右左折のシグナルを出さないわけは

 多くの車は右左折のときにも、車線変更のときにも方向指示器を点滅させない。指を一本、ほんのちょっと伸ばせばシグナルが出せるのに、なぜ出さないのか不思議に思っている日本人は多い。
 ある説によれば、「シグナルを出すと、車線変更したいのに邪魔をされやすい。何も知らせずに、サッとはいれば問題ない」と考えているからだという。
 その割り込みを防ぐために、大多数の車は車間距離をギリギリにして走っている。だから、前の車がちょっと急ブレーキを踏んだだけで後ろの車はキーッというスリップ音を立て、間に合わなければ追突する。
 最近流行しているのが、助手席のひと(バイクの後部座席のひと)が腕をだしてヒラヒラさせる方向指示だ。これをやれば他の車は無条件に進路を譲ると信じているようだ。問題があるのは、一般的に「手でヒラヒラ組」の車両は貨物車(ローリー)だったり、相当古い車だったりするから、競り合ったりするといい車が負ける。
 道路を横断する歩行者も、手をヒラヒラさせれば車は停まるものと信じている。たぶん、彼等は交通警官になったつもりなのだろう。「車を停止させている」という感覚に見える。
 ついでだが、青信号で横断中に信号が赤になっても、ゆったりと歩いている歩行者が大勢いる。要するに、渡りはじめたときに青だったら、渡り終わるまでそれは有効だと信じているのだろう。「赤信号、みんなで渡れば怖くない」という日本の交通標語はマレーシアでも健在だ。

 

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本稿は日馬プレス第252号(2003年6月16日)に掲載されたものです。