自転車競技はアジア人選手は影が薄い競技だ。それだけに、マレーシアにもチャンスはある。 障害によるランク分け(概要。具体的なことは規則を読んでください。)
◆ 盲人および視覚障害者
視覚に障害がある選手は2人乗りタンデム自転車の後部座席に乗り、健常者のパイロット選手が前方座席に乗る。男子、女子、混合の3つのうちの1つで競技を行う。視覚障害はその程度によってB1,B2,B3に分けられるが、自転車の場合はB1からB3まで統一して1つのカテゴリーにして競技を行っている。
◆ 運動機能障害(LCクラス)
障害の程度によって、LC1、LC2、LC3、LC4に分けられ、男女に区分される。
| LC1: |
軽度の下肢障害か、あるいは下肢に障害はないが片上肢に障害がある選手。 |
| LC2: |
片方の下肢に障害があり、義足の使用の有無によらず両足で正常にペタルを踏むことができる。または、下肢に障害はないが、両方の上肢に障害がある選手。 |
| LC3: |
主に片方の下肢に障害があり、上肢の障害の有無によらず片方の足でしかペダルが踏めない選手が多い。両足に義足をつけている人もいる。 |
| LC4: |
上肢の障害の有無によらず、両方の下肢に重い障害をもつ。中にはハンドル操作が片手、ペダルをこぐのは片足という選手もいる。 |
◆ 脳性麻痺(CPクラス)
脳性麻痺をもった選手はCPクラスになり、その程度によりCP4からCP1まで分類されている。これも男女別々に競技を行う。交通事故などで麻痺が残った選手の中にはCPに分類される選手もいる。LCの場合もある。
CP3とCP4は障害の程度は同じだが、二輪車(バイシクル)を選ぶか、三輪車(トライシクル)を選ぶかによる。
| CP4: |
障害程度がクラス8か、クラス7の選手で二輪車で競技する。 |
| CP3: |
障害程度がクラス6か、クラス5の選手で二輪車で競技する。 |
| CP2: |
障害程度がクラス6か、クラス5の選手で三輪車で競技する。 |
| CP1: |
障害程度がクラス4から1の選手で三輪車で競技する。 |
◆ ハンドサイクル(HCクラス)
通常の移動は車いすで行う選手または、障害の程度が重く二輪車や三輪車に乗れない選手のために、足を使わずに腕でペダルをこぐハンドサイクルを使って競技をする。国際パラリンピック委員会(IPC)公認の自転車競技会では障害の程度によってHC・A、HC・B、HC・Cの3つの区分、男女に分けられる。
競技者の障害に関する医学的認証書類、機能検査、トレーニングと競技の観察によってクラスに分けられる。
競技種目
トラック競技
1キロタイムトライアル
一人ずつ発送機をつかってスタートする。ただし、二人乗りタンデムは審判員が自転車を後ろから支えてスタートする。バンク(競技場の走路)を1キロ全力で走りきり、タイムを争う。2輪車女子は500メートルで行う。
アテネでは複数のクラスを統一して行った。障害の重さによって係数がかけられ、順位が争われたので、実際のタイムとは異なる結果がでた。この種目は北京パラリンピックでは実施されない。
追い抜き
2選手が対戦する。バンクの対峙する位置のホームストレッチとバックストレッチからスタートし、それぞれの選手が相手選手を追い抜くために走る。男子タンデムとLC1、LC2は4000メートル、其の多のクラスは3000メートルで行われる。追い抜いた場合はその瞬間に勝敗が決まる。その距離を走りきる間に抜けない場合には完走タイムによって勝敗が決まる。ただし、予選では追いぬきがあっても(勝敗が決着しても)最後まで走りきらなけれならない。
チームスプリント
1チーム3人で、2チームがホームストレッチとバックストレッチからスタートし、一周目に各チームの3人のうちの1人が先頭に立ちチームをひっぱる。1週終えると先頭の選手はバンクを離れ、別の選手がひっぱる。最後の1人がゴールしたときのタイムを争う。
男子のLC1からLC4の選手とCP4とCP3の選手で構成する。CP4はLC2と、CP3はLC3と同等と見なし、LCの合計が3選手で少なくとも6以上にする。
タンデムスプリント
IPC公認の競技会では2人乗りタンデムだけが行われる。2組のタンデムが同じにスタートし、規定の周回を先にゴールしたほうが勝ちになる。競輪と同様に最初はゆっくり走り、バンクの高い位置をとってみたり、牽制したり、駆け引きがおもしろい。最後の2、300メートルでゴールまで猛スピードで突っ走る。
ロード競技
競技会によって、障害の程度によって走る距離は異なる。
個人ロードレース
マラソンのように一般の道路をつかって、一斉にスタートし、一定の距離を走り、着順を争う。チームを組んで風の抵抗を少なくして、自分のチームの有力選手を勝たせようという駆け引きもある。ヨーロッパ人が好きな競技。
個人タイムトライアル
一定の間隔(例えば1分おき)に1人ずつスタート台から飛び出していく。一定の距離を走ったタイムで順位を決める。駆け引きはあまりない。
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