マレーシアで出産
よろこびと不安が交錯して
 出産という行為は世界中どこでもごくふつうに行なわれていることです。マレーシアでも都市部の病院であれば、日本と同じレベルのリスクで、つまり、ほとんど不安なしに行なわれています。
 それでも、海外で出産ということになると、医療システムの違い、産科の診断や出産方法の違い、言葉の問題もふくめて、分からないことがいっぱいあって「やっぱり不安」という人が多いと思います。しかし、現実には多くの日本人女性がマレーシアで出産を経験し、すくすくと育つ我が子とともに生活しています。このレポートはグレンイーグルス病院で出産を予定している女性のために書かれたレポートです。おそらく、他の病院でも大同小異だと思います。きっと皆さんの役に立つと思います。
 
Q.  日本の出産との違いは?
A.  陣痛開止から分娩終了まで、LDR(Labor、Deliver & Recovery)室という広い個室ですごすことが大きな違いです。LDRには分娩台兼用ベッド、新生児用コット、中央配管、トイレ・シャワールーム、電話、テレビなどが完備しています。分娩後に希望の病室へ移動して退院までをすごします。
   
Q. 入院日数は短いと聞いたのですが?
A. 自然分娩ですと母子ともに問題なければ翌日からでも退院できます。平均的には、自然(ふつう)分娩で二泊三日、帝王切開で三泊四日となっています。希望にあわせて退院を延長できます。
   
Q. 出産のスタイルは選べますか?
A. とくに問題がなければ自然分娩が勧められます。また、「予定出産日」といって、あらかじめ分娩日を設定して人工的に分娩を行なうことや、腰椎麻酔の持続注入によって陣痛を緩和して分娩を行なう「無痛分娩(エピドラル)」も多く行なわれています。希望の分娩体位がある場合も、産科医にリクエストできます。分娩のスタイルについてはもちろん、痛み止めも陣痛促進剤も一切使わずに自然な分娩を行なうことも可能です。出産そのものに関して、母体の快適さや安全を考慮しつつ、順調な退治の分娩を支援するという目的はマレーシアでも変わりありません。分娩後は、お母さんは病室へ、赤ちゃんは新生児室(ナーサリー)に移され、それぞれの必要なケアがなされます。母子同室を希望の方へは、ベビーコットごと赤ちゃんをお母さんのベッドサイドにお送りします。
   
 
 
 
ペアレンツ・クラフト(お父さん、お母さんのための教室)の受講(英語のみ)
 妊娠中期から後期に入った方と、そのパートナーを対象に、出産に関する具体的な準備と心構えを説明します。土曜日の午後に行なわれ、3回で終了です。お父さん、お母さんの自覚を高め、二人の協力による出産と育児を望むカップルには、ぜひ参加をお勧めします。

バース・プラン(出産計画)について
 出産のスタイルについて、とくにつよい希望がある場合、「バース・プラン」をあらかじめ作成し、署名して、主治医となる産科医に提出することができます。実際の出産の現場では、母と子の安全を最優先に、主治医の判断で必要な処置がなされます。どのような危機的状況にあっても敢えて「麻酔や鎮痛剤不要」や「会陰切開拒否」、「輸血拒否」などを希望する場合には、主治医の同意を得て、そのような意思に則した「バース・プラン」を出すことも可能です。また、「問題がなければ、へその緒を夫が切る」というような希望を盛り込むこともできます。

アクティブ・バース(出産する女性自身が主体性をもって自分の望むズタイルで出産するやり方)について
 グレンイーグルス病院では「アクティブ・バース」という名称の分娩は行なっていません。自分自身の自然な分娩力によっての分娩を希望する人は、担当の主治医と事前によく話し合って、安全で無理のない出産をすることを勧めています。

 

マタニティー・新生児用品の購入について
 クアラルンプールの主要なショッピングセンターには、妊娠中の女性や新生児、乳幼児のための用品を売る専門店があります。また、日系デパートの伊勢丹やジャスコなどにもあります。地元資本の店舗でも、品揃えが豊富で安価な店がたくさんあります。ただし、日本で入手可能なものとはちょっと異なり、通信販売で売っている商品や、アイディア商品などは手に入らないこともあります。先輩ママや地元の人々から情報を集めて必要なものをそろえていく方がいいでしょう。

 常夏の国マレーシアでは秋、冬、春物の衣料は不要です。妊婦用ガードルをつけるので、腹帯は不要です。
必要なものは、英語の辞書。車、足なってくれる人(気心の知れた専属のタクシーや気の置けない女性の友達、お手伝いさんなど)。浄水器又は蒸留水。
 気をつけたいのは、エアコンの調整。虫さされに注意。長時間の紫外線の直射をさける。

 
 入院時に用意するもの(グレンイーグルス病院の場合)
  パスポート又は身分証明書(事前に入院手続きをすませている人は不要です。手続きのときに渡された黄色い名刺大のカードを持参してください。
  クレジット・カード又はデポジットの現金
  妊婦用に、踵(かかと)の低い履物、洗面具、退院時の服、下着、入院中の部屋着やガウンなど(病衣は支給されます。)、筆記用具、辞書、母子手帳。
  新生児用に、退院時に着せる衣服、帽子、おくるみなど
  あると便利なのは、携帯電話(使用するのは使用制限域外で)、ビーチ・サンダル(シャワーを浴びるときに便利)、産褥パッド(病院の支給品以外のものを希望する人)、ソックスやカーディガン(とくに冷え性の人)、お誕生アルバムなど。
 
 妊娠初期にすることと、注意すること
  定期受診:4週に1回
  清潔を心がける。感染予防に努め、十分な栄養と休養をとる。
  妊娠・出産に関する情報の収集。インターネットや子育てグループから
  妊娠・出産・育児に要する費用の準備(診察費、検査費、薬代、入院費、新生児の新生児室料、光線療法費、保育器使用料、小児科医受診にかかる費用)
 
 妊娠中期にすること
  定期受診4週に1回
  血液検査(血液型、感染症、貧血等の有無)
  血液検査(胎児染色体異常のリスク・トラブルマーカー)
  羊水検査
  ペアレンツ・クラフト・クラス(両親教室)等の受講
  出産・育児用品のリストアップ(ベビー洋品店への下見など)
  一時帰国又は旅行(搭乗可能な期間は妊娠32週まで。診断書が必要)
 
 妊娠後期にすること
  定期検診4週に1回。妊娠36週以降は2週に1回
  出産入院の事前手続き
  出産方法の決定(希望がある人はバース・プランを提出する)
  出産と育児用品のリストアップと調達。ベビー用品の購入
  入院の準備(物品や書類の準備、連絡先一覧表)
 
 入院から出産へ

  分娩開始(破水、産微=おしるし、陣痛のいずれか)から病院に連絡
  病院へ(事前に手続きした人は黄色い入院登録カード、手続きのない人はパスポートをもって、平日は入院カウンター、夜間・休日はA&E=救急外来へ) 
  LDR(分娩室:Labor Deliver Recovery Room)に直行
  LDR室で着替え、バイタル・チェック、胎児モニター装着など(助産婦が担当)
  分娩の進行に合わせて、担当医が適宜往診し、分娩に対応

 面会、立会い、撮影など
 *許可は事前に担当医に相談してください。

 
 出産後にやること

*Baby Bookを購入する。(RM32.20)
 新生児室などで購入する。赤ちゃんの成長の記録になります。出生時の足型を押すこともできる。
 新生児診断 出生後まもなく、Nuseryにおいて小児科医によるスクリーニングが行なわれます。入院中にビタミンK、BCG、B型肝炎1回目の予防接種が行なわれます。
 予防接種は病院から配布される黄色いカード(マレーシアで奨めている予防接種)と日本の母子手帳を参照し、スケジュールにしたがって受けてください。
 出生届 退院時に出生届の申請書類(4枚一組)が手渡されます。
1枚目:病院レターヘッド付カバーレター(マレー語)
2枚目:公式申請書類「Daftar Kelahiran(出生届)」(裏表両面ともマレー語)
3枚目:記入方法について(表英語、裏マレー語)
4枚目:届け先の地図(マジュ・ジャンクション・モール7階のジャバタン・ペンダフタラン・ネガラ)

 1枚目の母親の氏名、パスポート番号、出生児の性別、出生日時、体重、身長と2枚目(A)欄(出生児について)の出生児の情報等は記入してあります。受取りの際に記述に誤りがないかどうかを確認してください。
その他、記入方法について別紙を参考にしてください。
 出生届の申請は出生から14日以内は無料です。入院中に受取りを希望する方は病棟看護婦に申し出てください。出生届が提出されると、その場で「出生証明書(Birth Certificate)」が発行されます。この「出生証明書」をもって日本大使館又は総領事館、出張駐在官事務所に行き、「出生届」をします。パスポートを作成するまでは、この「出生証明書」がお子様の唯一の身分証明書となります。
 (グレンイーグルス病院のケースです。他の病院では同様のサービスがあるかどうかを確認してください。)

 
《海外で生まれた子どもの出生届と戸籍》

日本人同士の夫婦の場合
 日本国内で生まれた場合は出生の日から14日以内に出生を届出なければなりません。外国で生まれた場合には3ヶ月以内に届け出ることになっています。その国に駐在する大使、公使、または領事に届け出ます。具体的には、日本大使館又は総領事館、出張駐在官事務所に行き、「出生届」をします。あるいは、郵送で夫婦の本籍地のある市役所、区役所、町村役場に届け出ることもできます。
 また、アメリカやブラジルなどのように、その国で生まれた子どものすべてに国籍を与える制度をとっている国では、子どもの出生届とともに「国籍留保」の届出をしないと、その子は生まれたときにさかのぼって日本国籍を失ってしまいます。「国籍留保」の届出は出生届の「その他」の欄に「日本の国籍を留保する」と記入して、署名押印することで行なうことができます。

日本人と外国人との夫婦が、外国で子どもを出産した場合
 子どもが生まれた日から3ヶ月以内に出生届を日本大使館又は総領事館、出張駐在官事務所に行き、提出します。あるいは、郵送で夫婦の本籍地のある市役所、区役所、町村役場に届け出ることもできます。
 生まれた子どもの日本国籍を失わないために、出生届と同時に「国籍留保」の届出が必要です。生まれた子どもが外国人である親の国籍を取得したり、その国で生まれたすべての人に国籍を与える国で生まれた場合は、その子は二つ以上の国籍をもつ重国籍者になります。その場合、「国籍留保」の届出をしてないと、生まれた日にさかのぼって日本国籍を失うことになります。重国籍者は22歳までにいずれかの国籍を選択しなければなりません。
 (実質的な婚姻状態であっても法的に婚姻が成立していない場合、とくに母親が外国人の場合には日本側の上記の届出がスムーズにいかないことがあります。)

 
Post Natal(出産後の自立、子育てをアドバイス。=有料)
 出産後、経験豊富な助産婦がご自宅を訪問して、赤ちゃんの状況や、お母さんの身体の状況、寝かせている部屋の環境、授乳などをチェックして適切なアドバイスをします。訪問する看護婦は「英語が分からなくても大丈夫」という自信をもっています。それでも言葉の問題を気にする方は、日本人スタッフの同行を申請してください。多くの女性が「よかった」と評価しています。
 (グレンイーグルス病院のケースです。他の病院では同様のサービスがあるかどうかを確認してください。)
 
     
 
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