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| ■■ 「息切れの丘」を越え「象の池」へ ■■ |
ここからが登山道だ。山頂をチェックポイント(CP)8として、適度な間隔にCPがあり、休憩ができるだけでなく、キャンプをするスペースもある。ガイドのルディさんが「CP5まではたいしたことないよ」と言った。「でも、のんびりと行こう」と彼は敬老精神をみせた。CP1まで10分たらず、そこからCP2までは20分たらず。
CP2をすぎて、登山道という感じになった。急勾配の“Tanah Kuning(黄色い土地)”が断続的につづき、2、3分の小休止を3回ほどした。約30分後、8時44分に二筋の流れが落ちる『Twin Fall(双子の滝)』を見上げるCP3に到着した。ジャングル・トレッキング気分で順調だ。とは言え、CP3で後発のシンガポール組に追いつかれた。彼等は今晩山中でキャンプする予定だから、ゆっくり楽しみながら登っていくだろう」とルディさんが言った。(『Twin Fall』は標高579.1m)
”Bukit Semput(息切れの丘)”を息を切らして登った。苦労したのに35.7mしか高さをかせげなかった。珍しいものに出会った。ルディさんが指差した先に黒い5センチ程度の虫がいた。サソリだ。わたしは蠍座の女は好きだが、ただのサソリは嫌いだ。触手のような尻尾を振り上げた毒々しい姿は、気持ちのいいものではない。ルディさんが小枝でサソリにちょっかいをだした。山を熟知した彼等だからこそ、見つけることができる。さすがプロだ。不思議なことに、時々、スニーカーの片方や、壊れたスリッパが落ちているのだ。「こんなところに履物を置き去りにして、サソリに刺されたらどうするのだろう?」と真剣に考えた。約20分で“Kolam Gajah(象の池)”、CP4に着いた。(“Kolam Gajah”は標高614.8m) |
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| ■■ 「KFC」にだまされ、岩を登り、山頂に ■■ |
CP4から先は、愚痴もこぼす余裕がないほど厳しい登りがつづいた。登った先は下りだった。丘を2つ越えた。下りながら筋肉を休め、「でも、せっかく登ったのに」と思った。150mくらい登って、100mぐらい下りたような気がした。55分かけて、たったの55.8mしか登っていない。どっと疲れが出た。CP5は三本の小川が合流する地点“Sungai Segi Tiga”にあった。(“Sungai Segi Tiga”は標高670.6m)
渓流とはここでわかれて、険しい山道というより道なき道を這うように登った。「KFC」という難所があった。いくら何でもケンタッキー・フライド・チキンがこんな場所で営業している訳がない。「KFCとは何のことだ?」とルディさんに尋ねた。ニヤッと笑って「フライド・チキン屋さんじゃないよ。“Killing Fell Centre(すさまじい残忍な場所)”の略だよ」と言った。たしかに家族連れで楽しめるような場所ではなかった。後からきたグループと、ごちゃまぜになってヒーヒー言いながら登った。家族連れで悪戦苦闘しているグループもあった。途中で内側の大腿筋が両方ともつるように激しく痛みだした。50分余り、休んでは登り、休んでは登った。
“Gua Kambing(やぎの洞穴)”というCP6の草の上で、4つのグループが集合して約1時間の大休止をとった。日本人1人、オーストラリア人2人、あとはマレー人が7、8人。マレー人ファミリーもいる。さすがに疲れきったようで、日陰を見つけて横たわっている。わたしも寝そべって、目をつぶっていた。大腿筋に漢方の筋肉痛の薬を塗り、丹念にマッサージをした。ついでにチョコレートとバナナを食べ、ポカリスエットを飲んだ。今回は、ミネラルウォーターを500cc、ポカリスエットを1000cc用意してきたので安心して大汗をかいた。約20分休憩した。マッサージが効いて、脚が楽になった。
(“Gua Kambing”は標高929.6m)
倒木の間を縫って、木の根を足掛かりに登り、切り立った岩場や崖をロープを引いて登った。手足を使って登るのは、スリリングでたのしい。疲れも分散して、脚の痛みを忘れてしまった。後続のグループと抜きつ抜かれつ、と言うより、互いに、先に行ってもらおうと譲り合っていた。
CP7の“Botak Hill(禿げた丘)”で最後の休息をとった。(“Botak Hill”の標高は1,112.5m)
頂上の手前で、切り立った岩をロープを引いて登った。ちょっと距離があったので、途中で休憩している人もいた。岩、倒木、木の根を踏み越えて、山頂まで、休み休み登った。午後1時50分、全員が山頂に立った。一緒に記念写真を撮った。
レンジャー・オフィスで「登頂には5時間半から6時間、下りに4時間から4時間半かかる」と言われていたので、6時間ちょっとはまあまあの時間かなと思った。 |
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| ■■ 教科書に載っている神話の山と滝 ■■ |
グヌン・レダン・リゾートのレストランにはビールがないので、リゾートのゲートの外の売店でビールを購入した。夜、美しい王女が夢枕に立ってくれることを願って寝たのだが、残念ながら、果たせなかった。
グヌン・レダン・リゾートには、年間100万人以上の人々が訪れる。民間が管理するほうがリゾートも活性化するのだろう。ジョホールやシンガポールの外国人学校(日本人学校も含めて)の修学旅行や企業の社員旅行などで、多くの人々が自然の中での共同生活をしにやってくる。もちろん、わたしのような、登山が目的の人も多い。一番多いのは、滝川の水に涼を求めてくる地元の人々だ。
グヌン・レダンの管理はグヌン・レダン・リゾートが行っている。入場するには大人1リンギ、子供50セントを払い、駐車料金は2リンギ。美しい王女の神話はマレーシアの学校の教科書に載っているらしい。それで知名度が抜群になっていること、きちんと整備していることも人気の秘密なのだろう。
登山やキャンプはレンジャー・オフィスに届けなければいけない。とくにCP4から上に行くには、枝道が多いことと、油断すると危険な箇所が数カ所あること、登山道が渓谷沿いであることなどから、この山を熟知したベテランリーダーやガイドが同行することになっている。 |
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| ■■ 教科書に載っている神話の山と滝グヌン・レダンへのアクセス ■■ |
PLUSハイウェイ(南北高速道路)のマラッカ出口から南に26km、ジョホールバルまで169kmのタンカック(Tangkak)で降り、国道23号線をタンカックの市街を越え、セガマッ(Segamat)方向に(高速出口から)約17km行くと、グヌン・レダン・リゾートの看板が出ている。しばらくして左折する。
タンカックは織物の町として知られ、店先では色とりどりのマレー人女性の衣服の布が吊してある。国道沿いの建物の多くは(理由はわからないが)行政の指導で黄色く塗られている。この町で食べたビーフ・ヌードルがうまかった。 |
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