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続きましては、ヤマハ教室に通っている子供なら必ず練習する曲、「だいすきなパン」。1曲にレジメを使って、アニメ宮崎風、ポップス、バラード、オーケストラ風と、色々なバージョンに変身させ、これが同じ曲か、と思わせる。
鍵盤楽器とは信じられないような弦楽器やドラムなど、何の楽器でもそろっているし、なんと一人でシンフォニーやオーケストラの世界まで作り上げてしまうことができる。キーボードを打ち込むというものから、あんな生の弦楽器のサウンドがでてくるのだろうかと、本当に驚いてしまった。その迫力ある再現は本当にキーボード的じゃない。
ヤスヤ氏は、こういうこともできるんだぞ、っといろんなことをオーディエンスに見せてくれて、ああ、音楽って楽しいなあって思わせてくれたし、エレクトーンの可能性を感じさせてくれた。昔わたしの友達が「見ていて一番いいコンサートは、プレーヤーが自分で楽しんでるってわかるコンサートだよね」言っていたことがある。プレイする側の遊び心がいっぱいに、こちらまで伝わってくる。まさしくそれは、小さいながらにとても楽しいコンサート
だった。
エレクトーンの機能を最大限に引き出すのは弾き手しかいない。どんなに素晴らしいエレクトーンやピアノがあっても弾き手に想像力がなくてはそれだけだ。他のミュージシャンも、ヤスヤ氏のようにクリエイティヴなアプローチでエレクトーンにチャレンジしていってほしいと思う。エレクトーンは、というより楽器は、もっともっと自由に、もっともっと楽しく、子供達をはじめ多くの人に味わって欲しいフィーリング、コミュニケーション方法なのだから。そしてその可能性を氏は存分に利用している。
もし、今度日本で、富岡ヤスヤ氏の名前を聞いたら、ぜひコンサートに行ってみるべきだ。
演奏が素晴らしいのはもちろんのこと、いままで知らなかったエレクトーンの魅力を存分に味わえること間違いなし!!
ということで、最後を飾るは、エリック・クラプトンの「チェンジ・ザ・ワールド」。冴えた演奏のみならず、ブラッキーでパワフルな歌声。
アンコールに応えて、また登場してくれたヤスヤ氏は、オリジナルというか、その場でリズムを組み立てながら、ほぼ即興(?)と思われる演奏を聴かせてくれた。彼は、ミネラルウォーターを片手にステージに来たわけなのだが、「This
is
water.」とボトルを指差し片言英語を言うと、そのペットボトルに書かれているマレーシア語の仕様をぎこちなく、ゆっくりと読み出した。内容は「Proses
air mineral, Bahan-bahan pelaut, mineral, sodium, Buatan
Malaysia, Giant,
500ml」などでそれを繰り返すこと3回・・・何やってんのかなあ、場稼ぎのジョークのつもりかなあ、と最初思っているうちに、(トーク時に、オーディエンスのマナー違反の携帯電話が響いたら、ヤスヤ氏は自分のくつを片方脱ぐと、耳にあて、ハロー、ハローと受けるジョーカーだ)イントロ部のリズムに他の楽器を順番に弾きはじめ、そのレゲエ&ジャンク風なミュージックになんと、そのさっき読んだミネラルウォーターのボトルラベルの内容を歌詞として加え始めた。結構ださい単語、ジャイアントとか500ミリリットルとかなのだが、クールなミュージックに乗せると意外にクールな歌に仕上がってしまう。それをオーディエンスにも合唱させる。これぞ本物のエンターテイナーだ、と感じさせられることしかり。
彼の日本でのコンサートは、通常何人も一緒に出演されるようだが、今回はマレーシア公演で単独。その楽しさと魅力をたっぷりと堪能したのだが、1時間半でも物足りず、もっと見ていたいと思った。
サウンドのカラー。音楽と書いて、音を楽しむという意味になる。
今までにないくらいの音のマジックを楽しませてくれた、充実した最高のコンサートだった。
自分を何かで表現できる力を持っている人は幸せだ。 |
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本稿は日馬プレス第277号(2004年7月1日)に掲載されたものです。 |
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