マレーシアの医療システムは日本と異なることが多く、なれないと戸惑うことが多くあります。街中にあるクリニックと、メディカル・センターやホスピタルと呼ばれる病院との接し方から、治療方法の違いまで、多くの相違点があります。
 また、マレーシアで診察治療を受けた場合、日本で「日本の保険制度」を使うときとは著しく異なります。そして、マレーシアには熱帯地方特有の病気があります。
 わたしたちは、自身や家族の健康について様々な不安を抱えています。
けれど、マレーシアの医療事情をよく理解すれば、マレーシアでも頼りがいのある高レベルの医療を受けることができます。安心して、健康に暮らすために、『マレーシアの医療事情』を連載していきます。
 まず、マレーシアの医療事情全体について、総論的に『日馬プレス』がまとめた。
 
第1回
病気になったとき
 病気になったとき、ほとんどのマレーシアの人々はまず近所の、ホームドクターのいるクリニックで診察を受けます。軽度の病気の場合は、クリニックで注射や投薬をしておしまいです。ホームドクターは自分の手に余る病気だと判断すると、検査機器や手術設備などがある病院の専門医を紹介します。そこで、様々な検査をし、検査結果を見て、治療方針を立て、必要に応じて入院して、治療を受けることになります。

日本人の行く医療施設(クアラルンプール首都圏)

 英語での受診に不慣れな日本人の多くは日本の大学の医学部を卒業し日本の医師免許をもつ医師のいる病院やクリニック、あるいは、日本の看護師資格をもつ人や医療業務に従事したことがある日本人がサポートしてくれる病院やクリニックにいって健康診断から診察、治療を受けています。

 
(01) パンタイ・メディカル・センター内、Clinic Medical Health Care
  ドクター・ラオ (Dr.Lau Poh Yok/名古屋大学医学部卒)
  内科全般、小児科、初期医療全般、健康診断等

注意!現在、PMC全体の日本人窓口として、日本人女性スタッフがいます。
ラオ先生は、自分のクリニックを受診しない他の科の専門医へは紹介してくれます。ただし、同行通訳はしてくれません。
 
(02) ハートスキャン(Heart Scan (Malaysia)Sdn.Bhd.
  ジャパン・メディケア
  ドクター・ベー(Dr.Beh Chor Khim・東京医科歯科大医学部卒)

  心臓や循環器の疾患の早期発見、内科全般、初期医療全般、健康診断
  ここにも日本人看護師さんがいます。
 
(03) スバンジャヤ・メディカル・センター (Subang Jaya Medical Centre)
  佐藤ゆきさん 日本人患者サービス、看護師
  医療全般のサポート

  また、ミス・チャンという日本の薬学部に留学したことのある日本語の巧みな中国系マレーシア人女性がいます。
 

(04) グレンイーグルス (Gleneagles Intan Medical Centre Kuala Lumpur)
  中川ようこ 元看護師、菅原あやこ 元管理栄養士、鹿島りえ 
  医療全般の日本人患者への受療サポート

 ドクター・ラオもドクター・ベーも、多くの日本人にはホームドクターとして信頼されている。日系企業の健康診断も両医師が行っている。
 産科婦人科や小児科の疾病の場合、日本とマレーシア両方の受診事情を知っている女性が付き添ってくれるほうが安心できるということで佐藤さんや中川さんのいる病院に行く人も多い。
 英語で自分の病状を説明できない日本人は、日本語で診察を受けたり、治療を受けたり、様々な相談にのってもらえるこれらの病院に行くことが多い。

 

(05) ジェネラル・ホスピタル(G.H.=国立病院)と私立病院

 マレーシアの国立病院であるジェネラル・ホスピタル(GH)は各都市にあり、国民健康保険などメディカルケア制度のないこの国の人々を安い診療費で診察治療している。一般的な救急車の呼び出し電話番号“999”でくる公立の救急車はGHか、ユニバシティ・ホスピタル(マラヤ大学病院_ 81jに行く。
 GHは一般的な庶民、中低所得層を幅広く救済する医療機関であるため、ひじょうに待たされることが多く、救急で運ばれても1時間、2時間待たれることがある。(留学経験のある優秀な医師もいるが、救急外来ではまれにしかお目にかかれない。交通事故の外傷で運ばれても、日本や米国の「ER」みたいに医療スタッフがすぐ患者を取り囲んで、即治療が開始されるなんてことはない。この国の専門医数は絶対的に少ないので、たとえば心臓カテーテル術などの特殊な器械と熟練した技術を要する手術を公立病院でとなると、数週間から半年待ちということもある。が一方で、最先端の高額医療機器と国費留学の医師を豊富に揃えて最高度の医療を行っているのも公立病院である、マラヤ大学やマレーシア民族大学などの医学部病院やIJN(国立心臓医学研究所)などである。また、先のSARS、鳥インフルエンザなど、特殊な感染患者の治療は政府指定の公立病院に限定される。)
 また、窓口の受付スタッフを始め看護師や検査技師などで英語を得意としない人が多いので、病状を伝えられないことがあるなどの理由で
 ただし、東海岸側、サバ州サラワク州では、公立病院が唯一の入院設備のある医療機関ということも多い。そうした地方を旅行中に事故や病気になったら、マレー語メインの公立病院を受診することも覚悟されたい。

 日本人や欧米人のほとんどは民間の医療機関に行く。各医療機関は、競って優秀な専門医を揃え、最新の医療機器を揃え、病室を改装し、様々なサービスを提供して、快適で安心して診療を受けられる病院というイメージをアピールしている。医師も、自己の医師としての付加価値を高めるべく、シンガポールや欧米先進国の医学会との交流をもち、研修や学会に参加している。とくに臨床医学分野では専門医のレベルは高い。
 民間の病院では、高レベルの診療が受けられる代わりに、相応の治療費の支払いが義務づけられる。ただし日本人が多く行く病院では、日本の海外旅行保険会社と提携をしているので、支払い不要のキャッシュレス診療で診療費の高さも気にせずに済む。
 また、一時滞在の日本人の場合、日本の国民健康保険・社会保険などの適用を受けられるので、立替払いはするものの、帰国後申請をすれば返金があり、個人の負担は日本と大差ない。
 私立病院は病院ごとに救急車をもっているので、目的の病院に電話して救急車にきてもらう。いざというときのために、信頼のできる病院の電話番号を目につくところに書いておくことが必要。
 私立の救急車は当然ながら有料である。また、救急診療は通常の診療よりも高額になることが多い。
 しかし、たとえ救急車で乗り付けて来ても、軽症とみなされた場合は、A&Eの待合室で普通に待たされることになる。その場合、グレンイーグルスを例にとると、A&E(救急外来)での診療(日中RM40、夜間でRM60くらい)は、専門医の診療(初診料の平均RM100以上)よりはるかに安い。
 実際の救急診療とは、蘇生や緊急手術、緊急処置(外科的内科的)と夜間に特に技師を呼び出して行ったときの検査(CT,MRI,XP,血液)費用がかかる。また、何よりも高いとすれば、運悪く高い専門医が当直で診察に呼び出したときの往診料かも知れない。こればっかりは、RM80からRM400くらいと幅がある。

 
     
 
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