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★マングリッシュ考察 その2
マレーシアで生活をしていくには、特に町中であればあるほど、他民族との接触が多くなり、必然的に複数言語生活を余儀なくされる。 一般的に(地域や教育事情による)マレー系の場合、国語=母語であるマレーシア語と英語を少しの2ヶ国語、インド人なら家ではタミール語、外に出ればマレー語と英語の3ヶ国語、華人系の場合、さらに複雑になり、家庭や、華人同士の友人、ビジネス上では母語である広東語や福建語、または北京語を話し、華語小学校では北京語教育受ける。しかし、中高等学校に進む段階で、国内にある数少ない華語学校に行かない限り、マレーシア語で教育を受ける事になる。華語小学校では英語とマレー語も学習する。
国語、母国語、そして一般会話・・・・・ 言語形態についてあまり知らないマレーシア・ビギナーの日本人は、よく「マレーシア人はすごいわねえ、たくさんの言葉が話せて」と関心したりするものだが、実はその人の教育程度、家族形態、交流関係、仕事内容によってたとえ同じ民族とて、言語生活の内容が、かなり異なってくる現状がある、ということを述べておく必要があるだろう。 3言語を同じ程度に正確に読み書き話しができるわけではない。
さて、マレーシアではバハサ・パサール(市場言葉)という、崩れたマレー語、またはマレー化した英語のマングリッシュという言葉が話されているのにはお気付きだろう。ある言語とある言語が接触すると、その地域の主要言語にもなる。どこの国でも、他の言語の単語や表現を取り入れて変種が出来上がっていくのは、共通の現象であるらしい。日本でいうと、中国から単語表現を、また英語からも多くの単語を取り入れて、外来語としてカタカナ書き、また今ではもっと多くの和製英語が一般的に使用されている。ここマレーシアでは、歴史に見るように英語環境の中で、英語でない言語である各民族の母語の影響を受け合って、独特の言葉が生まれた。それがバハサ・パサールであり、マングリッシュであったりするわけだ。
もうひとつやっかいなマインドセットが、マレーシア一般人にはある。全部の人がそうだとは一概には言えないが、英語崇拝の傾向だ。 マレーシアは憲法でマレー語を国語と定め、学校教育でもそれを進めているのにもかかわらず、国内ビジネス社会では英語に頼る風潮がある。そこから脱皮できないでいる。それは外国人を相手にビジネスをするために英語を使用する、ということとはまったく違った意味合いを持つ。 マレーシアは、これまで、また今をも外国人ビジネスマンや外国人旅行者を呼ぶことによって外からの投資、外貨蓄積を奨励してきた。そのために英語が大きな武器であることはわかる。しかし、国際の情勢が敏感になっている今、政府が外国投資に頼らず国内経済を活性化しようという方向にもっていくほど、今後は国語に重視する必要性も出てくるのではないか、と思うのだ。
英語の必要性がないと言っているのではない。 標準英語が国際語であるのは、認めざるを得ない。ただ、マレーシアはもっと独自の文化や言語を大切に暖めて、英語力を外国語として維持させていくべきだという点を強調したいのだ。 英語を母語化や第二国語としてでなく 外国語としての英語の教育へと転換し、国語や各民族の母語文化を大切に保持していってほしいと私は願う。 (つづく)
本稿は日馬プレス第262号(2003年11月16日)に掲載されたものです。