京都からクアラルンプールに行っていた友人のHさんが、4月25日にSTAR LRTに乗っていて、チャイナタウンに近いPlaza Rakyat駅で降りようとしたときに、誰かほかの人の荷物に自分のバッグが引っかかったような感じがした。そこには7、8人の南アジア系(パキスタン人やバングラディシュ人など)の子供連れのファミリーたちが降りるようすもないのに、Hさんが降りようとするのを邪魔していたという。彼らは最近増えているLRT内での集団スリだったようだ。
掏られたのは財布ではなく、スケジュールや友人知人の連絡先電話番号が書かれた手帳だった。手帳はHさんにとっては、金銭には換えがたいデータが詰まっている。しかし、関係ない人たちには無価値だ。そんなこととは知らず、後生大事にもっているから貴重品だと見えたのだろう。しかし、犯人たちには幸運なことに、Hさんにとっては不幸なことに、手帳の間には封筒に入った現金10万円が挟まっていた。
Hさんはホテルのスタッフとともに、観光省管轄の警察署に出頭し盗難届を出してきた。
警官は「最近、同様の犯罪が多発している」と言っていた。警察は、加害者グループは“観光ビザで入国し、不法に滞在してスリで金稼ぎをしている連中”と見ている。最近、中国だけでなく、南アジアからの旅行者が増えている。マレーシアでも、日本と同様、アジア系の外国人犯罪グループが活動しているのだろう。
Hさんが調書を作成中にも、数組の欧米人たちが被害届をだしに警察を訪れていたという。警察によれば、パキスタン人、バングラディシュ人、フィリピン人などが犯罪者グループを構成しているそうだ。いずれも、LRTなど公共交通機関内での集団スリだった。
クアラルンプールにロングスティをしている、あるいは下見に来ている日本人の中高年の中にも集団スリの被害に遭った人がいる。ほとんどの日本人にとっては大勢の人が乗っている大量輸送機関のLRTの中でスリというのは常識の外だが、やはり不法に滞在している韓国人犯罪グループによる集団スリが、数年前に頻発していた。その模倣なのだろう。
また、観光客などが外国の金を両替してマレーシアの通貨のリンギを得たり、海外旅行に行くマレーシア人がリンギから外国の通貨に両替する両替所の周辺も集団スリや引ったくり、置き引きなどの犯罪グループが活動している。ペナンでは数ヶ月前に、子供二人と奥さんを連れた日本人の若いお父さんが両替中にカッターナイフでパンツのお尻の部分を切られてお尻のポケットに入れていた財布を奪われた。
両替に来る日本人や欧米からの外国人旅行者は現金を多くもっていることが多い。それでなくても、日本人は財布の中に現金を比較的多数もっていると信じられている。とくに中年以上で海外旅行馴れしていないおじさんおばさんたちはクレジットカードよりも現金をもちたがる。中には、財布の中を見せびらかして、「どうだ。おれの財布にはこんな大金が入っているんだぞ。お前ら、東南アジアの発展途上国の人間とは違うんだぞ」と言わんがばかりに傲慢な態度の日本人もいる。
総体的に日本人のおじさんおばさんたちは「自分だけは犯罪の被害者にはならない」と何の根拠もなく信じている人たちもいるし、マレーシアの人たちは親日的で犯罪者はほとんどいないと、やらせと捏造が得意のテレビや売らんかなのロングスティ本などのインフォメーションを鵜呑みにしている人たちが多い。だから、マレーシアにいる犯罪者たちにとって、日本人の中高年はもっともやりやすいターゲットだ。クアラルンプール日本人会の近くで引ったくりが多いのも、そのためだ。被害に遭った人は異口同音に「こんなはずじゃなかった。治安がよくて安全だって言っていたのに」などと言い、不快感をあらわにして日本に帰ってしまう人もいる。帰った人たちは、途上国の人に襲われたことを悔しく思い、そうした情報をくれなかったことを恨みに思う。そのとき初めて、世界一だと自画自賛している×●▽会は、何の役にもたたないことが分かる。周囲の人たちには、マレーシアを悪く言う。犯罪の被害者が一人出れば、マレーシアはとんでもない国と思う人が50人、100人でてくる。
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