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最近、マレーシア映画が元気です
〜演劇と映画の密接な関係〜 |
| 国際交流基金 滝口
健 |
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3月も終わりに近づいていますが、クアラルンプ−ルの演劇は相変わらずあまり活気がありません。みんな、どうしてしまったのでしょうか?
それに代わって、というわけではないですが、ここ数ヶ月は映画が話題を集めました。マレーシアでは自国産の映画は極めて製作数が少なく、テレビの人気番組の映画版作品などの娯楽作品が大半を占めるなど、あまり芸術的な面での評価を受けてきませんでした。また、多くの作品が「マレー人観客を主な対象としたマレー語作品」という印象から逃れ得なかったことも事実です。しかし、既存の枠からは外れた2作品が海外の映画祭で相次いで賞を受けたことで、若い監督による新しい映画への注目がにわかに高まっているのです。 |
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| まず、1月に開かれたバンコク国際映画祭で、James
Lee監督の「Beautiful Washing Machine」がベストASEANフィルムに選ばれました。非常な低予算で、しかもDVビデオを使って撮影された作品が、同時に出品されていた「マレーシア史上最大の予算を費やした」と宣伝されていた「Puteri
Gunung Ledang」をおさえて受賞したことも大きな話題となりました。 |
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そして、3月にはYasmin
Ahmad監督の「Sepet」がフランスでおこなわれた第27回国際女性映画祭で大賞を獲得したのです。海賊DVDを売る中華系の少年と、裕福な家庭に育ったマレー系の少女の恋愛を、イポーを舞台に描いたとても美しい作品です。2月22日におこなわれたプレミア上映会は、出演者はもちろん、芸能関係者が顔を揃える華やかなものでしたが、それよりも終演後のレセプション会場での興奮に満ちた雰囲気が印象的でした。うるさ型の人たちが、口々に「素晴らしいマレーシア映画が生まれた!」と手放しで喜んでいたのです。本当に美しい作品なのです。まだ国内の映画館で上映中のはずです。ぜひご覧になってください。
映画の話ばかりで、演劇の話になっていないようですが、さにあらず。エンタテインメントが産業として非常に小さな段階にあるマレーシアでは、映画と演劇は密接なつながりがあるのです。 |
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「Beautiful
Washing Machine」のJames Leeは、そのキャリアを演劇の分野から始めています。Actors Studioの芸術監督であるJoe
Hashamの演劇コースで学び、役者としても舞台を踏んでいるのです。また、2003年には「Changi」という舞台作品の演出も手がけています(ただ、残念ながらこの作品はあまり評価を受けませんでした。あるところに「映画に才能がある者が演劇にも才能があるわけではない。Jamesは映画に専念すべきだ」と書かれてかなりメゲていたのを覚えています)。彼の映画第1作である「Snipers」の主演の一人は、昨年から作品のレトロスペクティブ上演が続いている劇作家/演出家/役者であるHuzir
Sulaimanでした。また、前作の「Room to Let」の出演者には、Loh Kok ManやKimmy Kiewなど、中国語劇団の面々がずらりと名前を連ねています。 |
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「Sepet」のヒロイン、Orkedを演じたSharifah
Amaniは、前々号で取り上げた舞台、「Hamlet」ではオフィーリアを演じていました。活発で天真爛漫、むしろ幼さを感じさせるオフィーリアは新鮮でした。ただ、「Sepet」で感じたような輝きはこの舞台では感じられなかったように思います。他の芸達者たちに混じっての演技はやはり重荷だったのでしょうか。映画向きの演技はできても、舞台での演技はまだまだ向上の余地がある、ということなのかもしれません。いずれにしても、今後が楽しみな女優であることは間違いありません。 |
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| KLのミッドバレー・メガモール内にあるGolden
Screen Cinemasでは、James Leeの作品を始めとするマレーシアのインディペンデント映画を積極的に上演しています。かつては小さな劇場で数日だけの上演が細々とおこなわれていたことを考えると、こうした作品を観ることができる機会は飛躍的に増加しました。ハリウッド映画もいいですが、たまにはこうした作品を観るのもよいものです。また、そうした作品の出演者が舞台に上がるときには、劇場でその実力をじっくり眺めるというのも楽しい演劇の見方かもしれません。 |
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| <本稿は日馬プレス第295号(2005年4月1日)に掲載されたものです。> |