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1年半余り前、シンガポールの月刊誌に「どうせわたしは現地採用」というコラムが 登場、シンガポールの某日系企業の現地採用社員だった女性が、上司だったぼんくら部長とのやりとりを掲載していました。
ぼんくら部長がいかにも日本的で、どこの日系企業にもいそうな駐在員だったせいか、
「どこの会社なんだろうね」、
「あそこの会社よ」、
「うちの会社のマネージャーにそっくりね」、
などと噂が噂を呼んで、現地採用という複雑な立場の主として女性たちは共感を込めて大喝采しました。
わたしもそのひとり。
ぼんくら部長によく似た、シンガポールの取引先のマネージャー氏に煮え湯を飲まされた経験のあったわたしは、「たぶんあのひとよ」と勝手に思い込んで、「ヤッター!」と叫んだものでした。
さっそく、その取引先の現地採用女性社員に電話して、「××さんのことでしょう。だれが書いてるの」と聞いたけれど、「似てるけどね―。でもいま働いているひとに、あんなうまい文章を書けるひとはいないわ。よその会社のひとじゃない」と答えられてガツカリ。
でも、「内緒だけれど」と声をひそめて、「うちのボスはね、部下の不始末は上司である自分の責任だと思い込んで、本社に知れたらと青くなってたわ」という。
日系企業の責任者の中には、 「ペンの暴力だ」、「狭い日本社会なのにあんな文を載せるなんて非常識だ」、 「あの雑誌に広告を載せるのはやめよう」などと、影に隠れてこそこそと強気の大企業風を吹かせていた人たちもいたというから、日本人なんだなあとしみじみ思った。
連載が半年、第6回で終わってしまったときには、「なぜ?」、「どうして?」、「どこから圧力がかかったの?」。編集室に電話をしようかと思ったけれど、やめました。
あれはフィクション。ネタが尽きれば終わってしまうんだとは思うけど、なにかがあったと感じたのはわたしだけじやない。ありそうな話をさもあったように描いてあるから人気がでるのは当然だったんじゃない。もっとも、ありそうな話の中には、実際にあった話を脚色したものもあったんだと思う。「モデルはだれ?」は、謎のままのほうがたのしいのよね。
わたしはマレーシア人の日本人妻であり、日系企業の現地採用社員。つらい思いをしたこともあれば、怒りにうちふるえたこともあります。
「それでも日本のビジネスマンなの!」と、あきれ果ててしまったことも‥‥。
そうした日頃の鬱積した思いを筆に託してみようかと思い立ったのです。どこにでもいるマレーシア人の妻たち、あちこちの日系企業にいる現地採用社員、わたしたちが日常的に経験していることや見聞きしたことを書いてみます。楽しみにしてくださいね。
でも、わたしを探さないでくださいね。 |
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