南部の情報

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うわさの“象の置物”を求めて

 ジョホールバルに越して来て、わずか半年。趣味が読書と旅行という私は、在馬中にマレーシア半島を南から北までくまなく見て歩けたらいいなあ〜!と、ガイドブックを見ては心をはずませています。東海岸の海がめやタマンネガラのジャングルにも惹かれますが、灯台下暗しではいけません、ということで、まずは地元のジョホール州を探索してみることにしました。これまではコタティンギやタンジュンピアイ、ククップ村などを訪れてきましたが、今回は、JB駐在奥様のほとんどが手に入れているといううわさの‘象の置物’を購入するべく、マレーシア版ゴールデンウィーク(ウェサックデーやレーバーデーによる連休)に、バトパハのアイルヒタムという‘陶器の街’まで足を伸ばしました。
 バトパハは、ジョホール州第2の都市で、マラッカとジョホールバルの中間に位置しています。際立った名所旧跡がないために観光要素が乏しく、一般的にはあまり知られていませんが、読書や歴史が好きな人はこの町の隠された日本とのつながりに興味を持つかもしれませんね。ここは、半世紀以上前マレー半島を旅した詩人「金子光春」が紀行文「マレー蘭印紀行」を書いた地であり、また戦前には日本人がゴムプランテーションや鈴鉱山の開発によって切り開いた町でもあります。その当時は日本人クラブもあり、町は大いに賑わっていたようです。
 
 アイルヒタムはそんなバトパハの一角にある陶器街なのです。
 アイルヒタムへの道のりはJBから車で1時間ほどで、KLに向かう高速道路のアイルヒタムインターで降り国道1号線に入り、少し走ります。すでにちらほら陶器店が目にはいり、象の置物が色とりどりに並び、車を降りたい衝動に駆られますがそこはまだ我慢。あとでゆっくりと見ましょう。
 信号が見えるので左に曲がると、そこが陶器の街アイルヒタムです。道路の両脇にみっしりと屋台や陶器店、造花店などが並び、家族連れのローカルの人々や観光客が店を出たり入ったり。交渉次第で商品の値段も変わるので、色々と物色しているのでしょう。駐車場が見当たらなかったので、みなに真似て路上駐車しました。

 



 


ローカルに人気のおすすめ‘大包’肉まん

 小腹が減って、腹ごしらえをしてからじゃないと象何匹も持てないよ、ということになり、信号のある十字路に建つ、‘飽’(パオ)と書かれた黄色く目立つ看板を下げるレストランに入ってみました。肉まん、シュウマイなど点心の専門店なのですが、これが大当たりでした。皆様もこの町にお寄りの際はぜひこのお店をお勧めします。店構えは小ぶりですが昼食をすぎた時間帯でもほぼ満員で、大勢の人が肉まんをほおばっていたので、一目でおいしいのだな、とわかりました。若いのにくるくると動きよく働く少年店員に、ここでのメニューを聞いてみると、肉まん、シュウマイ、あんまん、点心などがあるがやはりお勧めは‘大包’(肉まん)、だそう。おっしゃる通りの非常に大きいサイズの肉まん‘大包’とシュウマイ2種、コピを注文しました。肉まんの中身は、しょうゆや砂糖、ごま油で味付けされよく煮込まれた豚肉、ゆで卵、芋などの具で、外の皮はふわふわです。二つに割ると湯気がたち、こってりとした甘い匂いがふわっと顔を包みました。文句なしにおいしかったです。シュウマイも一皿2個づつのっており、大勢で来ればもうすこし種類が楽しめたかもしれません。
 非常に満足、おなかがいっぱいになり、コピを飲みながら店員としゃべっていると、奥の台所を見せてくれるということ。嬉しくなって作業風景を写真に撮ったり商売の話を聞いたりしていました。店長夫人ミセス梁(リャン)のお話によると、この店は 1949年創業で今は3代目。一家族が団結し店をきりもりしているそうです。知る人ぞ知る有名店で、過去には南洋新聞や中国新聞でも取り上げられ、客も、マレーシア内にとどまらずインドネシアや台湾からわざわざここの肉まんを食べに来てくれるらしいのです。支店や宅配がないので、ここに来ないと味わえないのですね。本来の店は改築中だそうで、来年には道路をはさんだ向かいに新しい大きな店が建つと話してくれました。「日本人のお客様もどんどんこの店にきてくださると嬉しいです。ここの肉まんはおいしいのでぜひ食べにきてください。そして感想を聞かせてください。」と優しい笑顔でおっしゃっていました。

いよいよ陶器街へ


 優しい笑顔に名残を惜しみつつ店を出て、像を目指して坂を上ります。この象の陶器は、ヒンズーの象の神様をかたどっていて、魔よけにもなる縁起のいいもの。家の門に対で置いたり、家の中のインテリアとしてもお洒落です。本立てにもなってしまうかもしれませんし、疲れたときには座ることも可能かも・・・。台座には‘喜’という中国の文字が描かれており、インドと中国がミックスされた雰囲気のある、マレーシアを象徴するような置物なのです。色も多彩で、青・緑・黒・白など好みで選ぶことができます。わたしはずいぶん前から、象・象!とうるさく言っていたので、やっと念願叶う思いでお店も一件ももらさず見て回りました。そうやって歩いているとここ陶器の街には、造花のお店も多いことに気づきました。店の外にもはみだす勢いで造花がおいてあり、そのほとんどがトイレに飾るんじゃもったいないような、本物みたいなお花です。(中にはありえないような色やサイズの花もある)ハーブ系から常夏の蘭までとりそろえてあり、きれいなものが大好きな女性陣は楽しめると思います。野菜入り袋をたくさん下げた行商もよく見かけました。野菜の産地なのでしょうか。
 やっとの思いで、店を一件にしぼり、一番お気に入りの象が1個しかないというので、黒の象を一対とそのお気に入りの象、あわせて3匹を買うことにしました。一匹 RM15だったのですが、値切って3匹RM40。もうすこしいけたのかな・・・?(なんせまだビギナーなので。)車まですべての象をだんなに持たせ、買い物を終えて見事3匹手にいれた私の心は大満足。帰りは助手席で一人爆睡。専業主婦っていいですね〜。笑。
 1時間車を走らせるだけで、こんなに旅行気分が味わえてしまうなんてやはりマレーシアの魅力は深いです。今我が家のインテリアとしてかわいく座っている象さんを見ながら、いつかジョホール探索から翼を広げ、本物の海がめやオラウータンにも会えたらいいな...などと考えています。

 
<本稿は日馬プレス第274号(2004年5月16日)に掲載されたものです。>

 



 

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