行列を避けて、
  一番流れている車線を走り割り込む

 もっとも顕著な例は、フェデラル・ハイウエイのオールドクランロード方向への進入路手前だ。ここは上下線とも、左に流出する車線に整然と行列している車両は半数もない。大半は行列している車を横目に、内側車線、センターライン寄り車線をひたむきに走り、流出路直前になって強引に割り込みをはじめる。そこに行列ができる。内側車線、センターライン寄り車線を直進する車もノロノロ運転に巻き込まれてしまう。これがフェデラル・ハイウエイの慢性渋滞の原因だ。
 マレーシアのドライバーの多くは一分一秒でも早く進もうと、一番空いている車線を選んで走行する。路肩であろうと、直進と左折車線を分ける斜線の入った路面標識の上であろうとお構いなしだ。
 
 彼等が約束の時刻に遅れないように急いでいるわけではないことは、マレーシアで2、3ケ月生活すれば理解できるだろう。中には「これ以上、遅れたらまずいな」と必至になっているひともいるだろうが、大半は、自動車文化創生記のドライバーの陥りやすい心理状況になっているのだ。3、40年前の日本、カローラとかサニーが登場して車が大衆の乗り物になりはじめた頃、神風タクシー、一姫二虎三ダンプ、暴走族などというルールもマナーも無用の暴走車が大量に発生した。社会現象というべきかも知れない。若者たちの暴走は、社会では受け入れられない、半人前にしか見られない彼等が、車を運転しているときだけは一人前になれるからだという分析があった。道路上では、わたしの愛車のボロ車もベンツもジャガーも対等なのだ。だから、頑張ってしまうのかもしれない。あるいは、マレーシアの人々の先天的な本能なのかな。
 いずれにせよ、そういう車のドライバーをつかまえて、ドシドシ罰金を取る。そうすれば、少しはマナーはよくなるし、交通警官の給料の足しにもなる。


 

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本稿は日馬プレス第253号(2003年7月1日)に掲載されたものです。