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★ファミリー・ミーティング (その1)

 
 親子喧嘩をするのは、私と理屈っぽくて気難しい次男の衝突が一番多い。何を考えているのかわからないと巷でいわれているティーンエイジャーでも、15才の長男はのほほんとしすぎていて、衝突したためしがない。代わりに、弁護士にした方がいいんじゃないか、と思うほど後から後から 売り言葉に買い言葉、言い訳がこれでもか、と出てくる次男に情けない話だが畳み込まれてしまう。一応11才ともなると、ティーンの仲間につま先だけ突っ込んでいるわけであり、油断も隙もありゃしない。親よりも友達といる方が楽しいという年頃にもなってきて、なまいきな盛りをキャピキャピ放出させている。
 子供についての報告は、必ず細かく父親に話すのが我が家の鉄則だ。どんな些細な出来事や変化も父親には話すこと、と決められていて、忙しい父親の気を散らしたら悪いと思って黙っていると、後になって何かの拍子に発覚し、こっぴどく怒られるときもある。別に隠そうというつもりはないのだが、怒られてしまうのである。そんなわけで、お互い不平不満があった時は、ちょっとしたけんかをして、ああ、スッキリ、きれいキッパリさ、なんていることにはならず、反対に家族会議が開催されてしまう。
 まあ、お互いけんかをして感情的になってしまう時には、冷静な第三者の介入が必要な場合もあるものだ。(こっちは、冷静なつもりでも、相手にしたら、もう話なんか聞きたくないとドアを閉められてしまうこともあるし)問題が大きくなったり、積もり積もって爆発してしまったり、たとえ血が繋がっていても亀裂が入ることだってありうるのが現世間の常識。そんなことになってしまっては、事態をより厄介にさせてしまう。そうなる前にみんなで納得した方が後々すっきりとするわけだ。ちょっとしたコミュニケーションは、何よりも大切、ということは子供にも口を酸っぱくして言っているつもりだ。
 先日はこんなことがあった。友達A君の家でストリミックスを使っていたが、コンピューターの修理から戻ってきて同じモデムを繋げても接続できないのだという。A君は、もう早くオンラインゲームをしたくてしょうがなく、どうやったらストリミックスに接続できるのか、数日続けて時には1時間おきにヘルプの電話をかけてきた。その都度、次男が説明をしているのがいやでも耳に入る。そして、そのたびに同じような答えをしているのだ。結局はLANのケーブルがその子にはないらしい。同じ答えの繰り返しから進展なく毎日ヘルプの電話がかかってくることに私はイライラしてきて、ある日、電話中の次男にこう言った。「ちょっとあんた、毎回おんなじ事の繰り返しで、もうちょっと筋だてて話なさいよ。まず、初めにこの線をここに持ってきて、次にこの線をここに繋げてっていう風に。そうすれば何が問題なのかわかるでしょ。LANがないんなら、それを買ってくりゃいいのっ」次男はA君に「LANを買わなきゃだめだよ」と言った。その後A君は次男に何か言ったらしく次男は私に「ママ、LAN買ってきてくれる?」と言ってきた。ムッときた私は「なんで私が買いに行かなきゃならないのよ」ということで、その時は話は終わった。
 数分後、またA君から電話があり、どうやらまた接続不可能の話をしているようだった。まもなく、私は次男が「A君が明日の夕方うちに来て、接続してくれない?って行ってるんだけど」と聞いてきた時には、ちょうど自分の持ち仕事で忙しく、そんな話には上の空で、適当に「OK、OK」とあしらってしまった。明くる日、さっそく夕方6時頃A君から「何時にお母さん来るの?」と電話があり、次男は「ママ、何時に行けるの?」と私に聞いてきた。ああ、昨日OKと言ってしまったのだっけなあ、と一瞬にして後悔が先立ったが、こう言ってしまったことなので、今度はその意味について深く考えて次男に説明した。「でも、ママがこうしてからこうして、とA君に説明すれば、何も家に行かなくてもいいんじゃあないかなあ、それに、LANはもう買ったの? LANがないと接続できないし、LANがないのをわかってA君の家に行っても、時間の無駄になるだけだよ」次男は、母親が行くのをしぶっていることをA君に伝えると、A君はとてもがっかりしたらしく、それをかわいそうと思ったのか、次男は私に怒り出した。「昨日、行けるって、言ったじゃない!」  (つづく)
 
 
 

本稿は日馬プレス第283号(2004年10月1日)に掲載されたものです。