幹線道路の交差点の信号が故障。
でも警官はこない

  その昔、クアラルンプールのど真ん中、ジャラン・ラジャ・チュランとジャラン・スルタン・イスメイルの交差点の信号が故障したことがあった。折しも夕方のラッシュアワー。四方向から車が交差点内に突っ込んできて、にっちもさっちもいかなくなっていた。一寸刻みで脇から来る車の鼻先に突っ込んでいき、30分くらいかけて交差点を通過したことがある。
  フェデラル・ハイウエイの上の交差点の信号が故障ということは日常的だ。ほかにも幹線道路の信号が故障していることが多い。
  すぐ近くの信号の故障していない交差点では、交通警官が手信号で交通整理をしている。それなのに最悪の事態になっている交差点には警官らしき姿は見えない。30分たっても1時間たっても警官はこない。こうなると、一寸でも先にで他方が勝ち、気が強いほうが勝ちってことになる。
  運転者達は、交通警官の存在意義をいやというほど知らせれることになる。感謝をしなければいけない。
 そう、この10年の間に、マレー半島のほぼ全域が停電するという異常事態が2度あった。夕方、突然停電。どこもかしこも停電となると、反政府勢力や不平不満勢力の多い国では「この国の存続を脅かすようなできごとがあったのか?」と考えてしまう。「順調に成長しているマレーシアに限ってまさか?」と思いつつも、最初のときは心配だった。二度目のときは「またか」ですんでしまう。
  翌日の新聞の見出しは「半島、ブラックアウト」。「停電の町中で、数百人の警官が交通整理にあたった」と小さい記事があった。立派な交通警官もいるのだ。「数百人ってほんとかな?」、「数千人、数万人の間違いかもね」、「でも、どこにも警官の姿は見えなかったね」と、わたしたちは話しあった。

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本稿は日馬プレス第267号(2004年2月1日)に掲載されたものです。