自然タップリの登山道を行く
自分では『食風ら〜』の目玉記者は自分だと信じていたのに、不在がちだったせいもあって、『食風ら〜』に登場するチャンスを失い、気がついたらティオマンやクチン、海外の地中海クラブなどの涎がでそうな取材旅行からも指名リストから外されていた。敗者復活をかけて、体力勝負、ペナン・ヒル再登頂にいどんでみた。若手の編集部から疎外されたわたしに復権はあるのだろうか?
『Nature trails of Penang island』が詳しい
標高829m(諸説あり)のペナン・ヒルは東京・多摩地区にあるハイキングコースの高尾山や陣馬山とほぼ同じ高さだ。条件的にはペナン・ヒルは熱帯にあり、地図や標識などの情報が十分ではないことだ。ペナンヒルを登るというと、日本のガイドブックには「ボタニカル・ガーデン(植物園)のメインゲートの左側が登山口だ」という程度しか書いてない。「そんなことはない。自然がタップリの登山道が何本もある」と言われても、それがどこか分からない。分かっても、正確な情報でないと道を失って生命がけになってしまう。「どうしたものか?」と思案に暮れていたら友人がこの本が詳しいと、Malaysia
Nature Society Penang Branchの出版した『Nature trails of Penang
island』を見せてくれた。全文が英語で書かれているという、(わたしにとって)好ましくない書籍ながら、一目見て「ん!いける」と確信した。
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さあ登るぞ! |
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代表的な登山道
ボタニカル・ガーデン脇から舗装道路を登っていくのは前回で懲りたので、今回はふつうのトレッキング・ルートで登ることにして、登山道入り口をチェックした。
*ルート1:ユース・パークから
Western Roadの外れのユース・パーク(Taman Belia)のミニ列車の近くかバドミントン・コート裏から登りはじめて、『84』と呼ばれる休憩所(Tea
Kiosk)を経て3、4時間で山頂にいたる登山道。約40分後にムーン・ゲートからのコースと合流する。50〜55分で『84』休憩所にでる。
*ルート2:ムーン・ゲートから |
ボタニカル・ガーデンの約300m手前、Jalan Waterfallのムーン・ゲート(Moon
Gate)を出発して、約25分後にース・パークからのコースと合流する。その後、約30分登ると、ルートA(直進)とルートB(右折)に分かれる。ルートAならば20〜25分で『84』につく。ルートBは途中に小高いBukit
Cendanaがあり、家屋がある。景色がいい。30分あまりで『84』につく。
*ルート3:ハイ・キート・エステートから
ハイ・キート・エステート(Hye Keat Estate)ルートはJalan Air Hitamのランダバウト(Raundabout)からJalan
Hill Railwayをケーブルカーの乗り場に向かって約100m行った右側、“Desa Bendera”というアパートメント(カラフルなお寺の向かい)の脇の道(Lorong
Taman Cantik)を7,80m行き、小川にかかる橋を越え、左手の祠の前を左折する。約55分で『84』につく。
*ルート4:
『84』からモニオット・ロード・東(Moniot RoadEast)を歩いてケーブルカーまで行く約35分の行程。途中、崖崩れ地点を迂回する。
*ルート5:
ルート4のつづき。ケーブルカーを越えて、モニオット・ロード・西(Moniot RoadWest)を通って山頂へ。1時間あまり。 |
『84』までは快調・壮快
わたしはルート3から登ることにした。その最大の理由は駐車がしやすいこと。
『Nature trails of Penang
island』の地図と情報は正確で、ほぼ記載された時間とおりに『84』に到着することができた。そう、時々やってくる山頂の売店や個人住宅などの工事用のバイクや車両を避ける必要もなく、延々と登りつづける舗装道路を踏みしめ、息をゼイゼイきらし、負担のかかる膝や足首を気遣いながらということもなく、順調な登りだった。 |
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朝8時30分すぎに出発地点に到着し、車を“Desa Bendera”、前に駐車し、舗装道路を登りはじめた。約18分後、左に大きく戻るように分かれた舗装された小道にはいる。小道の左側の渓谷には家屋が点在する。約14分後に祠を通り抜ける。祠の先2、3分の所に右に小道がある。赤い字で『84』と書かれ矢印がある。ここからはジャングル・トレイルという感じになる。18〜20分で『84』につく。
明け方の雨が、小道をささやかなせせらぎに変えている。ゴロゴロした小さな岩を踏みしめて登る。石を踏み外してぬかるみに足を突っ込んでしまった。スニーカーがグショグショになった。雨季には小川のようになるので注意が必要だという。
『84』で小休止をとる。雨上がりのせいか、登山者は少ない。華人のおじさんがひとりいるだけだった。あとは猿が数匹、戯れているだけだった。当然、猿には警戒が必要だ。カメラなどの荷物を盗まれたら一大事だ。奴等は人間と違って「お金をやるから返してくれ」とたのんでも返してくれない。
自然がいっぱい“Moniot Road”。でも?
『84』の先を舗装道路から左折すると“Moniot Road
east”というペナン・ヒルを横に巻くように登る小道にはいる。ここからはジャングルの中を歩くことが多い。8〜10分歩くと右にペナン・ヒル山頂への登山道がある。これをすぎて木の橋をいくつも渡り、約20分行くと、崖崩れで道が崩落した箇所につく。見下ろすとゾーッとするくらい怖い。上方に大きく迂回するが、気をつけないと危ない。慎重に一歩一歩進み難所を越える。そして、『84』をでてから約40分後、ロープウェーの線路のしたをくぐって一休み。すぐ下にロープウェーの駅がある。
下ってくるロープウェーを待って写真を撮る。朝の10時すぎだというのに、もう降りてくる人たちが乗っている。
ここからは“Moniot Road
West”。しばらく緩やかな登り。その後、アップダウンがつづく。脚が疲労し、息がきれだす。ロープウェーの駅に引き返して、下りてしまおうという誘惑が心を支配しはじめる。足元はすべるて何度もなんども転びそうになった。一度は転ぶのを防ごうとして身体をを大きくひねって手をついた。肋骨がミシリといった。指先からほんの少し血が出た。湿気は多いし、冷や汗だかほんとうの汗だか分からないれどとにかく大量の汗をかいた。帽子のひさしから滴がたれてくるし、顔を拭くタオルもTシャツも汗でビショビショ。水やお茶を飲み飲みひたすらあるく。
熱帯のジャングルでしかも高地であれば、動植物には独特の生態系がある。野鳥の声が聞こえる。それなのに「森を歩いて森を見ず」。そんな余裕はなくなっていた。
ロープウェーをすぎて40分、バイクの音を身近に聞こえた。なんとなくゴールが近付いてきたとうに感じた。さらに10分、ザワザワと人の声が聞こえてきた。「やったー」。気分は登頂。山頂から1.5kmにあるキャノピーウォークの降り口が見えた。キャノピーウォークの入り口まであるき。あとはダラダラとした登りのSumit
Road。テレテレとあるくと意外と遠い。正午ちょっと前、子供たちの声が聞こえてきた。
戦い終えて、気分さわやか
前回よりも時間的には1時間あまりかかったが、自然の中を汗ビッショリになって歩きつづけて、気分はさわやかだった。そして、疲労感も少なかった。歩いて下りるという選択しもあったが、今回もそれは遠慮した(次回も遠慮するつもりだ。)。健康な空腹感があって、なぜかラーメンが食べたくなった。どうせ食べるならうまい店と考えて、ちょっと我慢することにした。スポーツドリンクを飲んで、ロープウェーで下った。
ロープウェーの駅から駐車した“Desa Bendera”までは約5分。人目を避けてTシャツを着替えた。「男に生まれてよかった」としみじみ思った。
ジョージタウンの『屋台村』でラーメンとギョーザを食べて元気を回復した。
今回は朝早めに出発した。水はタップリ持った。帽子とタオルと着替えをもった。携帯電話が鳴ったのには驚いたが、運がよければつながるということが分かった。その上で地図をもって周到な準備をしたはずだった。
それでも、やっぱり失敗があった。虫除けを忘れたし、かゆ味どめも忘れた。チャコレートかバナナくらいはもって登るほうがよかったかもしれない。
その他の登山道
ペナン・ヒルにはほかにも登山道が何本もある。
ボタニカル・ガーデンのUpper Circular Roadから登りはじめて、クラッグ・ホテル(Crag
Hotel)を経て、ペナン・ヒルへ行く約7km、4、5時間のルート。
アイル・イタムの極楽寺(Kek LOK Si)脇の車道を登り、右手の『Kwarn Inn Sahn Pow Yin Sian Tsi(P)』という標識の方向に入る。ここから20分あまりでアイル・イタム・ダムにつく。ここからタイガー・ヒル(Tiger
Hill)を目指す。全行程6km、時間にして3、4時間のコース。タイガー・ヒルからサミット・ロードを歩けばペナン・ヒルにつく。
バツ・フェリンギのベイビュー・リゾートの向かい側、チン・ファーム(Chin
Farm)入り口からのコースは全行程13km、9時間あまりのコースだ。途中ペナン島で2番目に高いブキット・ラクサマナ(Bukit
Laksamana)を越えて、最高峰のウエスト・ヒル(West
Hill)に至るもっとも長い、そして困難な本格派向きコースだ。携帯食や3リッターの水、救急用の薬品などが必要だと書かれている。ウエスト・ヒルからの下山ルートもあるが、サミット・ロードを約45分歩けばペナン・ヒルにつく。
いずれのコースも、明確な標識はひじょうに少ないのでコースを誤る可能性がある。倒木や崩落などで危険な個所もあり、地図や資料を手に入れ、できれば地元の経験豊富な人と一緒に登るほうがいい。また、『84』休憩所以外には、売店やトイレ、休憩所などの施設もないので、所要時間にあわせて食料や飲み物などの用意や心構えも必要だ。 |
<本稿は日馬プレス第263号(2003年12月1日)に掲載されたものです。> |