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★日本人にとって近くて遠い、なのに懐かしいマレーシア その2

   最近、シニアの海外ロングスティがクローズ・アップされ始めている。

 日本では、毎日のように、しかもゴールデンアワーに、自分の意思で海外に住もうと決意し、海外で生活をしているシニアのひとたちの生活ぶりをカメラに収め紹介したり、どこの国がシニアのロングスティには最適か、いろんな情報を流しているそうだ。見た人は、当然「わぁ〜。こんな簡単にできるのなら、私もしてみたいわ〜」と思うだろう。それにまして、テレビで移っている人達は、新しい人生で、新しい環境で、何もかもが楽しく、なんやらはりきっていて、輝いて見えるのである。そこでまた、自分の置かれた日本での生活状況を見て思う。「あーあ、こんなマンネリ化した日本から私も出て、違う人生を楽しんでみたいわー」と。

 しかし、ここで注意しなければならないのが、大体マスコミで紹介されている人達は、その方法を選択して成功をしている人達である、多くの失敗してしまった人達は映されない。実際、入念な準備も怠って、さまざまな理由から挫折して帰国している人も大勢いるのだ。

 海外生活が長かったり、旅慣れている人ほど、退職後には外国に住むということを単なる憧れとしてではなく、具体的に考えている人が多いようだ。そして駐在員時代に思うのだ。「こんな住みよいところなら、リタイアした後にものんびりと暮らしたいなあ・・・」と。そして実際そういった人達が年々増えている。この20〜30年で海外は本当に近くなった。その中でも、東南アジアはもっと近い。今のシルバー層の時間と暇はたっぷりある。そして世界一物価の高い日本での年金生活は決して楽とはいえない中、大金持ちではない一般の人にとっても海外のロングスティは夢ではなく、現実になったのだ。私は、本の中で、海外で、しかもマレーシアで暮らせばこんなに楽しいということを伝えたいと思っている。特に今、日本に住んでいる自分の親に捧げたい。


 今の定年退職者以上という年代は、戦後日本復興時代に、がむしゃらに働いてきた人たちだろう。仕事はつらいもので当たり前と捕らえてきた人も多いかもしれない。やりたいことも、好きなことも、仕事で忙しくあきらめていた人もいるかもしれない。今、その仕事から解放され、次の人生に向けて、違った生活もあるんだという選択の分岐点にいる。

 趣味をするのもよし、好きでしょうがないことを、日本以外の国でビジネスという形にするのもよし。彼らの好奇心が、これからかけがえのない価値になってほしいのだ。長期や永住と肩を張らずに、留学気分で第二の人生、異文化に触れ、多くの価値観を覗きに来てほしい。風光明媚な自然と、おおらかで陽気でひかえめなホスピタリティーある人々、町並みの美しさ、治安がよい環境を持つマレーシアは、はじめて訪れる人にとてもやさしい国だ。

 旅行でもなく、永住でもない、本拠地は日本に置きながらも、長期に外国に住んで、その国の暮らしに溶け込む。そんな、第2、第3の人生があるとしたら、マレーシアはピッタリで、誰も否定はしない。一度来たら、この国の持つ活気に目をそらすことができなくなるだろう。実にいろんな顔を持っているマレーシアは万華鏡。それを、魅力と感じて受け入れるかどうかで、あなたのマレーシアでの生活がどうなるか決まることになるだろう。それがカギだ。


 最近、世界の中での日本の影が薄いのが気になる。アジアの国々からは、中国の台頭とバランスをとる意味でももっと日本に強くなってもらいたい、しっかりした国になって欲しいと願われている。アジアの期待に応える国になって欲しいという声をよく聞く。自由貿易協定の締結を取っても、日本はしがらみが多くあり、協定の呼びかけに応えられない。アジアから見ると、日本はまだまだ、金融面では優れている国というのが強く、期待できるという考えがもたれている。このような背景に、個人的な活動で得意とする分野で支援や協力をして理解を深め合っていくのも大切なことなのかもしれない。

 マレーシアにいることの意味、自分の役割、何がしたいのか、何ができるのかを、明確にしようとする心がもうひとつのカギとなるのだし、滞在を充実させ、また自己発見の場にも結びついていくことだろう。
 

本稿は日馬プレス第271号(2004年4月1日)に掲載されたものです。