テレビの画面越しに放たれる強烈なオーラと、ビデオテープから溢れ出す常軌を逸したエネルギー。今、90年代から2000年代にかけての「平成エンターテインメント」が放っていた圧倒的な熱量が、国内外で再び大きな脚光を浴びている。

お茶の間を釘付けにした「ミリオネア」の復活 その熱狂の再燃を象徴する出来事が、13年ぶりの復活を果たしたフジテレビ系のバラエティー番組『クイズ$ミリオネア』の放送だ。二代目司会者に二宮和也(42)を迎えて再始動した同番組だが、何よりも視聴者の度肝を抜いたのは番組冒頭で流された「伝説の名勝負」である。画面に登場したのは、2021年11月に呼吸不全で亡くなった占術家の細木数子さんと、昨年この世を去った名MCのみのもんたさんだった。1000万円の賞金獲得時には「新潟中越地震の被災者に寄付したい」と語った細木さん。みのさんとの丁々発止のやり取りはまさに圧巻の一言に尽きる。「とりあえず10問とか…」と探りを入れるMCに対し、「何言ってるのよ!みみっちい!15問よ!」と全問正解を高らかに宣言してやり返したのだ。最終的に14問連続正解を果たし、最後の五輪マークの色を当てる問題も見事クリアして涙を見せた。

SNSで沸き起こるノスタルジーと驚愕 このあまりにも濃密な放送内容に対し、X(旧ツイッター)では瞬く間に反響が広がった。「平成過ぎて面白い」「細木数子vsみのもんたは地獄の釜の蓋が開いた感がある」といった驚きや懐かしさの声が殺到している。1938年生まれで六星占術を編み出し、厳しい言葉の中にも愛のある説教で人気を博した細木さんの放つオーラは、令和の現在でも全く色褪せていなかった。2000年から2007年にかけて一世を風靡したあの時代のテレビには、間違いなく今の時代にはない特有の引力があったと言える。

制限なき「Vシネマ」の熱気と三池崇史の軌跡 お茶の間がテレビ番組の熱気に包まれていたのと同じ頃、日本の映像産業のもう一つの現場であるビデオストレート市場では、世界を震撼させる才能が産声を上げていた。三池崇史監督である。『オーディション』の息を呑むサイコホラーから『十三人の刺客』のような大作時代劇まで、現在までに100本以上の作品を手がけてきた三池監督。しかし彼の国際的な知名度のルーツは、90年代半ばから2000年代初頭のいわゆる「Vシネマ」時代にある。年に6、7本という驚異的なペースで暴力的かつ神経症的な犯罪スリラーを量産し続け、その凄まじい存在感から、2024年のベルギーのドキュメンタリー番組では「Vシネ帝王」という称号まで与えられたほどだ。

低予算がもたらした「かけがえのない自由」 そんな三池監督の初期キャリアを代表するカルト作品群が、欧米のRadiance Filmsによって初めてHD化され、再び光を浴びようとしている。転機となった1996年の学園ヤクザ映画『極道戦国志 不動』をはじめ、2002年の『荒ぶる魂たち』や『実録・安藤昇侠道伝 烈火』といった傑作がそこに含まれる。アベル・フェラーラ監督の『バッド・ルーテナント』(1992年)のゆるやかな続編にあたり、Charli xcxとのタッグも話題の新作『Bad Lieutenant: Tokyo』の公開を控える三池監督は、多忙なスケジュールの合間を縫って行われたインタビューで当時を非常に楽しげに振り返っている。テレビドラマと同程度の予算で、わずか2〜3週間で長編を撮り上げる過酷な環境。しかし監督は、「低予算と引き換えに得た自由は、私にとってかけがえのないものでした」と語る。型破りな映画ファンの心にショックと喜びを届ける感覚を肌で味わえたことは、彼にとって大きな財産になっているという。

海を越えた「常識外れ」のエネルギー その「型破り」を極限まで体現したのが『極道戦国志 不動』である。宿題とヤクザのシノギを両立させる不良少年たちを描いたこの作品は、映画史に残るほど過剰な殺戮モンタージュで幕を開ける。トイレのドアを貫通するショットガン、駐車場での暗殺をやってのける小学生、ドライアイスの箱から転がり出る生首、そしてインスタントコーヒーに毒を盛られて血の噴水と化すボス。登場人物も、巨大な男性器を持つ屈強な留学生や、股間にダーツガンを隠し持つ両性具有のストリッパーなど、常軌を逸したキャラクターばかりだ。監督自身、「何でもありでした。限界なんてなく、これがアリかナシかを考える感覚すら麻痺していた」と当時のカオスぶりを証言している。

偶然が引き寄せた国際的な大舞台 生首でサッカーをする子どもたちのシーンを撮る監督の正気を疑うかもしれない。しかし、この底抜けの不条理さがなければ、同作はレンタルビデオ店の棚で埃を被って終わっていたはずだ。もともとは東京郊外に住む男性向けに作られた作品だったが、ラッシュを見たプロデューサーが劇場公開を即決。その後、トロント国際映画祭のプログラマーの目に留まり、三池監督の国際的なキャリアが幕を開けることになる。言葉も通じないまま単身で乗り込んだトロントの巨大なスクリーンで爆音が鳴り響き、観客が熱狂したあの瞬間を、三池監督は今でも鮮明に覚えているという。のちにヨーロッパの映画祭でも上映された『実録・安藤昇侠道伝 烈火』が、切断された両腕を首から外そうともがく男の姿で始まり、巨大なロケットランチャーが登場するクライマックスへと突き進むように、当時の作品群には手加減というものが一切なかった。

細木数子さんとみのもんたさんが火花を散らしたテレビ番組。そして、三池崇史監督がカメラ越しに捉えた血みどろのアンダーグラウンド。表現の場は違えど、そこには時代の制約を軽々と飛び越える、むき出しのエネルギーが確実に存在していた。