麻生政権誕生、世界のメディアは
  渡邉明彦
   
 
 

 口唇が斜めにゆがんだ麻生首相はどう思われているか?

 自民党の麻生太郎議員が自民党総裁に選出され、内閣総理大臣に指名された。
 わたしは自分自身身体的欠点、つまり声帯を切除されて声を失っている。だから、他人の身体的欠点をあげつらうのは避けるべきだと思う。しかし、(根拠はないが、)人となりや性格が表情に表れたと思われる口唇が斜めにゆがんでいる人物は信用できないと思っている。麻生首相がしゃべっているときの表情や話しっぷりは、少なくとも誠実な性格ではないように思えてならない。他人を小ばかにしたような物言いはたぶん本心が表れたのだろう。「下々のものが・・・」と言ったこともあるという。麻生首相を支持した人、議員たちは秋葉原をうろついている“オタク”と同じレベルなのだろう。初対面の話相手を「オタクは」と問いかけるのは、自分のものではない権力をかさにきた下っ端警察官が多い。
麻生首相は、日米関係、国連重視外交を標榜した。しかし、9月24日のニューヨークタイムズは麻生首相を喧嘩っ早い民族主義者として、近隣諸国から好意的に記憶されていないと断じた。「麻生首相はこれまでに、戦前の日本の植民地主義を賞賛し、中国などでの虐殺を正当化した。」と述べ、就任5日で辞任させた麻生内閣の国土交通相だった中山成彬議員と意見を同じくする自民党タカ派グループのメンバーであると指摘したのだろう。その結果、「中国と韓国との関係を困難にし、地域(東アジア)の緊張を高めた。とした。一方、「アメリカが必要としているのは、責任ある戦略的パートナーであって、帝国の幻想を振りまいたり、腕力を見せびらかしたりして、アジア諸国の激しい反発を招くような政府ではない。」と切って捨てた。
 ニューヨークタイムズは2006年2月13日の社説でも、当時の麻生太郎外相の歴史観を戦前の軍国主義と植民地支配、戦争犯罪について“扇動的な発言”によって「アジアの人々の反感を買ったと批判しており、今回も同様の視線で麻生首相を見ている。これらの社説に対し、外務省の藪中三十二次官は「ニューヨークの日本総領事館を通じて「日米関係の強化を基本におき、中国、韓国など近隣諸国との関係を強化し、協力していくことが首相の基本的な考えかただ」と反論したという。麻生首相は外相時代、北朝鮮の核開発、ミサイル開発を、日本の軍備強化にとっていいチャンスになったとして「金正日総書記に感謝しなければいけない」と発言し、東アジア諸国の批判を浴びたこともある。
 麻生首相が外相だったのは、愛玩犬の「ポチ」という感じで、ブッシュ政権に媚を売っていた一方で、アジア諸国が激しく嫌悪する靖国神社への参拝を繰り返した小泉純一郎元首相時代だけに、麻生外相のアメリカに見せる表情とアジア諸国に見せる腹のうちとのギャプを叩いて、小泉元首相の姿勢をけん制したのだろう。
 フランスの新聞各紙は、右派系の「フィガロ」や大衆紙「パリジャン」から左派系の「リベラシオン」まで日本の新首相の麻生氏は、日本の政治的、軍事的影響力の強化を担う“ナショナリスト”として紹介しているという。各紙とも、麻生氏が自民党総裁に選出されたのは、近いうちに実施されると見られている総選挙を、人気が高いと思われている麻生氏を「自民党の顔」として戦いたいという理由だと見抜いている。また、各紙が関心をもったのは、日本の国会議員の三分の一以上、自民党議員の半数以上が二世、三世の世襲議員だということだという。小泉、安倍、福田、麻生と最近の首相が四代つづけて世襲議員、しかも、一年で首相の座を放り出した安倍氏、福田氏とともに麻生氏まで父、または祖父が首相ということを興味深く見つめている。
 中国の大衆紙「新京報」は、麻生氏は若者の指示を受けるクールな頭脳の持ち主だが、「祖父、吉田茂元首相の威光を振りかざした傲慢な“毒舌家”の“おしゃべり”だ」と決め付けた一方で、漫画おたくやクレー射撃のオリンピック選手だったことから、「親しみやすさで、若い有権者の支持を得ている」としている。」と、自分たちの未来が深い霧の中だというのに、大金持ちのぼんぼんをアイドルのような憧れをもって見つめる日本のヤングジェネレーションに関心をもっているようだ。
 総じて中国のメディアは、共産党政府の親日政策を意識してか、麻生院首相を比較的好意的に見ているような論調だ。本音は想像するしかない。
 麻生太郎氏の首相就任について、韓国では「東亜日報」は社説で「日帝侵略史を否定してきた代表的な極右政治家」と決めつけ、朝鮮民族にとっては屈辱的な日本の半島支配政策だった「創氏改名」についての発言などの失言暴言に言及し、国粋主義の狭い枠組みから脱却し、より広い世界観をもってほしいとソフトに要望した。また、朝鮮日報は、政治的には保守志向だが、外相時代には靖国神社参拝を自制したことを評価し、北朝鮮問題については、「(好き嫌いは別にして)韓国は日本と手を結ばなければならない」と冷静な意見を述べた。大手新聞各紙は比較的冷静な文調だが、左派系紙の「ハンギョレ」は「極右民族主義的世界観をもった麻生首相の登場で、日韓関係はさらに悪化する」、「彼の主張は帝国主義日本の大東亜共栄圏構想を連想させる」と警戒している。

     
 
   
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