東部の情報

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 KLから車で2時間半。ゲンティンハイランドを越え、さらに東にいくとパハン。ただのドライブだと思っていたが、いつの間にか楽しい観光旅行が始まっていた。「あれがドリアンの木だよ。あれがランブータン、パームの木、あそこはゴルフ場、ドイツ村、その近くに温泉があってね、この辺は100年近く経った中国人たちの家をまだ使っていてね、とても歴史のある街なんだよ・・・・。」。得意げに話す友人を見ているとなんだか特別な所に自分だけ招待されたような気分になってくる。何も分からなければただ木が茂り、古い家がならんでいるだけだと思ってすやすや寝てしまうところだ。太陽が燦々と輝く暑い中を運転していてもそんなに苦にはならなくなった。

大きな白身魚


 ボルネオとか遠いところに行かなくてもKLから近いところでも十分ジャングルや、滝や、原住民の生活が見られるところがあるんだよ、と聞いて行ってみたくなった。行ってみればただの田舎。しかし、田舎、つまり昔の生活が見られる、自然がそのまま残っている、宿泊も多くはないが手軽な値段で泊まれるだろう・・・。
 天然ゴムの集積工場があった。これは面白そうだから一枚写真でも、と思って車を出たとたん「臭い」。本当に気が遠くなるくらい臭い。一日で一番暑い時間に天然ゴムには近付いてはいけないことを悟った。あの工場の人たちはきっと嗅覚がおかしくなっているに違いない。何故のんびり微笑みながらゴムの山の横に立っていられるのだろう。そういえばさっきの友人も外へ出ないではないか。少しムッとしながらも食事を食べに行った。中華料理のお店で、大きな白身魚を食べた。本当に美味しい。魚はすべて近くの川で捕れた魚。KLでも同じ魚が捕れるが、味が全然違うのだという。マレーシアの魚は日本と比べてぶよぶよしている気がする。暑い国の養殖魚は緊張感がなくなってしまうのかもしれない。パハンの魚は流れの速い川でよく運動をしているので身がとても締まっている。魚は苦手だったが、大きな頭つきの(頭がついている魚は目が合ってしまうので食べられない)魚をバクバク平らげた。地元の猪、鳥肉、ジャガイモの茎炒めどれも美味しい。
 




 

運次第でラフレシアも見られる

 シャレーを経営しているというおじさんのところに行ってみた。おじさん(李さんという)は動物・自然が大好き。家にはオランウータンがいると聞き、会いに行った。真っ黒なオランウータン。オランウータンは茶色くて、頭の毛が薄い。赤毛の猿だが、おじさんのオランウータンは真っ黒でとても顔が可愛い。つぶらな目。顔も赤ちゃんのようだ。可愛いなあ、と友達になりたくて近付いたとたん、「きゃー!」。おじさんにだかれながら彼はおしっこをはじめた。見なれない客に緊張してしまったらしい。ただ皆黙って見ているしかなかった。太陽に輝く噴水のように黄色い水がキラキラ光る。
 おじさんのシャレーはボーイスカウト体験などにぴったりという感じの場所だった。カラオケのできる、ちいさな集会所があり、100人くらいまで宿泊できる。ウサギや亀、数々の変わった鳥などがいた。近くには山や川があり、少し奥へ行くと、オランアスリの生活を見ることができるそうだ。
 ここでは、アドベンチャー洞窟探検、四駆自動車での山登り、アスレチック、ボートでエキサイティングな川下り、オランアスリの生活見学などができる。運が良ければ世界最大の花「ラフレシア」をここでも見られるそうだ。日帰りで来た私たちは何も準備をしていなかったので写真だけ見せてもらった。分かっていたら準備してきたのになあ。全部を体験したかったら3日くらいは滞在が必要だろう。
パハンの黒砂糖

 帰りに木の皮で包まれた丸いものをもらった。中には黒い砂糖の固まりが入っている。天然ゴムと砂糖の木がここの名産らしい。サトウキビではない。食べてみると優しくしっとりとした甘さで変な後味もない。現地の人たちはこれを料理に使うらしい。そのままおやつにつまむ感覚で食べてもいいかも知れない。パッケージもとても魅力的。120年間、同じ製法。パッケージも変わっていないらしい。日本へのお土産にすれば喜ばれるだろう。「KLに帰ったらこれを売っているお店を探してみなきゃ。」
 KLへ向かう車の中で、帰ってからのささやかな楽しみがひとつ増えて一人でニコニコしながら、パハンの黒砂糖を再び口に頬張った。

<本稿は日馬プレス第275号(2004年6月1日)に掲載されたものです。>



 

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