今回の旅行では、日本人の知人から紹介されたあるお医者さん、リャウ先生と会うことになっていた。リャウ先生は、キャメロンの開業医で、自然研究・保護や環境問題などの社会的活動に熱意を注いでいる熱い人だ。住民に廃棄物管理を教育しようと、再利用できる材料の回収センターを建設したり、住宅省や地方行政省から回収についてのパンフレットを患者向けに配布したり、自然保護、廃棄物、土地、水管理問題などに携わる団体REACH(キャメロンハイランド地域環境認識)会の委員でもある。再生可能品を売ったお金は、このREACHに寄付している。また日本人コミュニティーとも深く関わっており、日本語クラスの優等生だ。もう20年になるので、この小さな町では誰にでも知られた有名人だ。会う人会う人がリャウ先生に挨拶をしていく。初めて会ったにもかかわらず、私が自然探索に興味があるということを告げると、すぐにトレッキングに連れていってくれた。
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もう午後3時も回っていたので、短距離、初心者コースを行くことにした。タナ・ラタの町の公園近くのルート4で、はじめは沢沿いの散策道で、鳥の鳴き声と瀬音を聞きながら、1列になって歩く。リャウ先生が、目に止まるいろいろな種類の植物について説明してくれながら。やがて新しい公園に着くと、ここがこのルートの終わりなのだが、このまま終わらず途中からルート6に入った。まもなく瀬音が高まり落ち口に屋根付の橋を架けた高さ2m程のパリット滝に着いた。私たちは滝の音を聞きながらここで休憩し、人が河原に捨てていくゴミの問題について話し合った。そして、いかに政府は創造力のない、どこにもあるようなマレーシアのスタンダードな東屋を作るのか、どうして誰も遊ばないような公園を作ることにお金をかけるのか、どうしてキャメロンらしい樹を植林しないで、KLでも見られる、それもここでは気候に合わない樹を植えるのか、いろいろと話は尽きなかった。ここのシンボルのひとつに、古代から生息している大シダがある。恐竜時代の熱帯ジャングルに迷い込んだような連想をさせられるこのシダが私は観葉として好きなのだが、巨大なゼンマイのところを茹でて日本人は食べるとリャウ先生は驚いていた。 |
沢から右沿いの道を行くと急登り道となり、そこから目指すは木製のウォッチタワー。急な坂には、かつて日本人が植林をしたという松の木林が一帯に生えており、枯れた松の針葉が土の上を厚くカバーしているので、足元がふわふわしている。やっとこさ到着したウォッチタワーの階段をゆっくり上がると見晴らしが素晴しい。私たちは、この展望台でまたしばしの休憩をした。北を見やれば、ブリンチャン山、その左下の方にはストロベリーパークリゾートのチューダー式の建物が見える。眼下遠くにゴルフコースの一端も見え、西方に目を向けると、お馴染みのヘリテージホテルの美しい建物が、上方にはジャサール山、南にはべレンバン山。聞くところによると、キャメロンでの日本人コミュニティーは、多い時で数百人と想像を超えた人数だった。大体の人たちが、数ヵ月滞在して帰国し、また日本が冬の間に戻ってくるというパターンだ。最近も盆踊り大会の運営を手伝ったばかりとかで、日本からはテレビ局も来ていたらしい。リャウ先生は「いろんな活動にも、ここの政府観光局は、本当に何もしてくれない。日本側と約束をしても時間は守らないし、これでは他の国の人にとって誠実さも見えないだろう。こっちがいろいろと活動促進に動くと、自分たちは何もしないくせにうっとしい顔をする。まったくこれではがんばってやっても、悲しいよね」といったことを語っていた。観光局は、こうした日本からの滞在者をもっとサポートすべきで、マレーシアマイセカンドホームなどを奨励しているわりには、あまり動いてくれない、と言いたいのだ。
(つづく)
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