地元の人に無料で日本語を教えるのは?
熱帯の国マレーシアにあって、一年中涼しいキャメロン高原にはとくに日本の寒冷期と猛暑の時期、つまり12月頃から3月初めにかけてと、7月8月になるとタナ・ラタの町には日本人のおじさんやおばさんが500人以上滞在しているという。気候のいいキャメロンに1ヶ月2ヶ月と住んで海外での生活をたのしんでいるのだという。
この話を聞いて、マレーシアで仕事をしながら生活している人の大多数は「エッ!2、3日なら分るけど、キャメロンみたいに狭い地域で、ゴルフ場が一つあるだけのリゾートで1週間だって退屈で退屈で我慢できないのに、1ヶ月も2ヶ月もなんて信じられない」と感じる。でも、ロングスティをしているおじさんやおばさんたちは「ゴルフだけじゃなくて、ジャングルトレッキングをしたり、将棋や碁のサークルを作ったり、読書にいそしんだり、絵を描いたりで退屈しない」のだという。
数年前のこと、「日ごろお世話になっているキャメロン高原の人たちに恩返しをしたい」という理由で現地の人たちに無料で日本語を教える教室を作った。その代表の人が「生徒が集まりすぎたので、誰か週二回ボランティアで教えてくれる人を募集したい。『日馬プレス』も協力してくれ」と、まるで、「ボランティアでやっていることなんだから、無料で求人広告を掲載するのは当然だ」とでも言うかのように強引な口調で頼んできた。『日馬プレス』はこの申し出を断った。日本人の大半はクアラルンプール、ペナン、イポーなどに住んでいる。週二回、キャメロン高原にボランティアで行くことができるとしたら、家庭の主婦しかいない。この女性たちにクアラルンプールやペナンから麓のタパまで2時間、タパからは木材などを積んだ大型ローリー(貨物車)や観光客を乗せたバス、強引に追い越していく乗用車などが通るくねくねとしたスネークロード(数年前まではこの道一本しかなかった)を1時間半かけて上る。「これを週二回無償でやれというなんてできない。事故でもあったらどうするんですか?」と聞き返した。
また、「言語教育というのは一定のカリキュラムにしたがって、資格があり経験がある先生が継続的に教えなければ、十分な成果は得られません。1,2ヶ月しかいない、資格も経験もない皆さんが、日本人だというだけで日本語教育ができると思っているのですか?」とも訊ねた。そうした質問への返事はなかった。
「ボランティアというのは、自分たちにできることを、自分たちのできる範囲でやればいいのです。他人にそれを要求しないほうがいい」と言ったら、いかった口調で「あなたとは考え方が違う」と言って電話はガチャンと切られてしまいました。
キャメロン高原で日本語を習いにくる現地の人たちはどういう人か考えたら、無料で教える必要はないはずです。日本人がよく利用する商店やレストランの経営者やホテルや旅行関係の人たちです。日本語を習得すれば、自分たちの利益・収入につながるのです。まあ、日本語しか話せない人が大勢いるキャメロン高原の日本人ロングスティヤーにとっては「日本語が通じる環境つくり」は必要なのでしょうが…。
しばらくして、この人がキャメロン高原の日本人グループを二分する騒ぎの中心人物になった。日本人というのは3人以上寄れば派閥を作り、自分がリーダーになりたがる人がでてくる。そんなしがらみを捨てたいと思って海外暮らしをはじめたはずなのに、「お山の大将」になりたかったのでしょう。あるいはリーダーになるために「地元の人たちへの恩返しのために無料で日本語を教えよう」と言って善人のふりをしたのかも知れません。この人は夢かなわずに、いつの間にか消えてしまいました。
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