東部の情報

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 今回訪れたのは、Blue Coral Island Resort。ランテンガ島にあるリゾートの中では設備が充実している方だが、星はつかない。スタッフもあまりプロフェッショナルではない。そこがこのリゾートのいいところで、常連のお客さんが毎年楽しみにして訪れる理由でもある。スタッフはみんなカンポン出身、お客さんからは「こんな島で働けていいね」と言われるが、彼らのカンポンも自然がいっぱい、ある村ではゾウが、ある村ではトラが、ある村では猪がでるという。そんなところで育ったスタッフたちが自分流でお客さんと応対しているため、当たり前のサービスからは得られない温かさに触れることができる。

「鷲の島」 
 マレー語で「Lang」は「鷲」、「Tengah」「間」を意味する。レダン島とプルハンティアン島の間にある鷲が翼を広げたような形をした小さな島がランテンガ島だ。クアラトレンガヌ空港から車で40分くらい北のメランに行くと川岸にジェティーがあり、そこからさらにボートで40分ほど。小さな島の白い砂のビーチのココナッツトゥリーのその影に、ちらちらと赤い屋根の建物が見える。ここがブルー・コーラル・アイランド・リゾート。

「ディキ・バラッ(dikir barat)」
 8月30日にチェックイン。この日の夜はムルデカ・パーティー、島のスタッフによるクランタン、トレンガヌ地方の伝統音楽「ディキ・バラッ」の演奏があった。円を描くように密集して床に座る。太鼓のリズムにのせて、歌の上手な兄弟アシスタントマネジャー・ザキ、シュノーケリングボートマン・ディン、メンテナンス・ミズィーが交代で歌を披露し、長男のセキュリティーガード・アディと次男のメンテナンス・アジズも太鼓とマラカスで参加。途中にトレンガヌ出身のスタッフたちが顔を真っ赤にしてかけ声をいれる。1曲、2曲と進むにつれ、だんだんと雰囲気が熱く盛り上がる。まるで酔っぱらっているかのようなテンションの高さだが、全員ムスリムなのでもちろんアルコールは入っていない。オレンジジュースでのどを潤しながら声を張り上げ、デキバラはクライマックスを向えて幕を閉じた。この熱い雰囲気、陶酔状態はなんとも伝えようがないが、お祭りの興奮状態を想像していただければいいかな。
 
「アクション大好きスタッフ」
 その後はスタッフ手作りのムルデカ特製ケーキのキャンドルに火がつけられる。ケーキを焼いたのは身長180cm以上もあるけど趣味は料理、22才の青年ファドゥリー、デコレーションは彼のお兄さんと近く結婚するダー、マレーシアの国旗をデザインした力作。普通ならそのままケーキカットでゲストに配られるはずだが、その前にお決まりのスタッフ記念撮影大会。スタッフが入れ代わり立ち代わりケーキを前にアクション!
 

「毎年欠かさず7年目」
 31日、日本からの常連のお客さん森さん夫妻とお昼をご一緒させていただいた。毎年夏に1週間島を訪れ、今年で7年目。「ああ、またあと1年か…。今年は長かったんですよ。去年は8月のはじめに来て、今年は8月終わりでしょ、1年以上待たないといけなかった。」毎年、目にうっすら涙を浮かべて島を後にする。そしてランテンガでの休日を心待ちに1年間を過ごすそうだ。今年もボートから手をふって島を発つ森さん夫妻を、スタッフと一緒に手をふりかえして見送った。

「美しい珊瑚礁」
 夕方、仕事の終わったウエイトレスのイザとシュノーケリングに行く約束をした。イザの弟で、ウエイターのアイディも「一緒に行きたい!」とついてきた。愛嬌のある笑顔のそっくりな、とっても人懐っこい姉弟だ。ちょっと数日雨が続いたようで、透明度はいまいち、でも珊瑚は素晴らしかった。リゾートの名前にもなっているブルーコーラルはカリフラワーの山のよう、幅15メートル、高さ3メートル程もある青い珊瑚は見事!今回は見れなかったが、ウミガメもよく現われる。島から海に向かって左手にある岩場の周りには、一面に広がる美しいピンク色のテーブル珊瑚。大きなアカマダラハタ、ツマグロ、かわいらしいクマノミもいっぱい。朝は無料で島を一周するシュノーケリングトリップがあるが、いつでも好きな時間にビーチエントリーでシュノーケリングを楽しめる。休日をのんびり過ごしにリゾートに行っても、何かしなくては、とつい時間に追われて疲れてしまいがちだが、この島ではゆったりと時間が過ぎて行く。スタッフも時間があれば喜んでシュノーケリングにつきあってくれる。お勧めポイントに連れてってくれるよう頼んでみては。
 
「ゆったりダイビング」
 シュノーケリングの後はダイビング。ザキ、メンテナンスのディン、お皿洗いのシャムとビーチダイブへ。ガイドはザキ、昔はダイブショップでガイドをしていたが、もうこの島で何千回とダイビングしてるので最近はたまにしか行かない。珊瑚はもう飽きたというザキは砂地の方におりていく。ランテンガの周りはぐるりと珊瑚礁、その周りに岩場があり、その周りはずーっと砂地。なだらかであまり深くなく、潮の流れもほとんどないので、初心者、長くダイビングしていない人でも恐怖感が少ないかも知れない。今回は砂地の上にぽつぽつとある岩をゆっくりと巡った。ミノカサゴ、ヒラメ、ミナミハコフグの幼魚、大きなヤドカリ、ウツボなどと遊びながら、リラックスしたスタッフと一緒に水の中にいることを楽しんだ。ボートダイブは午前・午後の2本。ダイブサイトは島の周り、遠くても10分ほど。ランテンガの大物と言えば、ディープダイブサイトの住人「ギターシャーク」として知られるサカタザメ、体調3メートル。でも、ダイビングの常連のお客さんは、時間に余裕があって、自分のペースでダイビングできるところが気に入っているみたい。
 

「真昼のジャングルトレッキング」
 9月1日、最後の日の午前中は、夜まで仕事がないから暇だという、アシスタントシェフ・アスルールがジャングルトレッキングにつれて行ってくれた。というか彼の暇つぶしにつきあってあげた。というのも、普通はジャングルトレッキングは夕方行くもの。こんな日の高いうちに行ったら暑くて死んでしまう。実は前の日の夕方、イグアナの交尾を見せてくれると言うのでついていったが、結局見られず、この日のトレッキングとなった。久しぶりにたっぷりと汗をかいた。緑が目に気持ちいい。30分ほど歩くとパッと目の前に海が広がる。海の向こうにはレダン島。ポイントの名前は「バトゥ・クチン」、猫のような形をした大きな岩があるところだ。本来ならここで涼しい風に当たって岩上に寝っ転がって休むところだが、時間は12時、小さな木陰で体を小さくして休む。そして帰りも黙々と歩く。足もとだけに集中して、何も考えずにひたすら歩く、こういう時間がけっこう好きだ。

「合い言葉は "スダマカン?(Sudah makan?)"」
 シャワーを浴びて帰る準備をしていたら、すぐに2時近くなってしまった。ボートが出発する時間が近づいている。でも、ジェティーの近くに行くと、スタッフたちに「Sudah makan?(もう食べた?)」と聞かれる。まだ、と言うと、とりあえず食べてけ、というわけで、どんなに時間がなくてもまず食事。どのスタッフも会う度に「スダマカン?」と聞く。というわけで、これだけ覚えて島にいこう。でも、去年までは常に日本人のスタッフがいたので、スタッフも片言の日本語がしゃべれる。「スダマカン?」のかわりに、「たべる?」と聞かれるかも。そう、彼らにとって人生で大事なのは「ご飯が食べれて、心が平穏」なことなのだ。
 

<本稿は日馬プレス第258号(2003年9月16日)に掲載されたものです。>



 

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